カクレマショウ

やっぴBLOG

「スパイダーマン2」─悩めるヒーロー

2007-02-20 | ■映画
スーパーマン、スパイダーマン、バットマン。米国のヒーローものって、みんな「等身大」です。日本のウルトラマンのように「巨大」なヒーローはあまりいない。巨大で異形なのは決まって悪役で、しかも「動物」的なキャラクターが多い。

等身大ということは、人間と同じように喜怒哀楽があって、悩みもするし恋もする。まるで古代ギリシアのオリンポスの神々のようです。

「スパイダーマン」はそんな悩めるヒーローの代表格と言えるでしょうか。悩めるヒーローと言えば、「Mr.インクレディブル」というのもありましたけど、あれは「裏ヒーロー」ものですから。正統派ヒーローとしてやはり「スパイダーマン」です。

もともとコミック連載だったこの物語は、米国でも日本でもアニメ化されています。スーパーマンみたいに「ただ空を飛ぶ」わけでなく、クモの糸を自在に操ってビルからビルへと街を縦横無尽に飛び回るスパイダーマンの活躍は、実写で描くのは不可能とされてきましたが、CG技術の発達により、「限りなく実写に近い」映像を楽しむことができるようになりました。サム・ライミ監督が2002年に第1作を放って以来、この春、シリーズ第3弾、完結編?が公開されます。

で、「3」に向けての予習も兼ねて、このたび「2」を見てみました。

「1」で高校生だったピーター・パーカー(トビー・マグワイア)も大学生となり、勉強とバイトに明け暮れる毎日。その傍ら、相変わらずスパイダーマンとして悪を懲らしめています。しかし、「スパイダーマンの仕事」はつらい。彼の表向きの顔のいろんな部分にそのしわ寄せがきています。たとえば、思いを寄せるメリー・ジェーン(キルスティン・ダンスト)。今や女優として活躍する彼女の舞台も、「仕事」のために見に行くことができない。すれ違いの連続にメリー・ジェーンの心は離れ、別の男とつきあっている。

そういった心の中の葛藤は、「仕事」にも微妙に影響を及ぼします。いざという時に手首から糸が繰り出されないのです。無様に墜落するスパイダーマン。こんなことでは人々を救うヒーローにはなれません。スパイダーマンを嫌う祖母や親友ハリー(ジェームズ・フランコ)の気持ちにもこれまで以上に敏感になってしまう。

迷った挙げ句、ピーターはスパイダーマンであることをやめる決心をします。やめるためにはどうするか?このへんが人間くさいところなのですが、裏通りのゴミ置き場に無造作にスパイダーマンの「コスチューム」を捨てるのですな。お~い、ちょっと待ってくれ。そんなことして、誰かが拾ったらどうするんだよ! 君の嫌う「悪者」がもし拾って悪用したらどうするんだよー。…てな心配は杞憂か。スパイダーマンの格好をしたからといってスパイダーマンになれるわけじゃないですもんね。彼の体自体がスパイダーマンになってしまってるんでしたね。


しかし、「コスチューム」はやっぱり誰かに拾われ、それは例の新聞社に持ち込まれる。ところで、例の編集長は相変わらずダミ声で叫びまくっています。あの声聞くと、昔のモノクロ映画を思い出しますね。ああいうキャラクターは必ず登場してたような気がします。

さて、今回の「悪役」も実に荒唐無稽です。核反応のエネルギーをどうとかこうとか、それを制御するのがどうとかこうとか、よくわかりませんが、背中に4本のアームを背負ったドック・オクはスパイダーマンの敵として文句なしのキャラクター。あんなのがニューヨークの街中で暴れ回るシュールさこそヒーローものの原点だと思います。そして、クライマックスは暴走電車の上でのドック・オクとの対決。苦悩を乗り越えよみがえったヒーローは、人々を守るため、果敢に戦うのです…。

しかし、「3」では、スパイダーマンの苦悩は収まるどころかますますヒートアップするみたいですね。このシリーズもこのくらいで打ち止めにしておいた方がいいのかもしれませんね。それはそうと、苦悩(?)するヒーローといえば、あのおちゃらけた日本のヒーロー、「パーマン」にもそんな話がありましたね。というより、パーマンはいつもパーマンであることをやめたがっていたような気もします。
ま、悩めるヒーローといえば、日本では「キカイダー01(ゼロワン)」が極致ですけどね。ヒーローであることを悩むヒーロー、その姿は幼心にもしっかり刻み込まれていたのでした。

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