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カクレマショウ

やっぴBLOG

無農薬リンゴの木村秋則さんに「素のプロ」を見た。

2006-12-07 | ■青森県
今日のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、青森県弘前市でリンゴ農家を営む木村秋則さん。不可能と言われていたリンゴの完全無農薬・非化学肥料による栽培を初めて本格的に成功させた方です。

「栽培」というのは、植物を自然のままに放置して育てることではありません。木村さんのリンゴの育て方を「育てる」のではなく「育つのを手助けする」のだと番組では位置づけていました。たとえば、彼のリンゴ園は「自然のまま」に雑草が伸び放題なのですが、秋になると、木村さんは雑草を刈るのだそうです。その理由は、「リンゴの木に季節の変化を教えるため」だという。目に見える害虫は丹念に自分の手で駆除する。目に見えない病原菌は、酢を主体としたオリジナルの液を、土を痛めるという理由からスプレーヤー(噴霧機)を使わずに600本の木1本1本に手作業でかけて回る。そんな手の込んだ「手助け」があるからこそ、リンゴはとてつもないおいしいリンゴに育ち、しかもいつまでも腐らないという不思議なメカニズムも生む。「育てる」ではなく「手助け」。確かにそこには哲学があります。

だけど、木村さんを見ていると、「手助け」という言葉にさえおこがましさを感じているように見えます。手助けなんて偉そうなことでなくて、自分のやってることはただリンゴと対話しているだけ、とでもいうような…。そう、「対話」なのです。

彼はこの栽培方法を確立するまでに8年間もの間、苦労に苦労を重ねてきたそうです。それはきっと、リンゴと対話する方法を生み出すための8年間だったのでしょう。対話というのは、対等な立場でしかできません。木村さんがリンゴの木と対話できるまでにレベルアップしたということなのではないでしょうか。そこには、もちろん弛まない「愛情」が存在することは言うまでもありません。

この番組は、各界のプロの仕事人を紹介してくれる番組で、毎回スゴイ人たちが登場して、それぞれの「プロらしさ」を存分に見せつけてくれます。ただ、なかには、「作ってるな…」と思えてしまう人もいます。しかし、今日の木村さんには、本当に「素のプロ」の姿を見たような気がしました。飾らない言葉をさらりと言えること。そしてそういう「素のプロ」の吐く言葉こそが、もっとも人の心を打つんだ、ということを改めて感じました。木村さんの作ったリンゴを食べた司会の茂木健一郎氏が、「細胞の一つ一つを感じる…」みたいな「いかにも脳科学者らしい」ことを言ったとき、その賛辞は木村さんのリンゴにはそぐわないんじゃない?と思いました。

「リンゴの木に季節の変化を教えるんです」。

こういうことをさらっと言ってのける木村さんには、万言の美辞麗句もかないませんね。

そして、そんな木村さんは、昼食の「ごはんのおかず」として「メロン」をおいしそうに食べるのでした…。その境地やいかに。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (エミ・ボルサラ)
2006-12-12 09:24:17
やっぴさんおひさしぶりです。
私も見ました。
すごく感動してうれしかったです!
農薬を使わずにりんごを育てられないものかなあ・・・って昔から思ってました。それを本当に実現した方がいるなんて。
木村さんの笑顔がああほんとうに生きているっていう感じがしました。
ごはんのおかずにメロン!わかる~

ところで私も庭木に消毒はせずちまちま虫取りしています。女郎蜘蛛が大きく巣を張っているのを見るととてもうれしいです。
では楽しい年末をおすごしください。
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わかる~って… (やっぴ)
2006-12-12 12:43:22
エミ・ボルサラさん こんにちは。

リンゴは害虫とか病気に弱い生物なのだそうで、そこをあえて自然と調和してたくましく育ててしまう木村さんもすごいけど自然の力ももっとすごいのかも。

いや、私には、メロンとごはん、合うとはとても思えないんですけど。
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