今、携帯電話を持っている子どもたちはどのくらいいると思いますか?
文部科学省が行った調査(「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」)と、青森県教育委員会実施の調査(いずれも2008年)の結果は次のとおりです。
小学校6年生 国24.7% 県8.7%
中学校2年生 国45.9% 県25.8%
高校2年生 国95.9% 県96.3%
小・中学生では、全国と比べると青森県の所持率は低いものの、高校生ともなると、いきなり「全国レベル」以上になっています。すごい話ですよね。青森県は、職がないとか県民所得が低いとか言われますが、それでも高校生のほとんど全員が携帯電話を持っているんだから。これはいったいどういう仕組みになっているのか。
携帯電話は便利なツールですが、逆に危険もいっぱい潜んでいます。多くの親は、「危険性」に目をつぶり「便利性」を優先させて、子どもたちに携帯電話を買い与える。子どもにとっては、ケータイって、使い方を誤ると極めて危険な「おもちゃ」だということを認識している親(を含む大人たち)は少ないのではないでしょうか。
弘前大学教育学部では、昨年から「ネットケータイ問題」研究プロジェクトを立ち上げています。同大・大谷良光教授を中心に、学生有志(4年生含め52人)が、「ネットパトロール」(学校裏サイトの監視)のほか、ケータイに関わる危険性についての出前授業や調査研究などの活動を展開しています。そのプロジェクト・チーム主催の「子どもをネット・ケータイの被害から守る青森情報交換会議」が、今日開催されました。
弘前大学のネットパトロール隊による活動報告に始まり、県内外の様々な団体からの情報提供が行われ、子どもをめぐる「ネット・ケータイ」に関わる問題の多様さと大きさを改めて感じました。
弘大のネットパトロール隊によると、子どもたちをめぐる「ネット・ケータイ問題」には、次の3つの側面があるという。
1 ネットいじめ問題
2有害情報・情報発信問題
3 ケータイ依存症・集団同調圧力問題
今回は、このうち、特に「1」と「2」について、その実態と対策について考える筋立てになっていました。
「学校裏サイト」や「プロフ」に書かれた実際の書き込みを見せてもらいましたが、読むに耐えないような罵り、嘲りの言葉が並んでいました。たぶん、こういう書き込みをする子も、ふだんは「普通の子」なのかもしれません。だとすれば、相手の顔が見えないだけで、これほど人格が変わるものなのか。
ま、もっとも、ネットでの誹謗中傷は、子どもたちだけの問題ではありません。大人の方こそ醜い。「縮図」とはこういうことを指すのかと思いますね。
いろいろな話を聞いていると、結局は大人社会の問題だなと思います。ケータイ業界は、とにかく「数」を売るために、フィタリングなど当然すべき説明をしていない(弘大のプロジェクトチームの調査によれば、県内の業者で、必要な説明をしているのは約半数に過ぎないとか)。「有害」情報に子どもたちが簡単にアクセスできるようなサイトを提供する業者が存在することも事実。そもそも、携帯電話でネットにアクセスできてしまうこと自体、必要なんだろうかとも思う。
親は親で自分にも自信がないので子どもにきちんとした使い方(ネチケットなど)を教えていない。学校の先生も学校には持ってくるなの一点張りで、携帯電話の問題に正面から向き合おうとしない。ま、先生方から言わせれば、そんな問題まで学校に任せるなということだと思いますが。
いずれにしても、今やこれだけ多くの子どもたちが携帯電話を持っているのに、ほとんど「野放し状態」というのは、やっぱり異常な社会です。聞けば、そういう意味では日本は最も遅れているのだとか。「今」手を打たなければ…という弘大チームの危機感が、今回の会議でとてもよく伝わってきました。
各団体からの報告のあと、最後に参加者からの質問や意見交換もありました。学校の先生、PTA、行政関係者、警察、県議会議員など、様々な立場の方からの前向きな発言もとても参考になりました。ある高校の先生が、3月の入学予定者説明会の場で、10分でも時間を取って、この問題について専門家の方が説明するようにしたらどうかという提案をされていました。保護者のほぼ100%が参加する説明会は、確かにいいチャンスだなと納得。子どもと保護者が一緒に同じ話を聞ける機会って、学校では滅多にないし。
保護者の理解はもちろん必要ですが、やっぱりこの問題は、子どもたち自身が「ネット・ケータイ」の落とし穴についてちゃんと理解することが大事だと思います。今回の会議では、ある中学校の先生がネット・ケータイの問題を「道徳」の時間に取り上げているという素晴らしい実践報告をされていましたが、同じことをすべての学校でやるというのは現実的ではないかもしれません。ただ、すべての中学校・高校で、例えば弘大チームや県警のサイバー犯罪対策室の方を招いて話をしてもらう時間を設定するとか、関係者がアイディアを出し合って共通のプログラムを作るとか、とにかく「すべての中学生・高校生」が「ネット・ケータイ」の問題を知る時間を持つようにすることは、大人の義務ではないかと感じました。
文部科学省が行った調査(「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」)と、青森県教育委員会実施の調査(いずれも2008年)の結果は次のとおりです。
