
鈴木のりたけさんの『しごとば』シリーズ、第3弾です。
今回取り上げられているのは、消防隊員、米農家、僧侶、女優、大工、客船船長、新聞記者、看護師、教師の9つの「しごとば」。
まず、それぞれの仕事場が、見開きでどどーんと詳細なイラストで紹介されています。極めてリアルなのですが、どこか素人っぽさが垣間見えるところがこの人の描くイラストの特徴ですね。客船の操舵室に「てるてるぼうず」があったり、新聞社の部屋の片隅にある「ぶらさがり健康器」にぶら下がっている人がいたり、米農家のコンバインに「オーディオ」がついているんだ、とか、意外で面白い発見がたくさんあります。
描かれているほとんどすべての物に「名称」が付せられています。その名称を一つ一つ拾っていくと、ここでも初めて知ることがたくさんあります。大工のページでは、柱に円柱形の穴をあけてボルトを埋め込んで締めているところを「座堀(ざぼり)」というんだとか、米農家の倉庫に置かれた「代掻きハロー」という機械とか、看護師のしごとばである小児科病院にある物など、ほとんど意味不明の物ばかりだし。すべての物にちゃんと「名前」があるということが再確認できます。
それと、楽しいのは、その仕事に特に関係ないような物にまでしつこいほど名前が書いてあるところ。たとえば、消防署の天井にたまたまあった「ツバメの巣」とか、テレビスタジオにいる助監督の頭に「ねぐせ」とあったり、米農家の倉庫の2階でブルーシートを担いでいる人に「親せき」と書いてあったり。でも、考えてみれば、「関係ない」ことはなくて、なぜ助監督の頭に「ねぐせ」があるのか、「親せき」だとわざわざ書いてあるのはどうしてなのか、など、考えてみることも、その職業を知る上で大切なのかもしれません。
見開きのページに釘付けになったあとに、次のページを開くと、その職業で使われる道具の説明があり、更には、具体的な仕事の内容が1日の流れを追って紹介されています。もちろんイラスト入りで。これが、大人でも知らないことばかりで、どの職業も、当たり前ですが、それぞれに奥が深いんだなあと感じます。
取り上げられている9つのしごとばは、すべて、実際に鈴木さんが取材して描かれているのだそうですが、一番最後のページで、9人がそれぞれの「失敗」を赤裸々に白状しているところもまた楽しい。大工さんが「寸法を間違えた」とか、教師が「遠足で迷子になった」とか、僧侶が「袈裟を忘れた」…とかね。子どもたちがこの本を読んだ時、「プロ」の仕事のすごさを感じると同時に、大人でも失敗もするんだなあ、くすっ、なんて思うに違いない。それってとても大切なことかもしれません。
それから、なんといってもこの絵本のすごいところは、9つの職業が次々と「つながって」いるところ。たとえば、米農家で田植え機を運転しているお兄さんの着ているTシャツの背中に「ZAZEN NIGHT」と書いてあって、何となく印象に残しつつ次のページを開くと、僧侶のしごとばである寺の本堂に「ZAZEN NIGHT」(座禅会)のポスターが張ってある。つまり、米農家のお兄さんは、米を作るかたわらで座禅にも興味を持っているというわけです。あるいは、「女優」の仕事の中に「寺で撮影」があったり、大工さんの作っている家の柱の向こうに小児科の看板が見えていたかと思うと、次のページでその小児科で働く看護師さんが紹介されていたり。それぞれの職業が単独では成り立っていないこと、世の中全部つながっているんだということが、さりげなく主張されている。この絵本、ほんとにただものではない。
「つながり」という意味では(?)、すべてのしごとばのイラストには、どこかに「かえる」が隠れているというのも、かえる好きの私としてはたまらない喜びだったりして。もちろん、すべて発見完了いたしました!
