
「傾いた建物」が危なっかしいのは言うまでもありません。
たとえば、1995年に起きたソウルの三豊(サンプン)百貨店の崩壊。ビルが崩れ落ちる数日前から、天井のヒビ割れとともに床が傾くなどの予兆があったといいます。このデパート崩壊の原因ははっきりしていて、専横的なオーナーの指示による建築過程そのものに問題があったようですから、事故というより、「事件」と呼ぶ方が適当でしょう。
建物が傾く→いずれ崩壊、という図式は、誰もが予想できることですが、世界には、傾いているのになぜか崩れ落ちることのない建物がいくつかあります。もっとも有名なのは、もちろん、イタリアのピサの斜塔です。
ピサの斜塔は、ピサ大聖堂に附属する鐘楼として建てられた塔です。高さは55m。着工は今から800年以上も前の1173年ですが、3度にわたる建築工事の末、完成したのは200年後の1372年にことでした。実は、ピサの斜塔は、完成した後に傾き始めたのではなくて、建設が始まった直後から、傾いたまま工事が進められたというのだから驚きです。もともと、建設予定地の南側の地盤が軟弱だったことが原因でした。もちろん、建設は傾斜を修正しつつ進められましたが、それでも傾きは止まらなかった。で、最上層部分だけはとってつけたように地面に垂直になるように仕上げたのだと言います。本当はもっと高い鐘楼にする予定だったそうですが…。
以来、傾いたまま何とか立ち続けていた斜塔ですが、その特異な姿が逆に世に知られるようになり、世界中から観光客を集めることになりました。ところが、20世紀に入ると斜塔の傾斜はますます激しくなっていきます。その原因の一つが地下水の汲み上げです。ついに、このままでは崩壊するという危険性が高まったため、1990年から10年間にわたって公開を休止し、傾斜角を是正することになりました。様々な方法が試みられた末、最終的には北側の地盤を削ることになったようです。肝心なのは、「斜塔」のままで改修する、という点。「ピサの斜塔」はあくまでも「傾いていなければ」ならないのです。
結局、ピサの斜塔の現在の傾斜角度は、「約3.97度」で収まっているようです。もちろん、ギネスブックの「世界で最も傾いた建物」に認定されています。
…ところが、つい先日、この「記録」が破られたという記事が伝えられました。ドイツ北西部にある人口1200人の小さな村・スールフーゼンにある教会の尖塔が、傾斜角「5.07度」だということで、2009年度版のギネスブックからは、こちらが「世界で最も傾いた建物」になるのだそうです。

写真で見ると、確かに傾いてはいるけど、何の変哲もない塔。15世紀に建てられたそうですが、高さも26mとピサの斜塔の半分くらいしかない。こちらも長くその「傾き」に悩まされていたようで、地盤改良などで1996年にやっと安定し、このほど村役場がギネスブックに申請したのだという。村にとっては、大切な教会なのでしょう。しかし、なんとなく、「古びて傾いている教会」というイメージをぬぐい去れません。このくらい傾いている塔なんて、けっこうほかにもありそうな気もしますし…。
おもしろいのは、このギネス認定に異議を唱えているところが、同じくドイツにもう一つあって、こちらはドイツ東部にあるバート・フランケンハウゼンという町の教会。こっちは「5.37度」もあるんだぜ!と主張しています。ただし、こちらは倒壊の危機により、現在修復工事中とのこと、その「世界一」の傾斜角度も、いずれゆるやかになるようです。

歴史的な「重み」から言っても、また建物自体の優雅さから言っても、数字だけの問題ではなく、「世界で最も傾いた建物」の座は、やはりピサの斜塔以外ないのでは?と私は思いますけどね。
いずれにしても、ヨーロッパでこれだけ「傾いた建物」が存在し続けるというのは、やはり地震が少ないからなのでしょうね。日本じゃとても考えられないことです。
たとえば、1995年に起きたソウルの三豊(サンプン)百貨店の崩壊。ビルが崩れ落ちる数日前から、天井のヒビ割れとともに床が傾くなどの予兆があったといいます。このデパート崩壊の原因ははっきりしていて、専横的なオーナーの指示による建築過程そのものに問題があったようですから、事故というより、「事件」と呼ぶ方が適当でしょう。
建物が傾く→いずれ崩壊、という図式は、誰もが予想できることですが、世界には、傾いているのになぜか崩れ落ちることのない建物がいくつかあります。もっとも有名なのは、もちろん、イタリアのピサの斜塔です。
ピサの斜塔は、ピサ大聖堂に附属する鐘楼として建てられた塔です。高さは55m。着工は今から800年以上も前の1173年ですが、3度にわたる建築工事の末、完成したのは200年後の1372年にことでした。実は、ピサの斜塔は、完成した後に傾き始めたのではなくて、建設が始まった直後から、傾いたまま工事が進められたというのだから驚きです。もともと、建設予定地の南側の地盤が軟弱だったことが原因でした。もちろん、建設は傾斜を修正しつつ進められましたが、それでも傾きは止まらなかった。で、最上層部分だけはとってつけたように地面に垂直になるように仕上げたのだと言います。本当はもっと高い鐘楼にする予定だったそうですが…。
以来、傾いたまま何とか立ち続けていた斜塔ですが、その特異な姿が逆に世に知られるようになり、世界中から観光客を集めることになりました。ところが、20世紀に入ると斜塔の傾斜はますます激しくなっていきます。その原因の一つが地下水の汲み上げです。ついに、このままでは崩壊するという危険性が高まったため、1990年から10年間にわたって公開を休止し、傾斜角を是正することになりました。様々な方法が試みられた末、最終的には北側の地盤を削ることになったようです。肝心なのは、「斜塔」のままで改修する、という点。「ピサの斜塔」はあくまでも「傾いていなければ」ならないのです。
結局、ピサの斜塔の現在の傾斜角度は、「約3.97度」で収まっているようです。もちろん、ギネスブックの「世界で最も傾いた建物」に認定されています。
…ところが、つい先日、この「記録」が破られたという記事が伝えられました。ドイツ北西部にある人口1200人の小さな村・スールフーゼンにある教会の尖塔が、傾斜角「5.07度」だということで、2009年度版のギネスブックからは、こちらが「世界で最も傾いた建物」になるのだそうです。

写真で見ると、確かに傾いてはいるけど、何の変哲もない塔。15世紀に建てられたそうですが、高さも26mとピサの斜塔の半分くらいしかない。こちらも長くその「傾き」に悩まされていたようで、地盤改良などで1996年にやっと安定し、このほど村役場がギネスブックに申請したのだという。村にとっては、大切な教会なのでしょう。しかし、なんとなく、「古びて傾いている教会」というイメージをぬぐい去れません。このくらい傾いている塔なんて、けっこうほかにもありそうな気もしますし…。
おもしろいのは、このギネス認定に異議を唱えているところが、同じくドイツにもう一つあって、こちらはドイツ東部にあるバート・フランケンハウゼンという町の教会。こっちは「5.37度」もあるんだぜ!と主張しています。ただし、こちらは倒壊の危機により、現在修復工事中とのこと、その「世界一」の傾斜角度も、いずれゆるやかになるようです。

歴史的な「重み」から言っても、また建物自体の優雅さから言っても、数字だけの問題ではなく、「世界で最も傾いた建物」の座は、やはりピサの斜塔以外ないのでは?と私は思いますけどね。
いずれにしても、ヨーロッパでこれだけ「傾いた建物」が存在し続けるというのは、やはり地震が少ないからなのでしょうね。日本じゃとても考えられないことです。
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