カクレマショウ

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チョコレボ

2008-02-13 | ■世界史
明日は聖バレンタインデー。日本ではまたの名をチョコレート商戦の日とも言います。

チョコレートの原料はカカオですが、コーヒー豆と並んで、熱帯でしか栽培できない作物の一つ。FAO(国連食糧農業機関)の統計によると、カカオの生産高ベスト10は、コートジボワール、ガーナ、インドネシア、ナイジェリア、ブラジル、カメルーン、エクアドル、ドミニカ共和国、マレーシア、コロンビアとなっていて、ほとんどがアフリカか南米の国々です。

当然日本はカカオを全面的に輸入に頼っています。ただ、ほかの多くの輸入食品と同じように、そのチョコレートがどんなカカオを使ってどんなふうに作られたものかなんてほとんどの人が気にしない。ここ2週間ばかり、中国産冷凍餃子のことがニュースにならない日はありませんが、毎日テレビに映し出される「中国の餃子工場」、いったいどんなところだろうなんて通常は誰も気に留めない。事件が起きてはじめて目にする。ま、それも当たり前か。

ましてや、チョコレートの原料のカカオなんて、実物を見ることなんてまず日本ではありません。カカオの木ってどんな木なのか? カカオの実の大きさは? せいぜい「ガーナチョコレート」のパッケージに描かれた絵を思い浮かべるのが関の山。ということは、カカオをどんな人がどういう過程を経て育てているのかということもほとんどの人は知らない。もちろん私も知りません。

英国のBBCワールドが2007年に製作した”Our World: Bitter Sweet”という番組が視聴者の選ぶベストドキュメンタリーに選ばれているのだそうです。日本でも、ケーブルテレビで「世界は今 チョコレートに潜む苦い現実」というタイトルで昨年末に放映されたということですが、残念ながら見逃してしまいました。

番組の内容を調べてみると、アフリカ西海岸に位置するコートジボワールで、多くの貧しい子どもたちが学校に行くことも許されず、カカオ生産に従事しているという実態を描いた番組のようです。人身売買、強制労働と、まるでかつての奴隷貿易の時代のように、子どもたちが「社会」によって苦しめられている。これはコートジボワールに限ったことではなく、ガーナやカメルーン、ナイジェリアなどほかのカカオ生産国でも同じだという。

搾取されているのはもちろん子どもたちだけではない。カカオの生産に携わりながら、大人たちでさえチョコレートを食べたことがないと言う。欧米で売られているチョコレートの値段を聞いて驚くシーンも出てくるとか。「先進国」に住み、チョコレートを楽しむ人々は、逆にそんな彼らの生活などには思いもよらない…。

「生産」と「消費」がここまで乖離しているというのは、やっぱりどこかおかしい。

実は、その距離を少しでも縮めようという動きがあるようです。「チョコレボ」という運動。チョコレート革命。つまり、このような児童労働によって生産されたカカオではない原料を使ったチョコを買いましょうという運動です。そういうカカオは、多くが無農薬だったり、熟練の手間がかけられたりする。「人と地球にやさしいチョコ」というわけです。これもフェアトレード(公正取引)ですね。チョコレボ実行委員会では、オーストリアで作られたフェアトレードチョコをこのバレンタインに向けに紹介しているのだとか。

フェアトレードの商品は、もちろんそうでない商品と比べると明らかに値段は高い。でも、あえてそういう商品にお金をかけることも必要なのでしょう。消費者が少し目線を変えて生産者のことを考える。良心的な栽培方法と高度な品質管理をしている生産者を見分ける力を持つ。そして、それに見合った対価を支払う。生産者は、正当な対価を得ることによってさらに「安全安心」な作物づくりに励む。

こういうサイクルがもっと増えなければいけないと思う。何も外国からの輸入品だけでなく、国内の作物/食物にも、フェアトレードは必要です。そう考えると、「ちゃんとした米」なんかは、もっと値段が高くてもいいような気がします。消費量は減っているとはいえ、なんだかんだ言っても、米はこれからも日本人の「主食」であり続けることは間違いないと思うからです。



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