私は栄養の行き届いた人のほうが、やせ細った人よりも長生きをするに違いないと思っていたのだが、実は、この考えは私以外の人にとっては、非常識であったらしい。多くの人や学会の共通の考えは、ダイエットに心がけている人のほうが、そうでない人よりも長生きをすると信じられてきたのである。だから、中年太りに入ってしまった人たちは慌てて、公園で、ウオーキングなどをし始めるのである。ところが、アメリカ国立加齢研究所というところが、２０年間にわたり、アカゲザルの実験をしたところ、カロリーを約３割減らすダイエットをしても長寿につながらなかったという結果を公表した。毎日、毎日、ウオーキングに汗を流している人たちにとっては、ショックな結果かも知れないが、同研究所はその人たちを慰めるために、全く効果が無いわけではないと付け加えてはいる。コレステロールや中性脂肪が低くなり、がんや糖尿病、関節炎の発症が抑えられるということである。 ただ、私の想像であるが、この実験に用いられたアカゲザルがどのようなサルであったかによる。自然に近いサルならば、この結果はあまり信用できない。自然の動物は無用に餌をとらないからだ。鳥は食べ過ぎれば、空を飛べなくなることを知っているし、アフリカの肉食動物でさえ、食べ過ぎて敏捷性を失えば、他の動物の餌食になることを知っているからである。食べ物が身近にあれば、幾らでも食べてしまう人間とは違う。人間の周りに外敵がいないのである。
Y-FP Office Japan
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