
富士山麓にある国立中央青少年交流の家が実施する青少年の自立支援事業「30日間のセルフチャレンジキャンプ!~新しい自分を見つけるために~」の報告書が職場で回ってきました。この事業は、ひきこもりやニート、不登校などの状況にある青年たちが、1ヶ月間という長期の共同生活を通して、対人関係力や自信を高めることをねらいとして、平成18年度から5年間にわたって実施されたものです。

参加者の多くは、高校(あるいは中学校)卒業後(あるいは在学中から)ひきこもりやニートを体験している若者。このキャンプへの参加も、自分で申し込んだという人はごくわずかで、多くは親や自立支援機関が申し込みをしています。最初はいやいや参加したり、自信がなかったりだった彼らが、30日間のプログラムを経て、様々な変化をしている様子が報告書からも看て取れます。これまで5年間の参加者計39名のうち、約8割が、就労、就学、就労訓練など、状況を変えようとする何らかのアクションを起こしています。
そもそも、この事業は、それまでの「就職」を意図したプログラムにうまく乗れない若者がいるという反省から始まったものだそうです。つまり、彼らは「就労」以前に、自己肯定感が低かったり、人とのコミュニケーションが取れなかったりといった要因が解決されず、「心を閉ざしたまま」だということ。これを解決するため、青少年教育施設の持つ独自性を生かした「教育的アプローチ」が必要ではないか…というわけで始まったプログラムだということです。


では、その30日間のプログラムとは。
このプログラムの最終目標は、「0合目からの富士登山」です。その目標に向けて、
1日目~12日目:かかわる・ささえる
13日目~20日目:はなす・見守る
21日目~30日目:支え合う・わかちあう
という支援のスタンスを定め、それに基づく「ストーリー」を持ったプログラムとしています。具体的には、社会福祉施設でのボランティア体験に始まり、酪農ワーク、老人介護施設での体験、乗馬ワークを経て、21日目から4日間をかけて富士登山に臨みます。
30日間のプログラムは、確かに「長い」。でも、30日間という日数にはちゃんと意味があります。たとえば、ひきこもりの若者に見られがちな乱れた生活習慣の改善にはそれなりの日数が必要です。また、30日間の中で、誰かが精神的に落ち込んでしまった時に、その人の苦しみを集団が共に支えるというプロセスは、双方にとって大きな意味を持つという。ゴールに達するまでにはいくつもの「山」や「谷」を乗り越えなければならず、しかし、たとえ失敗しても再チャレンジができる時間的余裕がある。そのために長期の日数が必要だということなのですね。
何より、30日間を費やし、「初期の段階で《自己肯定感》を取り戻し、中期で《自己有用感》をつかみ、この基礎の上で《自己決定力》を獲得する」という内面的なステップアップが最も重要だと言います。
当初は「人に迷惑をかけてしまうことが心配で仕方ない」とか「自分の存在がキャンプにマイナスになる」といった「自己否定感」にさいなまれていた青年たちが、このキャンプを通じて、自己肯定感を少しずつ取り戻していく。「私たちスタッフは繰り返すグループワークの中で「ありがとう」という言葉を積み重ねていき、参加者は「自分は自分自身で大丈夫」であるという感覚を取り戻していくのです。」
こうして「自己肯定感」を取り戻したら、次に、ボランティア体験などを通じて、自分が役割を果たし人の役に立てるんだという「自己有用感」をつかんでいく。これは「社会」との接点を作り出すステップです。そして、最終的に「自己決定力」つまり一人一人が主体的に学校や仕事を選択する力を身に付けていく。自分自身の生き方の選択ですね。

この報告書を読むと、5年間の取組を通じて、実際の参加者の反応や感じ方に合わせて、常にプログラムの改善が行われてきたことがよく分かります。この柔軟性こそ、社会教育施設、青少年教育施設ならではの特徴でしょう。もちろん、それだけの鍛えられた専門職員(社会教育主事)の存在が大きいだろうことは言うまでもありません。
翻って、我が社の青少年教育施設は? これから「生き残り」を図っていくためには、子どもたちに自然体験活動の機会を提供するだけではなく、このような「社会的弱者」の方に対する積極的なアプローチについても、考える余地はありますね。

