密談をしてはならないのが政治家。

安部前首相の辞任表明の時は、無責任だと非難したはずの民主党・小沢代表が、突然ボクもやめると言い出した。福田首相との密室会談で合意した「大連立」を職場に持ち帰ったら、副社長はじめ、社員のほとんどに反対されて嫌気がさしたらしい。

小沢一郎という政治家は、今は野党の民主党にこそ籍を置いていますが、この人は、実は自民党の古い体質をまだまだしっかり引きずっている人ではないかと思っています。先の参院選の際に彼が使った選挙手法にそれが顕著に現れていました。自民党のやり方をそのまんま踏襲したから「勝利」を収めることができたのです。

だから、民主党の若手議員が、「自民党的な」政治を変える、といくら叫んでみたところで、彼が代表を務める民主党も、結局は自民党と同じ轍を踏んでいくだけだろうと思っています。夜のニュースでは、鳩山幹事長ら党幹部の説得で、なんだかやめるのをやめるような雰囲気なのだそうですが、「原理原則の政治家」小沢一郎とすれば、いったん国民の前でやめると言ってしまったのに、それを撤回するのはしのびないところでしょう。どうなるかわかりませんが、どっちにしてもまた煙に巻いたような言い訳をするのでしょうね。

煙に巻く、と言えば、今回の「密室会談」の陰の立て役者は、あのナベツネらしいと聞いて、さもありなんという感じです。「盟主」ジャイアンツのためにならない改革には絶対賛成しないプロ野球界の妖怪。プロ野球界だけならまだしも、仮にも大新聞の主筆が、政治に首を突っ込むのはタブーでしょう。そういう「常識」を勝手に崩しては国民を煙に巻こうとしているのでしょうが、決して煙に巻かれてはいけない。

それにしても、「密室会談」やら野党第一党の代表の去就やらで世間を騒がせている政治家の皆さん、今は、国会の会期中だということを忘れてもらっては困ります。国会は、日本の最高議決機関です。国民の声をきちんと届けるという最も重要な時期に、いったい何をやっているのでしょう。「密室」で決めるのが好きな人たちって確かにいますけど、少なくとも、国民に選ばれた国会議員は密室にこもることは許されない。すべての議論は、国会の場で、つまり国民の前で正々堂々と戦わせなくてはならないはず。しかも、今回の「大連立」なんて、ナベツネ率いる読売新聞は別として、それを期待している人は決して多くはないのでは？　それをあえてやろうってんだから、それこそ白日のもとで丁々発止してほしい。

小沢代表が、このままでは次の選挙で勝てない、と言うのを聞いて、それはないだろうと思う。つい数ヶ月前の参院選後、次の総選挙に向けて…とあれほど意気揚々としていた口ぶりとこうも変わるものか。今のままでは選挙に勝てない→自民党と組んで、妥協しながら次の選挙で勝つ、というのではあまりに国民を馬鹿にしていますよね。

それほど選挙が大切なら、選挙の時の公約をまずはきちんと果たすよう努力してもらいたい。結果がすべてではないことは国民だってちゃんと見ています。公約実現に向かってのプロセスや手法の積み重ねが、最終的には勝利に結びつくことだって十分考えられます。

わけのわからない外野席に惑わされないで、まずはきちんと国会を務めることが先決でしょう。