YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

海上石油掘削基地の爆発事故 (衛星写真リンク追加)

2010-04-29 16:07:23 | アメリカ経済
先日の炭坑爆発事故に続き、4月20日にルイジアナ州沖で、海上石油掘削基地(Oil platform)が爆発事故を起こし炎上、沈没、11人が行方不明だが、死亡したと思われている。

現在でも海底の油田から推定で毎日16万リットル以上(新たなリークも発見され80万リットル以上と言う説も有る)の原油が漏れており、ロボット等を使って遮断作業が続いているが、水深1500メートル以上の海底なので難航しており、目処は立っていない。海底のパイプとシャットダウン出来なければ、リークを止める方法としては、別の穴を掘り粘度の高い物質を注入する事で漏れ自体を止めてやる。しかしこの作業には数ヶ月を要する。一番早いのは漏れ上がってくる箇所にドームを被せて、漏れている原油を吸い上げて海に広がるのを防ぐ作業で、これは2週間くらいで準備出来るらしい。

漏れたオイルがルイジアナの海岸線に迫ってきており、Controlled burn、海面で燃やす事も検討されている。ルイジアナ沿岸は、牡蠣の養殖などが盛んで、漁業への影響や環境への問題が心配されている。

基地所有者のBPの発表では、漏れを防ぐ作業に一日当り$6M(約5億5千万)の費用が掛かっており、基地自体の損失は$700M(約650億円)とみられている。(株価も下がっている)

不思議なのは、いつもなら大騒ぎをする環境保護団体や、環境問題に敏感である有るはずのオバマ政権が静観している事である。先日発表したオフショア石油採掘政策の影響があるのかもしれない。オバマ大統領は、炭坑事故で亡くなった人々の葬式に出席したが、今回はどのような対応をするのかも注目される。

石炭や石油と言った可燃物の地下資源採掘は、本当に大変だとつくづく感じる。燃えるものなので爆発は付き物でだ。施設も大型で投資の規模も大きく、採掘が始まったら環境問題やらへの対応も引っ切りなしだ。テレビ番組で海上石油掘削基地の建設(岸に近くて水深が必要なので、北欧のフィヨルドで建設される)や曳航の様子を見たが、巨大さに圧倒される。常時200人くらいが生活する場所でもあるのだ。

又、湾岸戦争の時、イラク軍が退軍のとき、石油施設を破壊して自噴する石油がそのまま燃えるいるのを消火作業するのを、ニュースで観た事があるが、想像を遥かに超える凄まじいものだった。先ず、ダイナマイトを燃え盛る自噴パイプの直ぐその場で、爆発させるのである。爆風で一瞬酸欠状態が発生して火が消えるのである。そして、土砂降りの石油の中でパイプの遮断作業を行うのである。

好き放題、電気、ガソリンを消費する身としては、壮絶な現場に思いを馳せる事くらいしか出来ない。

〈衛星写真リンク〉