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よろみ村くらし暦

奥能登の禅寺での山暮らし。野菜作りと藍染め,柿渋染め,墨染めのくらし暦。来山者への野菜中心のお料理が何よりのおもてなし。

歩く

2013-10-30 21:47:32 | 日記

今までほとんど歩くことを意識したことがなかった。
そのくらい歩くことは普通の行動様式で、歩けることは自分の中では当たり前のことになっていた。
母が転んで圧迫骨折となり歩くことが不自由になって、歩くことがどれほどのたいへんなことであるかを知った。

歩くことは、単に歩くだけのことでなかった。その不自由さはその人の心まで不自由にした。
そして、気持ちまでベッドに縛り付けた。動かない、動けないことがだんだんと気持ちを萎えさせた。
動かないと筋肉が落ちてゆく。するとますます動けなくなる。その悪循環だ。

コルセットが作られた。それを装着した途端歩き出した。その時の母の顔が忘れられない。
自分でも信じられない表情と動けないことからの抜け出せた晴れ晴れとしたという得意げな表情が混ぜ合わさった。

自分の足で行きたいところにゆける。それがどれほどその人を支え助けるか、それを目の当たりに見た。
1ヶ月と言われていたのが2週間で退院することが出来た。先生も同室の同年代の人をも驚かせた。

退院した翌日,私は母に伴って歩いた。ゆっくり、ゆっくり1歩1歩,母の肘を持って土の上を歩いた。
母の病室に私はハナの写真を飾っていた。そのハナも散歩のお供をした。

入院前と同じ風景が戻った。
母とハナの老老散歩,どちらが欠けてもここでの散歩にはならない。
入院中は夜中に帰ると言いだして歩き出したと聞いていた。
ここに戻ってそれはもうない。よく眠れるとうれしそうに言っていた。

歩くことは、人を人と生らしめることに他ならない。では歩けない人は人ではないかということではない。
歩くことを奪われた人の気持ちを思うと胸が詰まる。
歩くこと,歩けることって、ほんとうはすごいことなんだとつくづく感じさせてくれた出来事でした。

先日のNHKの「ためしてガッテン」でプレイス細胞が記憶に深く携わっていることを知った。
移動することによって記憶されやすくなると。
歩くことの意義は大きい。











たこやき

2013-10-28 22:03:14 | グルメ

たこやきを家で作ったのは今回が初めてだった。
理由は明快,たこ焼き機がない。買ってまでするほどのものではなかった。
今回したのは、ここの住人から、タコでなくイカでするとおいしいときたことと、娘が釣り上げたイカのゲソがあったからと子供らがするという条件が全て揃ったからにほかならない。

器具はここの住人からお借りした。それはなんと1回に30個も焼けるもの。
今までお好み焼きもあるもので済ませていたのが、今回は材料から本格的に揃えた。
作り方もIフォン片手に二人で計ったり喋ったり、愉しそうにやっていたのです。

道具も揃っていないので、あるものを利用したり工夫したりしながら焼くのもひっくり返すのなかなかの手つき。
私はただ見て食べる人。
たまにはこんなのもいいものです。
その上,イカたこ焼きは外は芳ばしく、中はねっとりして、タレは我が家特有の醤油ベースなのでさっぱり味。



一つのプレートをみんなでつつくのは、気持ちが1つになるみたいで、いいのかな。

この26日,子供らと金沢へ。
日本伝統工芸展、と国際金沢ガラス展を見に。
日本伝統工芸展は私が甲府にいた時に毎年東京まで見に行っていたもの。
ガラス展は4日に来られる齊藤裕一さんが入賞されたので見に。
ちょうどスウィーツ博もあり,幾つかを賞味。
以前からほしかった土鍋を購入。
その上、甥っ子の白鷺バーとミュッゼというギャラリーも。
盛りだくさんの金沢の1日。
都会と展覧会と、視覚と味覚の満たされた日になりました。









お茶処

2013-10-24 21:22:54 | グルメ

それは石川県で一番大きい木造建築のお寺、松岡寺が隣の能都町にあると知り家族で見に行った時のことだった。
初めての町の初めてのその通りを車で走らせていると,古い昔ながらの家並みが見えた。
後部座席に座っている私の目にお茶処と言ういかにも古めかしい看板が目に入った。
またそのお茶屋さんの名前が何と「村田」同性であると知り車を止めてもらった。

中に入るとそこはジブリの「千と千尋の神隠し」の世界に迷い込んだ錯覚さえ覚えた。
そこに置かれた調度品,茶器もお茶さえもいにしえの香りが漂ってきそうだ。
私たちが物珍しそうに物色していてもお店の人の気配はない。
何度か声をかけようやく出てきたのは耳の遠い人のよさそうなおばあちゃんだった。
まさしくそこの雰囲気に合わせたようなおばあちゃんの登場にますます時代錯誤に陥ってしまった。
「いくらか見てください。」「おつりはいくらになりますか?」
勘定をしたのはこちら、なんとものどかな買い物。

