トロイ戦争のクライマックスは、なんといっても「トロイの木馬」です。
アキレウスの死後、ギリシア軍の実質的な指導者は“知将”オデュッセウスでした(映画では、アキレウスの死は「トロイの木馬」作戦のあと、という設定になっています)。オデュッセウスは「ユリシーズ」とも呼ばれますが、イタケという小さな島の王です。トロイ戦争では、たとえばアガメムノンとアキレウスの対立の際に二人の間を取り持つなど、何かあると調停役として駆り出される役回りを演じています。ショーン・ビーン 演じるこの映画では、一人の兵士が子どもへのおみやげとして小さな木馬を作っているのを見て「木馬作戦」を思いつくというシーンが出てきますが、神話では、軍神アテナにかわいがられたオデュッセウスが女神から知恵を授けられたということになっています。
木馬作戦とは、長い戦いで破壊された自分たちの船の木材を使って巨大な木馬を作り、その中に兵士50人を潜ませるというものでした。そのほかのギリシア軍は故国に引き揚げたと見せかける。海岸にポツンと残された木馬を見て、トロイ軍はきっと戦利品として木馬を城内に引き入れるだろう…。
この時、トロイ側で木馬を城内に入れることに反対した人物が二人いました。一人はアポロン神殿の神官ラオコーンです。彼は、これは敵の策略にちがいないと警告しますが、これがアテナ女神の怒りを買い、海上から現れた2匹の大蛇に二人の息子ともども絞め殺されてしまいます。ヴァチカン美術館にある「ラオコーン」像はその様子を描いたものです。
そしてもう一人は、トロイの王女カッサンドラ。彼女は、アポロンに惚れられ予言能力を授けられていました。ただし、アポロンの誘惑を拒んだため、「彼女の予言を決して誰も信じない」というおまけがついてしまったのでした。カッサンドラには、木馬の中からギリシア兵が出てくる姿、そしてトロイの町が焼け落ちる様がはっきりと見えていました。ところが父プリアモスをはじめとして、彼女の言葉を信じる者は誰一人いなかったのです。
木馬を城内に引き入れたトロイの人々は戦勝に酔いしれました。すっかり寝静まった深夜、木馬の中からオデュッセウスら50人の兵士が現れ、町に火を放ちます。プリアモス王をはじめ男はすべて殺され、女性は奴隷として連れ去れました。ただ一人、ヘクトルのいとこのアイネイアスだけは家族とともに生き延びることができました。映画では、パリスから先祖伝来の「トロイの剣」を預けられる場面が出てきます。アイネイアスの子孫の一人が、ローマの祖とされるロムルスとも言われています。
こうして10年間にわたるトロイ戦争は終結しました。結局は、気まぐれな神々に翻弄されて多くの人間が死んだり苦しんだりすることになった、ということでしょうか。ゼウスの目論見はまんまと成功したとも言えるでしょう。
「トロイ」>>Amazon.co.jp
アキレウスの死後、ギリシア軍の実質的な指導者は“知将”オデュッセウスでした(映画では、アキレウスの死は「トロイの木馬」作戦のあと、という設定になっています)。オデュッセウスは「ユリシーズ」とも呼ばれますが、イタケという小さな島の王です。トロイ戦争では、たとえばアガメムノンとアキレウスの対立の際に二人の間を取り持つなど、何かあると調停役として駆り出される役回りを演じています。ショーン・ビーン 演じるこの映画では、一人の兵士が子どもへのおみやげとして小さな木馬を作っているのを見て「木馬作戦」を思いつくというシーンが出てきますが、神話では、軍神アテナにかわいがられたオデュッセウスが女神から知恵を授けられたということになっています。
木馬作戦とは、長い戦いで破壊された自分たちの船の木材を使って巨大な木馬を作り、その中に兵士50人を潜ませるというものでした。そのほかのギリシア軍は故国に引き揚げたと見せかける。海岸にポツンと残された木馬を見て、トロイ軍はきっと戦利品として木馬を城内に引き入れるだろう…。
この時、トロイ側で木馬を城内に入れることに反対した人物が二人いました。一人はアポロン神殿の神官ラオコーンです。彼は、これは敵の策略にちがいないと警告しますが、これがアテナ女神の怒りを買い、海上から現れた2匹の大蛇に二人の息子ともども絞め殺されてしまいます。ヴァチカン美術館にある「ラオコーン」像はその様子を描いたものです。
そしてもう一人は、トロイの王女カッサンドラ。彼女は、アポロンに惚れられ予言能力を授けられていました。ただし、アポロンの誘惑を拒んだため、「彼女の予言を決して誰も信じない」というおまけがついてしまったのでした。カッサンドラには、木馬の中からギリシア兵が出てくる姿、そしてトロイの町が焼け落ちる様がはっきりと見えていました。ところが父プリアモスをはじめとして、彼女の言葉を信じる者は誰一人いなかったのです。
木馬を城内に引き入れたトロイの人々は戦勝に酔いしれました。すっかり寝静まった深夜、木馬の中からオデュッセウスら50人の兵士が現れ、町に火を放ちます。プリアモス王をはじめ男はすべて殺され、女性は奴隷として連れ去れました。ただ一人、ヘクトルのいとこのアイネイアスだけは家族とともに生き延びることができました。映画では、パリスから先祖伝来の「トロイの剣」を預けられる場面が出てきます。アイネイアスの子孫の一人が、ローマの祖とされるロムルスとも言われています。
こうして10年間にわたるトロイ戦争は終結しました。結局は、気まぐれな神々に翻弄されて多くの人間が死んだり苦しんだりすることになった、ということでしょうか。ゼウスの目論見はまんまと成功したとも言えるでしょう。
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