カクレマショウ

やっぴBLOG

「絆」の前に「出会い」がある。

2011-12-30 | ■教育

記憶に残る年が必ずしも歴史に残るとは限らないわけですが、東日本大震災の起こった2011年は、少なくとも日本人にとっては、間違いなく記憶にも歴史にも残る1年になりそうです。

 

「今年の漢字」は「絆」でした。震災からの復興そして再生に向けて、日本だけでなく、世界中の人たちが暖かい支援の手を差し伸べてくれました。「お互いさま」という考え方は、日本の専売特許ではなく、世界共通のものなんだなと改めて感じました。かつて自分も被災者だったから、今回は自分が助ける側に回らなきゃ、という気持ち。さらに、いつ自分が被災者の側になるかもしれないのだから…という気持ちには、なんだかほっとさせられます。「絆」って、その根底にあるのは、「お互いさま」って言葉ですよね。

 

私自身は被災地に赴くこともなく、本やテレビ、ネットで状況を知ることしかできませんでしたが、職場では、数十名の職員が何班かに分かれて岩手県に派遣され、復興のお手伝いをしてきていました。派遣された皆さんは、きっと、現地でしか見ることのできないものを見、現地でしか聞くことのできない話を聞き、現地でしか感じることができないことを感じてきたことと思います。ただ、被災地に行けない人間にとって、一番身近な体験談を聞けるチャンスだったのに、報告会らしきものはついぞ行われず、写真が回覧されてきただけでした。これって、システムとしてどうなんだろう?と思いました。実際の現場を体験してきた人が、報告するのは義務ではないのか? 行った人の貴重な経験がほとんど生かされていないのはどういうことなんだろう? 現地で汗もかいてないのに勝手なことを、と言われるかもしれませんが、行ってないからこそ、そういう話を聞きたいのです。ことほどさように、瑣末なことに気をとらわれて、本来やるべきことをやってないんじゃないのーということが、今年は多すぎるような気がしました。今、何が大切で何が大切でないのか、みんなでちゃんと見据えていこうよ、と思う。

 

話それましたが、「絆」です。震災を通して感じた「絆」は、世界の人々との目に見えない絆だけではありません。一番大切なのは、なんといっても「地域の絆」です。これしかありません。「家族の絆」ももちろん大切だけど、それはあって当たり前のことです。日常的にも意識しているし、非常時にはより強く意識するものだから。地域の絆って、ふだんはあまり意識することがないんだけれど、尋常ではない事態に襲われた時、その深さと強靭さにみんなが気付かされる。「地域の絆」によって命を救われた話もそれこそ数えきれないほど耳にしました。

 

地域の絆は、「ふだんは意識しない」までも、知らず知らずのうちに育まれているものです。いっちょ絆を深めておくか~という性格のものでは決してないと思います。ましてや、行政が「ふだんから地域の絆を深めておきましょう」なんて言うのは恐ろしく気持ち悪い。でも、地域の絆が極めて大切なことだということが、今回の震災で改めて明らかになったことだけは確かです。

 

地域の絆は、無意識のうちに育つものだから、逆に厄介なんです。「無意識」に働きかけるのは容易ではありませんからね。ではどうしたらいいのか…。

 

今年は、私個人にとっても、身内の死去、そして身内の想像もしない急な病と、心中穏やかでない日々が続く1年でした。でも、そういう中で深く感じたのは、周りの人たちの支えです。いつもよくしてもらっている方々はもちろんのこと、ふだんはそれほどつながっていると感じていなかった方々に心温まる一言をいただいたり。いろんな方に支えられて生きているんだな、というより、支えがなければ生きていかれないと何度思ったことか。辛い1年でしたが、本当にありがたく、自分なりに「絆」の深さを感じた1年でもありました。

 

実は、ある人にそそのかされて(?)、今年の年初めに、100人の新しい知り合いを作ると決意しました。もちろん数の上では目標には遠く及びませんでしたが、今年もたくさんの貴重な出会いがあり、そういう出会いによって、心を動かされ、実に多くのことを学ばせていただきました。本当にありがたいことです。

 

「絆」の前に、「出会い」があるのです。出会いがなければ絆も育たない。「地域の絆」も、きっと、原点にあるのは「出会い」だと思います。使い古された言い回しですが、出会いは待っていてもやってきません。出会いは自分からつかみとるもの、というか、つかみ取ろうという気持ちがあって初めて向こうからやってくるものです。たとえば、目の前にいる近しい人の、さらに向こう側にいる人にも声をかけてみること。「地域の絆」は無意識に育つものとはいえ、そこだけはちょっと意識してみることが大切で、「いざという時」には、そのあたりの加減の結果がものをいうのではないでしょうか。いろいろな出会いが人にとっていかに大切か、そういうことを子どもたちに教えていかなくては。

 

 

今年1年支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。2012年も、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