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カクレマショウ

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回り道を助ける。

2008-01-10 | └キャリア教育
この冬休み、「難関大学」、「医学部」をめざす青森県内の高校生たちが2泊3日の合宿で、東京の大手予備校講師による授業をみっちり受けています。

読売新聞連載の「教育ルネサンス」の「入試最前線'08」シリーズで紹介されていました(2008年1月9日付け)。医師不足に悩む青森県としては、地元の高校生に医学部にたくさん入ってもらって、将来は地元に戻ってきて医師になってほしいということから、県教育委員会の事業として行われているものです。

地元のお医者さんになってもらいたいとなれば、地元の弘前大学医学部が視野に入るのは当然です。地域枠のある推薦入試はともかく、同学部の一般入試では昨年度の場合、50人の定員中、県内の高校からの合格者はわずか2人しかいないのだとか。県外出身者は、その多くが卒業後は青森県を離れてしまう。つまるところ、青森県の医者を増やすためには、県内の高校生の「学力」を上げて、弘前大学医学部にたくさん入ってもらう必要があるということです。

こうした試みは、青森県だけでなく、同じように医師不足に悩む東北各県でも行われていると新聞は伝えています。受験対策だけでなく、都市部やへき地の病院を見学する事業も同時に行われていて、医師という職業、病院という職場について体験的に学ぶことも行われています。

受験で必要な「学力」をつけることは確かに大切なことです。県が莫大な予算をかけてこうした事業を立ち上げることも必要でしょう。ただ、一歩引いて考えてみると、なんとなく釈然としないものを感じます。医者の「数」さえ増えればそれでいいのでしょうか…?

とりあえず、ある程度の「学力」がある高校生が医学部を目指す。その先には当然医師という職業があるわけですが、医学部を受験する高校生のうち、いったいどのくらいの生徒が「自分はこういう医師になりたい」という明確な目標を持っているのでしょうか。医学部を目指す以上、「医師になりたい」だけではいけないのではないかと私は思います。「どんな医師になりたいのか」、そこが曖昧であってはいけない。

もちろん、受験勉強に追われる高校生にそういうことをゆっくり考えろというのは酷な話です。でも、受験勉強に追われる前に、そこをゆっくり考えることは絶対に必要だと思います。逆に、「どんな医師になりたいのか」が自分の中にしっかり根付いていれば、勉強もはかどるはず(たぶん)。そして、彼らがそういうことを考えるためには、保護者や教員、地域社会の大人たちのサポートが当然必要です。それは、1日程度の「見学」や「体験」だけではとても培われるものではないでしょう。

回り道、と言われるかもしれませんが、教育って、そもそも回り道しなくちゃ成果は出ないものじゃないでしょうか? キャリア教育は、そういう回り道を大人が効果的に支援するものだと私は思っています。


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