いいいなぁ、こんなの。ここってなんていいところなのでしょう。
お互いが,お互いを信じている。買う人も売る人も信じ合っているいい関係がここにはあった。
いや,信じるとか信じないとか,そんな言葉も入らないそれ以前の、そこにお互いがいる何ともゆるくて気持ちよい処。

まだそのお茶屋さん。お茶処はあるのだろうか。
それこそ神隠しにあってなくなっていないだろうか。
私の手元にはそこでつい買ったしまったお茶碗が我が家の戸棚に納まっている。
今,私の中のお気に入り、濃い緑の織部。
雨が降ったら,ゆったりとお抹茶でも点てよう。
だった。




料理の日

2013-10-22 20:18:47 | グルメ

今日は隣町の穴水の食料改善普及員のメンバー9人のためのお昼を頼まれて作る。
今まで出張料理や来客のための料理はあっても、気が付いてみると地元の人たちにお料理をするのは初めてだ。

だからと言って献立が変る訳ではないが、自分の台所で作るのはやり易い。
一応私なりに集めて食器類が使えることはうれしい。
それに季節のお花や葉っぱがあしらうことが出来るのもたのしい。

まず、胡麻豆腐,これには1時間ほどかけて胡麻をすることから始める。
胡麻の香りが立ち、胡麻の粒がなくなるまで根気よく擂る。
それを水に入れ,漉してから葛を入れ,火にかけながら練り上げる。
味は塩のみ,ごまの風味を最大限活かす。
しかし,今回は練る時間が不足して少し軟らかくなってしまった。
このところ,いろいろな作り方で試みているが,未だ納得できるまでになっていない。


前菜として,チンゲンサイのくるみ味噌,サツマイモのレモン煮、柚子こしょう ジャガイモと玉葱,人参,しめじ炒めにバジルペースト


緑豆のチーズ入りボール 鰯の蒲焼き浅葱 大根葉の干しえび,イカ入りお焼き 卵の油揚げ煮物 自家製蒸し豚 大根下ろし添え
それに水菜とパプリカと柿のサラダ 新米おにぎりと小豆と黒豆入り玄米 味噌汁


スウィーツはカボチャと小豆の茶巾絞り

全員が完食、どうやら喜んで頂けたようだ。
都会のグルメの人たちを唸らせるのはだいぶ緊張したが,それなりの反応とやりがいがあった。
その上,その度にエッセイを書くと言うのが自分に課したことでより充実していた。
しかし,旅費,材料費,荷物代がかかったので,プラマイ0。
今日のメンバーの多くは年配の方で,少し油が多かったかなと反省する。
準備に2日を要しても,今回は金額的にはプラスになりました。
私を指名してくださったことに,感謝して。








アオリイカ

2013-10-19 21:52:47 | グルメ

娘の風が初釣りで24センチにもなるアオリイカを釣ってきた。
師匠はここの住人であるお隣さん。釣り歴10年になる腕利き名人。
場所選びから釣り方の全てをこと丁寧に教えてもらいながらの釣り。
延べ8時間,大物を含んだ4杯釣り上げた。



目はブルーグリーン,計ると800グラム,厚みが5ミリほどあっただろうか。
本人は師匠からこんな大きさは滅多にないと言われても比べようもない。
しかし周りからすごいすごいと言われ続けることでようやく実感が湧いてきたらしい。
イカは夜に釣る。帰山が夜中の1時,私の方が眠れなく今日は寝不足だ。
本人は筋肉痛だとか。相当釣り上げるのは重いらしい。

そのイカを師匠の奥さんの薦めでイカ丼にした。
今年初めての白米の上に白いイカがどっさり載った。



上には紫蘇の代わりに浅葱を載せる。
米もイカも光っている。新しい眩しい白が口の中で広がる。
イカは歯に当たるか否かで滑り出すような,溶け出すように喉元に降りてゆく。
新米もアオリイカも甘いと言う手前の旨さで口いっぱいになる。

かつてこんなにアオリイカを食べたことがない。
何と贅沢な夕飯だったか。ごちそうさま。

また今日は金沢アンサンブルのコンサートに穴水に出向く。
ビバルディの四季から,秋と冬。CDではおなじみだが演奏を見たのは初めてだ。
小さな会場だからその弓さばきや演奏者の表情まで見える。
チェンバロの音色も好きだな。
指揮者の山下一史氏の指揮する姿や会話が演奏者と聴衆の仕切りを外してくれた。
子供らの声に励まされ,聞いていると涙が溢れてきた。
プログラムも心憎い。
クラシックでも楽しめる。クラシックだからこそいつ聞いても飽きさせない不思議な魅力があるのかもしれない。

食欲の秋と芸術の秋をたっぷり心から楽しんだ1日でした。