小学校6年生 国24.7% 県8.7%
中学校2年生 国45.9% 県25.8%
高校2年生 国95.9% 県96.3%
小・中学生では、全国と比べると青森県の所持率は低いものの、高校生ともなると、いきなり「全国レベル」以上になっています。すごい話ですよね。青森県は、職がないとか県民所得が低いとか言われますが、それでも高校生のほとんど全員が携帯電話を持っているんだから。これはいったいどういう仕組みになっているのか。
携帯電話は便利なツールですが、逆に危険もいっぱい潜んでいます。多くの親は、「危険性」に目をつぶり「便利性」を優先させて、子どもたちに携帯電話を買い与える。子どもにとっては、ケータイって、使い方を誤ると極めて危険な「おもちゃ」だということを認識している親(を含む大人たち)は少ないのではないでしょうか。
弘前大学教育学部では、昨年から「ネットケータイ問題」研究プロジェクトを立ち上げています。同大・大谷良光教授を中心に、学生有志(4年生含め52人)が、「ネットパトロール」(学校裏サイトの監視)のほか、ケータイに関わる危険性についての出前授業や調査研究などの活動を展開しています。そのプロジェクト・チーム主催の「子どもをネット・ケータイの被害から守る青森情報交換会議」が、今日開催されました。
弘前大学のネットパトロール隊による活動報告に始まり、県内外の様々な団体からの情報提供が行われ、子どもをめぐる「ネット・ケータイ」に関わる問題の多様さと大きさを改めて感じました。
弘大のネットパトロール隊によると、子どもたちをめぐる「ネット・ケータイ問題」には、次の3つの側面があるという。
1 ネットいじめ問題
2有害情報・情報発信問題
3 ケータイ依存症・集団同調圧力問題
今回は、このうち、特に「1」と「2」について、その実態と対策について考える筋立てになっていました。
「学校裏サイト」や「プロフ」に書かれた実際の書き込みを見せてもらいましたが、読むに耐えないような罵り、嘲りの言葉が並んでいました。たぶん、こういう書き込みをする子も、ふだんは「普通の子」なのかもしれません。だとすれば、相手の顔が見えないだけで、これほど人格が変わるものなのか。
ま、もっとも、ネットでの誹謗中傷は、子どもたちだけの問題ではありません。大人の方こそ醜い。「縮図」とはこういうことを指すのかと思いますね。
いろいろな話を聞いていると、結局は大人社会の問題だなと思います。ケータイ業界は、とにかく「数」を売るために、フィタリングなど当然すべき説明をしていない(弘大のプロジェクトチームの調査によれば、県内の業者で、必要な説明をしているのは約半数に過ぎないとか)。「有害」情報に子どもたちが簡単にアクセスできるようなサイトを提供する業者が存在することも事実。そもそも、携帯電話でネットにアクセスできてしまうこと自体、必要なんだろうかとも思う。
親は親で自分にも自信がないので子どもにきちんとした使い方(ネチケットなど)を教えていない。学校の先生も学校には持ってくるなの一点張りで、携帯電話の問題に正面から向き合おうとしない。ま、先生方から言わせれば、そんな問題まで学校に任せるなということだと思いますが。
いずれにしても、今やこれだけ多くの子どもたちが携帯電話を持っているのに、ほとんど「野放し状態」というのは、やっぱり異常な社会です。聞けば、そういう意味では日本は最も遅れているのだとか。「今」手を打たなければ…という弘大チームの危機感が、今回の会議でとてもよく伝わってきました。
各団体からの報告のあと、最後に参加者からの質問や意見交換もありました。学校の先生、PTA、行政関係者、警察、県議会議員など、様々な立場の方からの前向きな発言もとても参考になりました。ある高校の先生が、3月の入学予定者説明会の場で、10分でも時間を取って、この問題について専門家の方が説明するようにしたらどうかという提案をされていました。保護者のほぼ100%が参加する説明会は、確かにいいチャンスだなと納得。子どもと保護者が一緒に同じ話を聞ける機会って、学校では滅多にないし。
保護者の理解はもちろん必要ですが、やっぱりこの問題は、子どもたち自身が「ネット・ケータイ」の落とし穴についてちゃんと理解することが大事だと思います。今回の会議では、ある中学校の先生がネット・ケータイの問題を「道徳」の時間に取り上げているという素晴らしい実践報告をされていましたが、同じことをすべての学校でやるというのは現実的ではないかもしれません。ただ、すべての中学校・高校で、例えば弘大チームや県警のサイバー犯罪対策室の方を招いて話をしてもらう時間を設定するとか、関係者がアイディアを出し合って共通のプログラムを作るとか、とにかく「すべての中学生・高校生」が「ネット・ケータイ」の問題を知る時間を持つようにすることは、大人の義務ではないかと感じました。
確かに、フェイスツーフェイスじゃないコミュニケーションは、それだけに頼ってしまうといろんな部分で「退化」が進行しそうではありますね。「もう少し不便でもいいのではないか」というご意見にも賛成です。
なかなか後戻りは難しいですけどね。ただ、人間が機械の進化について行けない状態なのは間違いないと思っています。