カクレマショウ

やっぴBLOG

「ラッキーナンバー7」を見て昔の映画をつい思い出す。

2007-01-20 | ■映画
二転三転のストーリー、しかも最後のどんでん返しという宣伝惹句。聞いただけで、映画を見る前からわくわくどきどきです。しかし、コン・ムービーというのは、意表を突くストーリー展開はもちろん、「見終わった後の爽快感」が重要なポイントだと思うのですが、この映画にはちょっとそれがなかったかなーと思います。ま、題材が題材だけに、スカッとさわやかとはいかないのかもしれませんが。

冒頭は、なんとも謎めいたシーンから始まります。車椅子に乗ったブルース・ウィルス。「"時"があった」という不思議な言葉。彼が語る20年前の事件。そしてクールに行われる殺人。いきなり首根っこをつかまれるように映画に引き込まれます。

ところが、主役のスレブン(ジョシュ・ハートネット)が登場してくるあたりから、映画は音楽も含めて急にコメディタッチにっなっていきます。人違いで暗黒街のボス(モーガン・フリーマン)のところにバスタオル1枚という情けない格好で連れて行かれるのですが、ハートネットの人を食ったようなセリフ、こわいはずのギャングたちがそれほどこわくなかったりで、思わず失笑してしまうところもあります。かと思うと、隣人リンジー(ルーシー・リュウ)とのベッドシーンはあくまで爽やか。その辺になると、この映画、いったいどういうスタンスで見たらいいのかと戸惑ってしまうのです。

後半、徐々に謎が説かれていきますが、きちんとパズルが1つ1つはめられていく面白さはありました。腕時計とか野球のボールとか、散りばめられた伏線がきいてますね。しかし、繰り返しになりますが、題材が題材だけになあ…。これでいいのか?という思いはぬぐい去れません。

モーガン・フリーマンはあいかわらずレベルの高い演技だし、ライバルのユダヤ教のラビを演じるのがサー・ベン・キングズレーという設定もベストなキャスティングだと思います。そう、ベン・キングズレーと言えば、「ガンジー」です! 年取ったなーと思いつつも、きっぱりとしたセリフの言い回しが、ガンジーを演じた時のまんまなのがうれしい。名優ですよ、彼はやっぱり。

それにしても、ほとんど笑顔を見せないクールなブルース・ウィルスが一番印象的でしたね。殺し屋グッドキャット。非情な殺人を犯しながらも、実は心の暖かいところもあるというキャラクターが、ブルース・ウィルスにぴったりです。どうでもいいことですが、20年前の方が老けてる…とは思いましたケドね!

モーガン・フリーマン演じるボスが、「人違い」にからめてスレブンに語る「北北西に進路を取れ」の話には、なるほどなと思いました。そう、ボスはそこで「気づく」べきだったのかもしれません。「北北西に進路を取れ」は、言わずと知れたヒッチコックの名作。またまた昔の映画を思い出させられます。

昔の映画と言えば、コンムービーの大傑作「スティング」です。こういう映画を見るたびに、思うのは「スティング」ってほんとにスゴイ映画だったなということです。何度見ても騙される。…と言うのは語弊がありますが、「何度騙されてもいい」映画であることは間違いありません。いまだに「スティング」を超えるコンムービーは存在しないと思っています。

さて、「ラッキーナンバー7」に話を戻しましょう。一つ疑問なのが、この邦題です。原題は"Lucky Number Slevin"なのに、「スレブン」をなぜ「セブン」に変えたのかがどうにも理解できません。「スレブン」は主人公の名前であり、そしてもう一つ重要な名前でもあり、この映画のキーワードのはずなのに、なぜあえてタイトルから外してしまうのか。もちろん「7」も決して意味のない数字ではないとはいえ…。

宣伝文句はちょっと大げさにしても、味のある俳優陣と、よく練られた脚本で、ま、それなりに楽しめる映画です。

 

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2 コメント

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堪能 (れごまま)
2007-01-23 21:56:35
こんばんは
お久しぶりです。
なんとも間抜けな邦題だけど、ここんところ小物の邦画をたて続けに見てばかりだし、なんとなく時間もあうし。。。てな感じで見に行きました。
何の予備知識もなく見に行き、結構堪能してきました。久しぶりに「映画みたぁ!」って感じ(笑)なんつっても俳優陣が半端じゃないですからね。そっかぁ野球のボールも意味があったんだぁ。。『北北西』の意味が分からないです(涙)
やっぴさんも書かれていますが不思議な空気のえいがでしたね^^;
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Unknown (やっぴ)
2007-01-25 00:52:22
れごままさん、こんばんは。

堪能されて何よりです。不思議な、面白い映画ですよね。

「北北西」は、人違いから殺人容疑をかけられて何者かに追われる羽目になる男の話です。はちゃめちゃですが、ヒッチコックらしく、ラシュモア山のシーンとか、緊迫感たっぷりですよ。
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