この絵本、すべての学校、家庭に1冊置くべきですね。
『続々しごとば』≫Amazon.co.jp
今回取り上げられているのは、消防隊員、米農家、僧侶、女優、大工、客船船長、新聞記者、看護師、教師の9つの「しごとば」。
まず、それぞれの仕事場が、見開きでどどーんと詳細なイラストで紹介されています。極めてリアルなのですが、どこか素人っぽさが垣間見えるところがこの人の描くイラストの特徴ですね。客船の操舵室に「てるてるぼうず」があったり、新聞社の部屋の片隅にある「ぶらさがり健康器」にぶら下がっている人がいたり、米農家のコンバインに「オーディオ」がついているんだ、とか、意外で面白い発見がたくさんあります。
描かれているほとんどすべての物に「名称」が付せられています。その名称を一つ一つ拾っていくと、ここでも初めて知ることがたくさんあります。大工のページでは、柱に円柱形の穴をあけてボルトを埋め込んで締めているところを「座堀(ざぼり)」というんだとか、米農家の倉庫に置かれた「代掻きハロー」という機械とか、看護師のしごとばである小児科病院にある物など、ほとんど意味不明の物ばかりだし。すべての物にちゃんと「名前」があるということが再確認できます。
それと、楽しいのは、その仕事に特に関係ないような物にまでしつこいほど名前が書いてあるところ。たとえば、消防署の天井にたまたまあった「ツバメの巣」とか、テレビスタジオにいる助監督の頭に「ねぐせ」とあったり、米農家の倉庫の2階でブルーシートを担いでいる人に「親せき」と書いてあったり。でも、考えてみれば、「関係ない」ことはなくて、なぜ助監督の頭に「ねぐせ」があるのか、「親せき」だとわざわざ書いてあるのはどうしてなのか、など、考えてみることも、その職業を知る上で大切なのかもしれません。
見開きのページに釘付けになったあとに、次のページを開くと、その職業で使われる道具の説明があり、更には、具体的な仕事の内容が1日の流れを追って紹介されています。もちろんイラスト入りで。これが、大人でも知らないことばかりで、どの職業も、当たり前ですが、それぞれに奥が深いんだなあと感じます。
取り上げられている9つのしごとばは、すべて、実際に鈴木さんが取材して描かれているのだそうですが、一番最後のページで、9人がそれぞれの「失敗」を赤裸々に白状しているところもまた楽しい。大工さんが「寸法を間違えた」とか、教師が「遠足で迷子になった」とか、僧侶が「袈裟を忘れた」…とかね。子どもたちがこの本を読んだ時、「プロ」の仕事のすごさを感じると同時に、大人でも失敗もするんだなあ、くすっ、なんて思うに違いない。それってとても大切なことかもしれません。
それから、なんといってもこの絵本のすごいところは、9つの職業が次々と「つながって」いるところ。たとえば、米農家で田植え機を運転しているお兄さんの着ているTシャツの背中に「ZAZEN NIGHT」と書いてあって、何となく印象に残しつつ次のページを開くと、僧侶のしごとばである寺の本堂に「ZAZEN NIGHT」(座禅会)のポスターが張ってある。つまり、米農家のお兄さんは、米を作るかたわらで座禅にも興味を持っているというわけです。あるいは、「女優」の仕事の中に「寺で撮影」があったり、大工さんの作っている家の柱の向こうに小児科の看板が見えていたかと思うと、次のページでその小児科で働く看護師さんが紹介されていたり。それぞれの職業が単独では成り立っていないこと、世の中全部つながっているんだということが、さりげなく主張されている。この絵本、ほんとにただものではない。
「つながり」という意味では(?)、すべてのしごとばのイラストには、どこかに「かえる」が隠れているというのも、かえる好きの私としてはたまらない喜びだったりして。もちろん、すべて発見完了いたしました!
この絵本、すべての学校、家庭に1冊置くべきですね。
『続々しごとば』≫Amazon.co.jp
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます