カクレマショウ

やっぴBLOG

これからの教員には「プラス@」が必要

2007-02-15 | ■教育
弘前大学教育学部に、2005年度から教員養成学研究開発センターが設置されました。その2周年記念シンポジウムに参加してきました。

「青森より、新たな教員養成改革の挑戦が始まった!」といううたい文句に見られるように、「教員養成学」という形で教員の養成をとらえようという試みは全国で初めてのことです。シンポジウム前半では、同センターの2年間の取組が紹介されました。

学部長はじめ、大学側がしきりに言及していたのは、これまでの教員養成において、大学がいかに「無責任」だったかということ。教員免許を取得するために必要な科目をそろえ、修得させることしかこれまでやってこなかった、ということでしょうか。「教育学部」として、それを反省した上で、同センターを中心とした「教員養成改革」が始まった、と言います。実は、数年前の大学改革で出た、弘前、岩手、秋田の北東北三県の国立大学の教育学部の統合という話が、危機感をあおったことも事実のようです。

同センターの2年間の試みは、養成すべき教師像を「児童生徒に働きかけ、反応を読みとり、働き返す力を持った教育プロフェッショナル」と設定した上で、4年間の教員養成カリキュラムの改革をはじめとして、大学院の改革、学部教員の意識改革、自治体教育委員会との連携など、まさに矢継ぎ早の改革の嵐。なかでも、学部のカリキュラム改革については、
・科目を自己形成科目群、学校臨床科目群、教員発展科目群の3群に体系化
・1年次の教職入門→2年次の学校生活体験実習→3年次のTuseday実習と集中実習(従来の教育実習)→4年次の研究教育実習・学校教育支援実習(学校サポーター)といった教育実習関連科目の充実
・現代的な教育課題を視野に入れた教員発展科目群の充実
など、これでもかというくらいの充実強化ぶりです。2年間でここまで変わるのかと、そのバイタリティには心から感心しました。

センターからの報告はあわだたしく終了し、続いては教育界の重鎮を壇上に据えてのパネルディスカッション。ただ、現役の学校現場の先生方(校長)の意見はどうにも視野が狭く、センターが掲げる壮大な意気込みとは今ひとつかみ合わない感じ。もう少し「大局」からの意見を聞きたいものだとつくづく思いました。

それにしても、今日のセンターからの報告、シンポジウムを通して、「社会教育」とか「地域の中の学校」というフレーズが一度も聞けずじまいだったことはとても残念でした。センターがめざす「いい先生」とは、結局は豊富な知識力をもって「いい授業」ができて、子どもたちとちゃんとコミュニケーションがとれて、子どもたちを理解できて、自分自身もまた力量を高めようと努力する先生、ということ。なんだか、ますます先生を「学校」の中に押し込めようという感じがしないでもない。せいぜい「外」との関係は、「保護者」との「協同力」ですから。

それでいいのかな?と思います。いい授業ができて、子どもとも保護者ともうまくコミュニケーションをとるなんてことは、先生として「当たり前」のことだと思うからです。今、求められているのは、当たり前のこと「+@」じゃないのでしょうか。たとえば、地域社会とはPTAだけで構成されているわけではありません。多様な地域の人たちとどう学校はつきあっていくのか。企業とかNPOと学校との関係はどうやっていくのか。そんな中で教員の役割は何なのか。また、教員である前に、「大人」としてどう生きるのか、自身のキャリア形成をどうデザインし実行していくのかということも、日常的に子どもたちに「教育」するという立場にいる者としてはじっくり考えていく必要もあるでしょう。授業にしても、単に知識を上手に教えることだけが学校の役割ではないし、子どもたちの「将来」に結びつかない知識や学び方はまったく意味がありません。つまり、あらゆる教育活動を「将来の生き方・働き方」に結びつけること、つまりは「キャリア教育の視点」を持つことがこれからは一番大切なのではないでしょうか。そういうことは教員になってから考えてもいいのかもしれませんが、教員養成の段階から、自分自身のキャリア形成も含めて、そういった「キャリア教育の視点」を仕込んでおくことも必要だと思います。

というわけで、「プラス@」の部分がどこかに追いやられた今回のシンポジウム。しゃんしゃん、で終わった感じでしたね。

 

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