米国の自動車会社フォード社の歴史は、1908年に発売された大衆車、「T型フォード」に始まります。フォード社の創始者ヘンリー・フォードは、この「フォード・モデルT」を大量生産するために、画期的な生産ラインを生み出しました。ベルトコンベアによる流れ作業方式です。ベルトコンベアに乗せられて移動してくる部品に、労働者が次々と別の部品を加えていくことによって、最終的に製品が完成するという方法。のちに「フォード・システム」と呼ばれるようになるこの生産方法は、自動車のみならず、多くの工業製品の製造に採用されるようになります。
フォードが「流れ作業」を導入したのは、ひとえに、その方が「効率的」だからでした。実際に彼がストップウォッチを持って、製造にかかる時間を計ったというのは有名な話ですが、確かに、ベルトコンベアを使わなければ、約20年間に1,500万台もの「モデルT」を世に送り出すことはできなかったでしょう。
一方で、フォード・システムは、「単純労働」への批判も生み出すことになります。ベルトコンベアによる生産には、熟練労働者は必要ない。そのことを痛烈に皮肉ったのが、チャップリンの「モダン・タイムス」ですね。
昨日の「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場してきた山田日登志さんは、こうした流れ作業を見直し、「セル生産方式」という手法を生み出した人です。「セル」というのは、部品や道具などを、たとえばU字型に配置した生産ラインのこと。ここで、1人から数人の作業員が、部品の組み立て、加工、検査といった全行程を行う。山田さんは、この生産方式を携えて全国各地の工場を飛び回り、生産ラインに革命を起こしているのです。
山田さんの「流儀」の一つに、「無駄を省く」というのがあります。彼は、工場に着くと、瞬く間にあちこちではびこっている「無駄」を指摘していく。時間の無駄だったり、労力の無駄だったり、歴史の長い伝統ある会社ほどそうした無駄が無駄のまま残されている。そして、それを解消していくのは、社員自身の意識だと言う。ちょっと発想や見方を転換してみると、そうした無駄に気づくし、気づきさえすれば、無駄をなくするためのアイディアも出てくるということなのでしょう。
実際、80年の伝統を誇る家具メーカーの工場で、彼はそのことを証明して見せます。これまで当然のようにやってきたある生産ラインで、山田さんがちょっとアドバイスをすると、熟練工が自分で様々な工夫をするようになる。工夫次第で、半ば習慣化していた生産ラインを変えることができる、それが見違えるほどの効率化につながるということに、彼は気づくのです。
セル生産方式が台頭してきた背景には、消費者のニーズが多様化し、また製品そのものもいわゆる「ロングセラー」が減って、新しい製品が次々と登場するといったことがあります。状況に応じてこまめにラインを操作できないベルトコンベアではなく、セルで生産した方が小回りも利くし、何よりも作業員のアイディアや工夫一つで生産効率を上げられるという強みがあります。
かつて効率的と言われたベルトコンベア方式。しかし、同じ「効率」を追い求めて、また新たな方式が生まれる。山田さんのような人にアドバイスを求める会社はまだいいほうで、時代の流れに乗りきれない会社や工場がいくつもあるんだろうなと思いました。
すごいなと思ったのは、山田さんの「指導」が、「指導」というより、相手の持っているものを「引き出す」ことのように見えたことです。"educate"の語源は、「引き出す」という意味。山田さんの仕事は、まさに"education"でした。
山田さんの説く「徹底的に無駄を省く」というやり方、非常に気に入りました。よし!自分の仕事でも、無駄のチェックをしてみよう! でもあまりの無駄の多さに嫌気がさしてきそう…。何でも効率良く、とはいかないようで。
フォードが「流れ作業」を導入したのは、ひとえに、その方が「効率的」だからでした。実際に彼がストップウォッチを持って、製造にかかる時間を計ったというのは有名な話ですが、確かに、ベルトコンベアを使わなければ、約20年間に1,500万台もの「モデルT」を世に送り出すことはできなかったでしょう。
一方で、フォード・システムは、「単純労働」への批判も生み出すことになります。ベルトコンベアによる生産には、熟練労働者は必要ない。そのことを痛烈に皮肉ったのが、チャップリンの「モダン・タイムス」ですね。
昨日の「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場してきた山田日登志さんは、こうした流れ作業を見直し、「セル生産方式」という手法を生み出した人です。「セル」というのは、部品や道具などを、たとえばU字型に配置した生産ラインのこと。ここで、1人から数人の作業員が、部品の組み立て、加工、検査といった全行程を行う。山田さんは、この生産方式を携えて全国各地の工場を飛び回り、生産ラインに革命を起こしているのです。
山田さんの「流儀」の一つに、「無駄を省く」というのがあります。彼は、工場に着くと、瞬く間にあちこちではびこっている「無駄」を指摘していく。時間の無駄だったり、労力の無駄だったり、歴史の長い伝統ある会社ほどそうした無駄が無駄のまま残されている。そして、それを解消していくのは、社員自身の意識だと言う。ちょっと発想や見方を転換してみると、そうした無駄に気づくし、気づきさえすれば、無駄をなくするためのアイディアも出てくるということなのでしょう。
実際、80年の伝統を誇る家具メーカーの工場で、彼はそのことを証明して見せます。これまで当然のようにやってきたある生産ラインで、山田さんがちょっとアドバイスをすると、熟練工が自分で様々な工夫をするようになる。工夫次第で、半ば習慣化していた生産ラインを変えることができる、それが見違えるほどの効率化につながるということに、彼は気づくのです。
セル生産方式が台頭してきた背景には、消費者のニーズが多様化し、また製品そのものもいわゆる「ロングセラー」が減って、新しい製品が次々と登場するといったことがあります。状況に応じてこまめにラインを操作できないベルトコンベアではなく、セルで生産した方が小回りも利くし、何よりも作業員のアイディアや工夫一つで生産効率を上げられるという強みがあります。
かつて効率的と言われたベルトコンベア方式。しかし、同じ「効率」を追い求めて、また新たな方式が生まれる。山田さんのような人にアドバイスを求める会社はまだいいほうで、時代の流れに乗りきれない会社や工場がいくつもあるんだろうなと思いました。
すごいなと思ったのは、山田さんの「指導」が、「指導」というより、相手の持っているものを「引き出す」ことのように見えたことです。"educate"の語源は、「引き出す」という意味。山田さんの仕事は、まさに"education"でした。
山田さんの説く「徹底的に無駄を省く」というやり方、非常に気に入りました。よし!自分の仕事でも、無駄のチェックをしてみよう! でもあまりの無駄の多さに嫌気がさしてきそう…。何でも効率良く、とはいかないようで。
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