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Bart Stupak の引退表明

2010-04-10 19:40:48 | アメリカ政治
Bart Stupak が引退を表明した。今年11月の中間選挙への出馬しない事を昨日発表した。

彼はミシガン州選出の民主党下院議員で、健康保険改革法案成立の過程で大きな役割を果たした。

彼は、カソリックで中絶反対なので、下院案では、公的資金が中絶に使われない様にする彼の名前を冠した修正案を可決させ、最終的に下院案可決の大きな原動力となった。最終的に成立した上院案では、中絶に関する制限が下院案程厳しくなかったため、彼と民主党内の中絶反対グループの計12議員は、最後の最後まで、上院案に反対を表明しながら、土壇場で賛成に回り、結果的に法案成立となった経緯がある。

上院案に反対していた事で、健康保険改革法案推進派から攻撃され、土壇場で賛成した事から、成立以来反対派から攻撃されるという、へんてこりんな状況になっていた。(再選については、いつもの無風状態ではないが、確実視されていた)

下院議員歴は18年と長く、未だ58歳と若いので、「長年苦労をかけた妻と一緒に時間を過ごす」という言葉を真に受け取る人は少ないようだ。議員歴が長いだけに、現在、下院で一番権限が強い金融、財政委員会の副委員長でもある。下院議長及びオバマ大統領からの慰留要請を蹴っての引退決断であったらしい。

下院での上院案審議中に、彼は反対を表明していた事で、図らずも法案成立のキャスティングボードを握る事となりテレビのインタビューにも頻繁に登場していた。彼の中絶反対の立場と法案内容からして、賛成に回る事はないと思っていたが、最終的には、オバマ大統領が中絶に公的資金を使えないという内容の大統領命令にサインする事で賛成に回った。

しかし、大統領命令は、法律を超える権限はないので、意味のない紙切れという見解がほとんどである。又、大統領命令は大統領がいつでも撤回出来る。(ちなみにオバマは歴代大統領の中でも最も中絶に賛成派である。)よって、彼が何らかの条件で魂(票)を売ったのではないかという疑惑がずっと出ていた。

健康保険改革法案に賛成票を投じた事で、彼の発言の信憑性が全く無くなったいるので、今回の引退表明も額面通りには受け取れない。

引退(もしくは落選)議員への政治的見返りの一番大きなものは、大使への登用がある。(金銭的にはロビイストになる)

今後、Bart Stupak が本当に妻との時間を過ごすのか、密かに賛成票の見返りを受け取るかは、注目に値する。