参加者の多くは、高校(あるいは中学校)卒業後(あるいは在学中から)ひきこもりやニートを体験している若者。このキャンプへの参加も、自分で申し込んだという人はごくわずかで、多くは親や自立支援機関が申し込みをしています。最初はいやいや参加したり、自信がなかったりだった彼らが、30日間のプログラムを経て、様々な変化をしている様子が報告書からも看て取れます。これまで5年間の参加者計39名のうち、約8割が、就労、就学、就労訓練など、状況を変えようとする何らかのアクションを起こしています。
そもそも、この事業は、それまでの「就職」を意図したプログラムにうまく乗れない若者がいるという反省から始まったものだそうです。つまり、彼らは「就労」以前に、自己肯定感が低かったり、人とのコミュニケーションが取れなかったりといった要因が解決されず、「心を閉ざしたまま」だということ。これを解決するため、青少年教育施設の持つ独自性を生かした「教育的アプローチ」が必要ではないか…というわけで始まったプログラムだということです。


では、その30日間のプログラムとは。
このプログラムの最終目標は、「0合目からの富士登山」です。その目標に向けて、
1日目~12日目:かかわる・ささえる
13日目~20日目:はなす・見守る
21日目~30日目:支え合う・わかちあう
という支援のスタンスを定め、それに基づく「ストーリー」を持ったプログラムとしています。具体的には、社会福祉施設でのボランティア体験に始まり、酪農ワーク、老人介護施設での体験、乗馬ワークを経て、21日目から4日間をかけて富士登山に臨みます。
30日間のプログラムは、確かに「長い」。でも、30日間という日数にはちゃんと意味があります。たとえば、ひきこもりの若者に見られがちな乱れた生活習慣の改善にはそれなりの日数が必要です。また、30日間の中で、誰かが精神的に落ち込んでしまった時に、その人の苦しみを集団が共に支えるというプロセスは、双方にとって大きな意味を持つという。ゴールに達するまでにはいくつもの「山」や「谷」を乗り越えなければならず、しかし、たとえ失敗しても再チャレンジができる時間的余裕がある。そのために長期の日数が必要だということなのですね。
何より、30日間を費やし、「初期の段階で《自己肯定感》を取り戻し、中期で《自己有用感》をつかみ、この基礎の上で《自己決定力》を獲得する」という内面的なステップアップが最も重要だと言います。
当初は「人に迷惑をかけてしまうことが心配で仕方ない」とか「自分の存在がキャンプにマイナスになる」といった「自己否定感」にさいなまれていた青年たちが、このキャンプを通じて、自己肯定感を少しずつ取り戻していく。「私たちスタッフは繰り返すグループワークの中で「ありがとう」という言葉を積み重ねていき、参加者は「自分は自分自身で大丈夫」であるという感覚を取り戻していくのです。」
こうして「自己肯定感」を取り戻したら、次に、ボランティア体験などを通じて、自分が役割を果たし人の役に立てるんだという「自己有用感」をつかんでいく。これは「社会」との接点を作り出すステップです。そして、最終的に「自己決定力」つまり一人一人が主体的に学校や仕事を選択する力を身に付けていく。自分自身の生き方の選択ですね。

この報告書を読むと、5年間の取組を通じて、実際の参加者の反応や感じ方に合わせて、常にプログラムの改善が行われてきたことがよく分かります。この柔軟性こそ、社会教育施設、青少年教育施設ならではの特徴でしょう。もちろん、それだけの鍛えられた専門職員(社会教育主事)の存在が大きいだろうことは言うまでもありません。
翻って、我が社の青少年教育施設は? これから「生き残り」を図っていくためには、子どもたちに自然体験活動の機会を提供するだけではなく、このような「社会的弱者」の方に対する積極的なアプローチについても、考える余地はありますね。
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