カクレマショウ

やっぴBLOG

「せんべいの耳」とオリジナリティ、それから。

2011-03-07 | ■世界史
「生みの親が語る 宇宙(そら)のはやぶさ×地上(りく)のはやぶさ」で、川口淳一郎氏は、「耳のないせんべいを作るな」とおっしゃっていました。

せんべいの「耳」というのは、南部せんべいの「耳」だと思われます。南部せんべいを焼くときに、「せんべい型」から生地がはみ出る。その部分が「耳」になるわけです。「耳」がお気に入りの人も多く(私もその一人)、「せんべいの耳」だけを集めたものもスーパーで売っていますね。

川口さんは、せんべいの耳があるからこそ、せんべいに見えるのだ、ともおっしゃっていました。「せんべいの耳」がなくては、せんべいにはならない。だから、一見「無駄」な部分のように見えて実はせんべいの「耳」はとても大切で、「耳のないせんべい」を作るというのは、一切の無駄を廃するということ。それは、科学技術の発展を妨げることになるというわけです。つまり、効率性だけを求めても決して成果は上がらないということ。

「はやぶさ」も、研究が始まったのは25年前。科学技術の成果が見えるまでにはそれだけ時間がかかるもので、「長い目」で見る必要があるということ。目先のことにとらわれていては、科学の進歩はあり得ない。

それは、たぶん、「教育」に関しても言えることだと思います。目の前にいるのは、「子ども」だけれど、それは「いつかは大人になる子ども」なのです。そこを考えて子どもと関わるのが「教育」なのでしょう。

川口さんは、「はやぶさ」の開発の過程の中で、せっかく開発した技術をNASAに持って行かれてしまった経験が何度もあるといいます。普通ならやる気をそがれるところですが、川口さんたちは逆にそこで奮い立った。それならNASAも採用をためらうような計画を立てよう、やぶれかぶれでハッタリでもいい、天の邪鬼と呼ばれてもいいから、とことん「オリジナリティ」を発揮してみようと。

「オリジナリティ」。

独自性、独自のアイディアこそ変革をもたらす。「高いアンテナを立ててみなければ新たな水平線は見えない」と川口さんは言う。教育に求められているのは、子どもたちが「高いアンテナを立てる」手伝いをすることなのですね、きっと。さらに川口さんはおっしゃる。自分だけの「オリジナリティ」だけではだめで、それをほかの人のオリジナリティと突き合わせて議論することが大切だと。つまり、こういうことではないでしょうか。自分のオリジナリティは、ほかの人と共有し、ほかの人のオリジナリティとすることでさらにブラッシュアップされたものになる。「自分でできることは自分だけでしない」。ここにも「ネットワークの原則」を垣間見ることができます。

「耳付きのせんべい」は、それを多くの人が認め、それをせんべいの形として共有しているから意味があるのです。オリジナリティは大切ですが、それよりもっと大切なことがあるということもまた、川口さんは教えてくれました。


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