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リアル熟議っていったい?

2011-02-07 | └社会教育
文部科学省が最近力を入れている「熟議」。教育に関わる多くの当事者が「熟慮」と「討議」を重ねながら課題解決・政策形成をしていこうという意味の造語です。具体的には、

①多くの当事者(保護者、教員、地域住民等)が集まる
②課題について学習・熟慮し、討議をする。
③互いの立場や果たすべき役割への理解が深まる。
④解決策が洗練される。
⑤個々人が納得して自分の役割を果たすようになる。

というプロセスを踏む。

「熟議」の場は2種類あって、一つは対面での熟議(=リアル熟議)、もう一つは、Webサイト上での熟議(=ネット熟議)。このうち、リアル熟議は、これまで全国50カ所で開催され、約3,000人が参加しているという。青森県でも、これまで2回開催されています。

昨日は、外ヶ浜町でリアル熟議が行われました。

今回のテーマは「地域コミュニティづくりにおける公民館」。参加者は8~9人ずつ8つのグループに分かれ、それぞれ「ファシリテーター」の進行のもとで討議を行う。討議の手順としては、

1 公民館の現状と課題
2 公民館の可能性を拡大し、地域住民の期待に応えるための課題
3 課題解決のため、どのような取組が必要か。そして、自分の立場では何をすべきか、どんなことが可能なのか。

といった感じで、付箋と模造紙を使って、話し合いが進められていきました。討議終了後は、グループごとに話し合った内容について発表し、約3時間のリアル熟議は終了です。

去年、横浜町で行われたリアル熟議の時には、一つのグループのファシリテーターとして参加させてもらいましたが、今回はオブザーバーとして見学。前には、「傍観者」なんて要らないのでは、と書いておきながら、首尾一貫しなくて申し訳ないのですが、今回は何となく、はたからじっくり見てみたいと思ったのでした。

横浜町の時にも書いたのですが、この「リアル熟議」って、形態からみれば、社会教育ではもう10数年も前からやっていることなんです。「参加体験型」のワークショップという形で。社会教育では、住民の声やニーズをベースとして様々なまちづくりや地域づくり活動が展開されることはごく当たり前のことで、ニーズのないところに社会教育はないといってもいいくらいです。住民が自分たちで地域の課題について考えたり、解決策を見出していくために、様々なワークショップが行われてきています。

ただ、リアル熟議は、どちらかというと、「国」が国民(住民)の声を施策に反映させるためという色合いが濃いワークショップです。どんどん意見を言ってください、そうすればそれを元にもっといい教育施策を打ち出しますから…というスタンス。これって下手をすると、
いわゆる「ガス抜き」のワークショップにもなりかねません。横浜町の時にも少し感じていましたが、今回見学してみて、これは参加者のため、というより、文科省や役所のためのワークショップなのだということははっきりと感じ取れました。

社会教育で行われてきた参加者の意識変容を意図したワークショップとは違うということで、文科省は「ワークショップ」という言葉をあえて使わず、「リアル熟議」と言う。でも手法としてはとてもよく似ている。というか、ほとんど同じ。

違うのは、例えば一つのグループの人数。リアル熟議ではなぜか8~10人という場合が多いようです。はっきり言って、この人数じゃグループとしては多すぎる。私がファシリテーターをした時も、もちろん私の力不足があるとしても、それだけの人の意見を整理するのはとても難しかった。ちょっと油断すると、隣の人2~3人で会話が弾んでしまう。これではグループ全体のものにはならない。ワークショップのグループは、多くてせいぜい5人だろうなと思っています。

それから、気になるのは「ファシリテーター」という言葉の使い方。本来は、ワークショップの全体を取り仕切る進行役がファシリテーターのはずですが。リアル熟議では、各グループの進行役をファシリテーターと呼んでいます。いや、別にいろんなとらえ方があっていいとは思うのですが、文科省がそういう形で「ファシリテーター」と呼んでしまうと、それがいつの間にか定着しちゃったりしますからね。ま、細かい話ですけど、なんか気になる。

これまで2回リアル熟議に参加してみても、まだリアル熟議の本質が見えない。いったい文科省は何を目指しているのか。

というわけで、その夜は社会教育主事3人で、そんな話でグダを巻いていたのでした。

 

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