ネクタイ

どうも調子が悪い。そのため昨夜は早々に帰って寝ようとするが、昼間に寝すぎたせいか、今度は寝付けない。毎度の睡眠障害で困ったものだ。仕方なく、ムックリと起きだして本を読み始め、1：00過ぎにようやく眠くなる。こういう生活を送っているせいか、今朝は7：00に起きるも、眠気が取れない。なにもかもがダウナースパイラルにはまっている。どこまで続く、蟻地獄脱出作戦。

いま、社会学系の本を読んでいるのだけれど、どう表現すればいいのだろうか、論旨の展開の仕方にどうしても違和感が残る。結論は面白いけれど、現実感が薄いというべきなのか。実証性が弱いところに解釈だけを押し付けられるから、こういう違和感を感じてしまうのかもしれない。
これは小生の持論で、現在読んでいる本とは直接関係ないが、「ネクタイとはチンポである」というテーゼがある。つまり、なぜリーマンがネクタイを締めるのかというと、それは、私は「一人前」の男性であるからビジネス相手として信用できますよ、ということを見た目でアピールするためなのだという考えから、ネクタイをチンポの象徴と結論付けることにしたのだ。したがって、女性がネクタイを締めるとどこか倒錯したエロスが漂い、ガキがネクタイを締めると背伸びしている印象を受け、すでに退職されているお年寄りがフォーマルな場でネクタイをしていると矍鑠（かくしゃく）としているという印象を受け、ネクタイをしない大人はある社会性を放棄していることを示しているということになる。
いかがだろうか？そこそこ面白い発想で、説得性もそれなりにあると自己評価しているが（エッ、くだらない？）、酒を飲んでいるときの笑い話以上のレベルではなく、実証性という点では心もとない。社会学系の本を読んでいると、その程度のレベルの推論のうえに推論を重ね、全体を構築している砂上の楼閣的な危うさを感じてしまう。でも、こちらの読書力不足なのかもしれない。
一方で、ネクタイ＝チンポ説は、どうすれば実証できるのだろうか。新橋のリーマン100人にたずねても、「みんながしているから」とか「社則だから」とか「そういう服しか持っていないから」という答えになるだろう（と思う。実際にやったことはない）。その結果から、日本のリーマンは主体性を失った社畜の群れであると規定してみても、どこか当たっているようで的外れなような感は否めないし、当のリーマンの意識ともずれているように思う。
ウ～ム、ネクタイひとつとってみても、議論のレベルを引き上げようとすると、なかなかに難しい。そもそも、どうしてネクタイを締める必要があるのだろうか。省エネのために「ノー・ネクタイ」をわざわざ奨励すること自体、何かがおかしい。小生には興味のないファッション史からも、その理由をアプローチできるかもしれないが、これはもしかしたら繊維メーカーの陰謀かもしれない。
ちなみに小生、営業に行ったり、お金が絡むときは、ネクタイも締めるし、背広も着る。クリーニング代がかかるのでなるべく洗濯しやすい格好で仕事をしたいのであるが、人と会う以上は、ある平均値のなかに自己を埋没させておきたい、という単純な話だ。日常は、腹巻にジャージに雪駄なので社会性を完全に放棄しているけれど、それを許容してくれる人ばかりとは限らないという恐れがあるからだ。
Ｐ舎大大社長はネクタイのことを「イカ」と呼び、用例として「早くイカはずして、こっち来て飲めよ」というような使い方をするわけであるが、大大社長も社会性を放棄したところで勝負したいという気持ちがあるから、まあいいか。

なぜネクタイのことを書いているのかというと、最近ネクタイを締めることがなく、つまり、社内にこもっての作業に明け暮れているばかりで、これでは貧乏脱出大作戦が発動できないではないか、という焦りが背後にあるのだ。つらいなあ。
それでも作業は進行する。しかし、終わりはまだまだ遠い。このあとも作業をしなければ。その前に、飯でも食べてくるか。

↓↓↓この本を読んでいるわけではありません。

男はなぜネクタイを結ぶのか (新潮新書) 出石 尚三 新潮社 このアイテムの詳細を見る