カクレマショウ

やっぴBLOG

ビジネスを疑似体験

2007-01-17 | └キャリア教育
先週、仕事で「ビジネス体験プログラム 講師養成講座」を開催しました。

「ビジネス体験プログラム」というのは、東京・港区にある株式会社gusiness[ギジネス]という会社が開発した中・高校生向けのコンピュータ・ソフトです。文字通り、「ビジネス」をパソコン上で疑似体験できるプログラム。今回は、そのプログラムを授業で使用していくための、先生方を対象とした講座です。

2日間の講座を修了すると、そのソフトをタダでもらえちゃうので、あとは持ち帰って、それぞれ学校の授業で自由に使えるという触れ込みをしたわけですが、実際、2日間でどれだけ「使える」ようになるのかな?という若干の危惧はありました。しかし、まさに「かゆいところに手が届く」懇切丁寧な指導のおかげで、思った以上にこのプログラムの使い方がわかっていただけたのではないかと思っています。

「ビジネス体験プログラム」というのは、要するに「屋台」の出店体験プログラムです。縁日があって、屋台が軒を連ねている。それは多くの日本人が体験している原風景と言ってもいいかもしれません。このプログラムでは、たこ焼き、綿あめ、りんご飴、金魚すくい、お面、射的という6種類の屋台から1つを選択し、パソコン上でその出店計画を立てていきます。出品できる商品はそれぞれ3種類まで。商品自体の魅力はもちろん、ターゲットとする世代を絞ったり、店名や店構え、そして販売促進の工夫も必要です。与えられた条件の中で、いかに独自性を出し、売上に結びつけていくか。それを、1人ではなく、4~5人のグループごとに競うのです。

出店計画が決まると、次に指導者からの「評価」が待っています。各グループからそれぞれ90秒以内で計画を発表してもらいます。「90秒」かっきり。それ以上は認められません。発表のあと、指導者からいくつかのシビアな質問が飛びます。それにどう答えるかも重要な評価の分かれ目となります。今回の講座では、2日目に、この「質問」の仕方について、そのコツを学ぶトレーニングを行いましたが、これが受講者にはとても好評でした。どんな質問をすれば効果的な評価につなげることができるのか、これは、非常に重要なポイントだと思いました。ワークショップなんかでも、最後に「発表」があったりしますが、ファシリテーターや他の学習者からの質問によって、新たな気づきが導き出されることがよくあります。どう「質問」するか、が今回の一番のキーワードかもしれません。

さて、発表が一通りおわると、指導者は、プログラム上で、いくつかの項目にしたがって5段階の評価をつけ、さらにいくつかのパラメータを変えたりといった「操作」をします。それによって、次の「出店」の状況が変わってくるのです。

そしていよいよ、ドキドキの「出店」を迎えます。このプログラムでは、午前11時に店開きをし、午後9時に閉店するようになっていますが、その間、2時間ごとに販売数、売上、利益などが自動的に画面上に示されていきます。出店者は、それを見ながら一喜一憂。新たに仕入れをするか、あるいは値段を下げるかを、与えられたわずかな時間内に決定していかなければなりません。

そして、最終的には、閉店時にどの店の売上げ・利益が最も多かったのかがはじき出されるのです。

このプログラムの良いところは、「2回目」ができるというところです。つまり、1回目の出店の結果を見て、その反省を2回目に生かしてみることができるのです。 疑似体験ならでは、です。こうしたトレーニングを積み重ねることによって、子どもたちは商売のコツや集客のノウハウを体験的につかんでいくことができるわけです。

とはいっても、これはあくまでもパソコン上のシミュレーション。実際の出店や販売体験が次のステップとして準備されて初めてこのプログラムの優れた点が生かされるのではないかと思います。「起業家」は、決してバーチャルな世界なんかではなく、生身の人間同士のふれあいやコミュニケーションの中から生まれてくるものですから。

今回のプログラムは、たまたまギジネスという会社の作ったシミュレーションプログラムでしたが、他にも、いろんな民間企業がいろんな起業家教育プログラムを生み出しています。そのうち、優れたものは経済産業省が実施している起業家教育促進事業に採択され、全国各地の学校で展開されているようです。単なるイベント的な活用ではなく、学校のキャリア教育の中でこれらのプログラムをどう位置づけていくかがこれからの課題と言えるでしょう。

ちなみに、今回、私のグループは、「射的屋」に挑戦しましたが、1回目の教訓を生かすどころか、2回目の最後に仕入れを読み違えて最終的に赤字を出してしまいました。イチかバチかも時には大切なのでしょうが、それだけでは商売は成り立たないことがよーくわかりました。商売って、ほんとにむずかしい…。


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