よろみ村くらし暦

奥能登の禅寺での山暮らし。野菜作りと藍染め,柿渋染め,墨染めのくらし暦。来山者への野菜中心のお料理が何よりのおもてなし。

冬の漬物

2023-12-28 20:57:23 | グルメ

年末の行事がようやく終わった。当初の予定していた日程が豪雪で今年もまた停電などで遅れたり、予定していた人が来られなくなった。それでも麹作り、味噌作り、お餅つきが終わった。

しかし、今年の冬野菜の蕪、野沢菜、日野菜が穫れなく、いつもの漬物ができなくなった。一時期は9種類の漬物を漬けたが今年は大根の浅漬け、白菜の塩漬け、大根寿司、そしてキムチの4種類が今年の漬物になった。

漬物は発酵によって長期保存ができ、栄養的にも優れ、しかも美味しくなる。このメカニズムは菌による。それは糠の中の乳酸菌の働きが大きい。塩だけでも野菜は発酵をする。その他に魚や副菜によって味に深みと旨味を増すように仕込む。

ここは雪によって畑の野菜はできない。その冬に野菜を摂取するのに漬物はすぐれた知恵だったのだろう。ここには自前の糀、無農薬のお米、糠がある。それを使わない手はない。ちょっと面倒と思ってしまうが、購入したものよりおいしいので冬の始まりの恒例の仕事になっている。


白い冬の始まり

2023-12-20 11:29:44 | 自然の不思議

雪が降ると、去年の年末を思い出す。初雪が大雪となり、多くの木々を倒しそれが電線を切って10日ほど停電となった。薪も蝋燭もガスもあるが、改めてどれほど電気に頼っていたかを再認識させられた。

今年の初雪は積もっても5センチ、大根も白菜も取り出して大根は畑に埋め、白菜は新聞紙に包んで藍小屋に保管した。畑には結球しなかったキャベツが野菜雪をかぶっている。雪の下で春には大きくなってくれるだろうか。

年末の行事、麹作り、味噌作り、お餅つきが待っている。大勢が集まって、お祭りかな。

まだ暗い台所でお弁当を作る。明るくなった地面が白くなっていた。いよいよ白い冬の始まりだ。畑から解放され、自分と向き合える静かな白い冬、でもこの冬は身の回りのものを整理かな。


青鷺

2023-12-15 14:18:01 | 自然の不思議

このところ青鷺が畑だけでなく、庭先にもやってくる。青鷺は身近な鳥だが庭先まで、そればかりか1メートル近く寄ってもあのゆっくりした歩調で私の前を歩く。流石にこんなことも珍しいのでゆっくり観察できた。

その羽の色は青ではなく灰色、英語ではGrey Heron 。日本では灰色とか鼠色になるので美しい蒼としたのだろうか。グレイでもその艶といい白や赤、黒を配した姿はとてもおしゃれ。庭の虫だろうか、何かを啄んでゆったりと歩く格好はファッションモデルそのもの。

ところが、自然界には人間にとって不都合な生き物を蔓延らせる。キムチ用にとった白菜に甲虫の羽虫たちがころころいる。家の中はカメムシに乗っ取られたように戸の隙間、掛けてある洋服、畳んである布団に、いないところがないくらいに隠れ、暖かくなるとどこからかやってくる。

この二つの天敵は人間だろうか。この時期だけで数百、いや数千くらいも捕獲した。捕獲というと聞こえはいいが、退治、殺している。やはり生存競争は厳しい。いい気持ちはしないが、仕方なくやっている。

その点、青鷺の出現にはこちらの気持ちを和ませてくれる。あの青鷺は今年生まれた子供なのか、近くにコロニーの木があることは知っているが、まだ他の仲間は見ていない。元気で冬を乗り切ってほしい。


厨 鹿

2023-12-10 21:09:47 | グルメ

7日に娘の子供たちが自宅に帰った。その日、以前から予約を入れていた息子のお店に食べに行った。家族の他に精進料理人のドイツ人とパートナーのカメラウーマンも同席していたこともあり、私の方がちょっと緊張してしまった。

開店して約1年、NHKの「いいいじゅう」に出させていただいたこともありほぼ予約で埋まり、今は常連客も増えているとのこと。息子が料理の道に進んだのは、根底に「食いしん坊」だったことが大きいだろう。でも、料理人になると作って食べていただく方で、自分が食べるのは夜中になってしまうと言う。」それでも来た方たちが満足して帰っていただくことが喜びになっているとか。私もそうだが、作るのは時間がかかっても食べ終わるのは早い。増してそれを仕事にしていると仕込みにかける時間は私の比ではない。その上お金をいただくには、それそれ相応の手間隙と食材へのこだわりと妥協を許さぬ覚悟と技も必要だ。

美味しいお店はいっぱいあるだろう。続けていくには美味しさは勿論のこと、作る人の人間性と言うか、人柄に何か魅力がないとやっていけないのだろう。対面での仕事と対面での会話がものを言う。どうにか1年が過ぎ、これからが問われるだろう。

2品目

胃袋も心も満たされ、居心地がよく、ほんわか、ふんわりして帰られる、そんなお店を目指してほしい。