戸を開いた瞬間ジャズが聞こえた。
そこは六角文庫,金沢から兵庫の北条に引っ越して10年になるという。
泉井重郎さんと音座マリカさんの家,それを六角文庫と名付けている。
そこはそれまでもそうだった。家に入ると何か異空間に足を踏み入れた錯覚を覚える。
時がゆったりとスイングしている。ジャズは流れているのに、時間は流れることを忘れ、気持ち良さそうにスイングしている。
それがたまらなく、また数年振りに一緒に揺れたいと思った。
話はジャズだけではない。天文のこと,植物のこと,詩、俳句,縦横無尽に終わることを知らない。
私の拙い質問に彼はそれに答えるばかりでなく、それにまつわるものがたりが語られ、時はもう消える。
マリカさんの声がまたいい。小鳥のさえずりか秋の虫の涼しさを醸し出す。
彼女はまた珍味,珍芸のマジシャンでもある。
月下美人をアルコール漬けにしたり、カボチャアイスも出てきて私を楽しませてくれる。
これは朝食である。おしゃべりをしながらの洋食の朝はやはり異国気分。
3日間,上げ膳据え膳の日々は私にとってとびきりの旅でした。
勿論,おいしい3日間でした。
ごちそうさま。
そこは、私の博物館。また一緒に納まりたいと思ったのでした。
帰山すると,まだ元気に鈴虫が鈴を鳴らしていました。
その鈴虫の飼い主は、このマリカさんなのです。もう7年になるそうです。すごいな!
今回の旅は神戸,六甲駅前のギリシャ料理店のphi、フィでのギリ丼、これはよろみの玄米を使っています。
そこでやはり数年ぶりにお会いしたフラワーロド服部内科の友人と共に食事。
飾られたギリシャの白い家と青い海の写真とオーナーのギリシャ彫刻のようなお顔を見ながらのランチは、さながらもうギリシャでした。
そうそう,住吉倶楽部での展覧会はしっとりと美しく染めて織られた着物はまた格別。
偶然にも、かの内田樹氏の奥様を拝顔することも。
だから旅はおもしろい。