goo blog サービス終了のお知らせ 

カクレマショウ

やっぴBLOG

「アダプテーション」─「マルコヴィッチの穴」の、ある意味で続編。

2005-09-06 | ■映画
これまたスパイク・ジョーンズの、というより「マルコヴィッチの穴」で脚本を書いたチャーリー・カウフマンの、摩訶不思議な映画です。

いきなり、「マルコヴィッチの穴」の撮影風景が出てきます。もちろんジョン・マルコヴィッチ自身が登場し、スタッフに何か言っています。そこへ登場するのが、ニコラス・ケイジ演じる脚本家チャーリー・カウフマン。しかし、撮影の邪魔だからと追い出されてしまう。情けない表情を浮かべるチャーリーがおかしい。ニコラス・ケイジの面目躍如!

ストーリーはこんな感じです。「マルコヴィッチの穴」のヒットで一躍脚本家としての名声を得たチャーリーのもとに、次回作として、雑誌「ニューヨーカー」の記者スーザン・オーリアンが書いた『蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界』を脚色するという仕事が舞い込んでくる。これは、フロリダで蘭を不法採集した栽培家ジョン・ラロシュを描いたノンフィクションで、読むうちにチャーリーも興味を持ち始める。しかし、なかなか筆は進まない。彼には双子の弟ドナルドがいて、居候をしながら兄と同じように脚本家を目指している。ドナルドの性格はチャーリーと正反対で、明るく社交的で、恋にも積極的。チャーリーは、弟がヒット作を生み出すのを尻目に、「書けない」ことに苦しむ。ドナルドはそんな兄を励まし、「行動する」よう背中を押すのだが、そのことが悲劇を生んでいく…。

白けた見方をすれば、「書けない脚本家」のことを脚本にするというのは禁じ手のネタとも言えるのですが、それだけの映画にしていないところがカウフマンとスパイク・ジョーンズのうまいところか。少し整理してみると、双子の二役を演じているのがニコラス・ケイジ。見事に演じ分けています。スーザン・オーリアン役はメリル・ストリープ。ちなみに、スーザン・オーリアンというのは実在の人物で、『蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界』 という本もほんとにあります。蘭栽培家のジョン・ラロシュ役はクリス・クーパー。ラロシュももちろん実在します。

「マルコヴィッチの穴」に、俳優ジョン・マルコヴィッチをはじめ、その友人としてチャーリー・シーンやショーン・ペンが実名で登場したりするように(おまけみたいにブラッド・ピットも一瞬登場)、この映画も、「映画の中の話」と実在の脚本家チャーリー・カウフマンの苦悩が入り乱れ、さらにそこに彼の妄想も挿入されるわ、「マルコヴィッチの穴」の撮影現場が出てきてジョン・キューザックやキャサリン・キーナーが俳優として登場するわで、現実と虚構の区別がつきにくいことこの上ない。しかも、チャーリー・カウフマン自身がこの映画の脚本を書いているのだからたまりません。しかもしかも、この映画の脚本家として、チャーリー・カウフマンとともに、実在しないはずの「ドナルド・カウフマン」の名前もクレジットされているのです! なんじゃこれは。

「マルコヴィッチの穴」とはストーリー的には何のつながりもないのですが、これは言うまでもなく、「マルコヴィッチ」路線を歩いている快作だと思います。チャーリー・カウフマンがデザインし、スパイク・ジョーンズが織り上げた着心地のいいジャケットという感じ。本当に次回作を「書けなかった」かどうかはわかりませんが、こんな脚本を書いてしまうチャーリー・カウフマンという男の脳こそ、のぞいてみたいものです。

「アダプテーション」は原題の“ADAPTATION”そのままの邦題ですが、この言葉には、「適応」という意味のほかに、「脚色」という意味もあるそうです。これはそのまま邦題にするしかないですね。

「アダプテーション」>>Amazon.co.jp

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。