カクレマショウ

やっぴBLOG

「プロシューマー」の時代がやってくる。

2007-09-06 | ■社会/政治
どんな商売も、基本はマーケティング。ニーズがない商品をいくら売り出しても儲けにはつながりません。どんな商品が売れるのか、消費者・ユーザーにどんなニーズがあるのかを調べるのがマーケティングですが、それを一歩進めて、本来、生産者・メーカーが担うべき商品の開発や企画を、消費者が主体となって進めるという新しい生産のスタイルが確立しつつあるようです。

たとえば、「空想生活」というサイトがあります。ユーザーが欲しい製品を提案し、多くの賛同が得られればメーカーに働きかけて実際に商品化していく。それをコーディネートするサイトです。この仕組み、資本主義の歴史の中では画期的なことです。「生産者」と「消費者」が明確に区分されるのが資本主義の特色の一つですから。

その概念自体は、もともと、未来学者のアルビン・トフラーが、その著書『第三の波』( 1980年)で提唱しているものです。彼は、「第三の波」つまり「脱産業社会」においては、消費者(コンシューマー)と生産者(プロデューサー)の間に横たわるギャップは、技術や情報によって埋められ、区別がなくなる。つまり、生産に関わる消費者が登場する。そうした新しい形の消費者を、トフラーは、「プロシューマー」と呼んでいます。30年近く前にそんなことを言うなんて、さすがはトフラー。未来のことを予測するためには、歴史をきちんと知っておく必要があるわけで、私は、トフラーは一流の歴史家であると思っています。

それはともかく、改まって考えるとなかなか思いつかないことですが、ふだん何かモノを使っていて、使いにくいなあと思うことはけっこうあるものです。ま、当然プロの生産者(メーカー)は、そういう声を丹念に拾い上げて商品の開発や改良に努力してくれているのだと思います。しかし、消費者の声をそのまま新しい製品の開発に生かすという発想はなかなか出てこなかっただろうし、たとえあったとしても、その手段がなかったのでしょう。プロシューマーの出現を可能にしたのは、インターネットの登場によるところが大きいと思います。不特定多数のユーザーの意見を集めるのに、インターネットほどふさわしいツールはないでしょう。ユーザーの意見というのは、「誰の」情報というより、「どんな」情報であるか、あるいは「どのくらいの量の」情報であるかが重視されるのですから。

「空想生活」では、ある提案が商品化されるか否かは、賛同者の「投票数」によるところが大きいようです。また、新しい商品の企画というわけではないですが、絶版された本や品切れの本の復刊を出版社に働きかける「復刊ドットコム」でも、賛同者が多い本ほど実際に復刊されるようです。

ところで、プロシューマーには、生産者に新製品の製造を働きかけるだけではなく、直接生産してしまう消費者も当然含まれます。自分の趣味で作った作品を商品として販売したり、「週末起業」として本業とは別の商売を営む人もプロシューマーと呼べるでしょう。要するに、消費者と生産者の「二足のわらじ」を履いている人ですね。

これから、ますます人々の生き方や好みが多様化していく中で、いわゆる「ニッチ」を埋める可能性も高いプロシューマーはますます増えていくことでしょう。そういう大人たちの姿を見て、子どもたちもそれを当然の生き方としてとらえていく。それはとてもいいことだと思っています。


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