風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

高尾山から陣馬山へ

2009年01月05日 | 出版
年末から胃腸の調子が悪く、原因はストレスと飲酒であることはわかっていてもそれはどうしようもなく過ごしていたのであるが、やはり晦日から元旦も調子が悪いので、2日は1日絶食してみることにした。いわゆるところのプチ断食というやつだが、それで劇的に回復するわけもないことはわかりきっているので、一種のおまじないのようなものだ。
明けて1月3日、前からこの日はどこかの山に行こうと決めていたのであるが、空腹のため朝の2:00くらいには目が覚めてしまう。ラマダン明けはビールとポテチでお祝いしないといけないので、早速、近くのコンビにまで買出しに。正月早々ポテトチップとはいささか情けないけれど、冷蔵庫の中にちょうどいいつまみがないのでいたしかたがない。
よく眠れないが少々仮眠してから5:00前には起床。準備をしてからひとり6:45には家を出て、7:20新宿発のJR中央線高尾行きに乗る。ひさしぶりの一人登山である。単独行などという大げさなものではない。向かう先は、高尾山から陣馬山へのコース。数年前、やはり一人で行ったことがあるけれど、このときは陣馬山で下り口を間違えてひどい目にあったものだ。今回は、陣馬の湯にでもつかってのんびり帰れたらと目論んでいる。
しかしリュックが重い。山頂は寒いだろうと携帯コンロで少々煮炊きをするつもりなので、その準備でいつもよりも重くなっている。ところが、今回は間違えないようにと前日書店で買ってきたJTBのガイドブックを、家に置き忘れてしまった。アホかいな。ひとりで山歩きをするのも久しぶりだ。一応、妻を誘ったのであるが、「冬山なんて行きたくない」とありがたいことをおっしゃるので、とても助かる。行く先を、八ヶ岳あたりと勘違いしているのではないだろうか。
近年、ちょこちょこ東京近郊の低山を歩くようになったけれど、きっかけは数年前にF社の社長と二人で高尾山に登ったことである。確か夏のくそ暑いときで、なにかの拍子に「それじゃあ、夏休みでもとって高尾にでも登りますか」となったわけで、以来、信州の山猿の血が騒ぐようになり、山の空気を吸わないと窒息しそうになるときがある。それ以来高尾には何回か行っていて、特に元旦にはよく薬王院を参詣しているので、高尾はもうおなかいっぱい。今回はそこから先を楽しみたいという気持ちである。しかし、高尾山が「ミシュラン」に取り上げられるとは思わなかった。
8:20、京王高尾山口駅到着。睡眠不足のおかげで社中は爆睡。トイレに寄りケーブルカー駅の前で準備をしてから、いよいよ登頂開始なのだ。今回は稲荷山コースともいわれる6号路を進むことにする。朝日が左から照ってきて、とてもまぶしい。それにしても人が多い。3日なので仕方がないのかもしれないが、ゾロゾロゾロゾロ登山客が歩いている。小生もその一人なので偉そうなことは言えないが、自分のペースで歩けないとイライラしてしまうので、人の群れから早く離れるため、最初は早足になる。そのため、10分も歩いたら息があがってきそうになるが、そこは我慢。とにかく先を急ぐことにする。
30分ほどで、稲荷山展望台に到着。近くに真っ白に輝く富士がきれいに見える。関東平野をはさんで遠くには筑波山が浮かび、江ノ島からその先の房総半島まで見渡せる。いい天気でよかった。これも日ごろの心がけの賜物だろう。すっかり暑くなってしまい、着込んでいたものをリュックにしまい、ポリタンクに詰めてきた水道水をがぶ飲み。東京の水はうまいねえ。一緒に休んでいた団体さんが、「そろそろ出発しようか」と声をかけているので、その後塵を拝すのはゴメンと、こちらもそそくさと荷物をリュックに押し込み、早々に出発することにする。ついでにストックをリュックからはずして、歩きながら長さの調節。
3号路との合流地点を通過し、最後の階段を登るとあっという間に高尾山頂である。左手には、ずっと富士が輝いていた。高尾山頂もやっぱり人が多い。こちらは富士を眺めながら、またひと休憩。携行食に持ってきたぶどうパンを食べながら、コーヒー。ここからは、富士もさることながら、相州大山がよく見える。登ったことのある山を眺めていると、ある種の征服感を覚えるが、この説明はエロ話になるのでやめておこう。
9:45に出発し、城山を目指す。これからが本番なのだ。ここから先は、尾根伝いにアップダウンを楽しむことになる。歩き始めてしばらくすると、脳内モルヒネが出始めてきたのか、とにかく気持ちがいい。下界のさまざまな不愉快を忘れさせてくれる。
多幸感につつまれながら、10:25に小仏城山(630m)到着。一服してから10:30には出発し次の景信山(かげのぶやま)に向かう。とにかく暑い。汗が吹き出てくる。吹く風は本当は冷たいのだろうけれど、歩いている身には大変心地よい。木々の合間からずっと富士が顔を出し、その白さが美しいけれど、「富士は日本一の山」などと信州の山猿が歌うことはない。それはともかく、テンポよく11:10には景信山(727m)に到着。陣馬山までの行程の2/3ほどである。コーヒーを飲んだら、ポットに詰めてきたのはこれで終わりとなってしまった。わりと軽装の若い女性が、ガイドブックを見ながら「あの山はなんだろう、この山はなんだろう」と遠くを指差しては言い合っている。彼女らはどこから登ってきたのだろうか。正月早々、若い女の子二人で景信山なんて、と田舎のオバサンみたいなことを書くと殴られるので控えることにしよう。
それはともかく11:20には、そこを出発。すると、今度は北側の斜面に回りこんだせいなのだろうか、急に気温が下がったように感じる。ここまでは、解けた霜柱でぬかるんでいる道もあったが、景信山を出発すると、霜柱がぜんぜん解けていない。1箇所、雪が残っているところもあったけれど、いつ降った雪なのだろう。暑かったので手袋をはずしていたが、ストックを持っていないほうの手が少々かじかみ始める。
ところが30分も歩いているうちに、今度は疲労を意識するようになり始める。これまでと打って変わって、いつのまにか足が重い。山歩きのコツは、ナンバ歩きと丹田への集中だと小生は勝手に思っているのであるが、疲労のせいかなかなか前に進まないような気がしてきた。それでも12:15に明王峠に到着。もってきた弁当をここで食べちゃおうかなあと思うが、目指す陣馬山までもう少しだと元気付け、12:25に出発。しかし、ここからがさらに疲れた。以前登ったときも、この途中で腹が減ってしまい、山頂まであと10分くらいのところで弁当を食べ始め、ほかの登山者に不思議そうな目で見られたことがある。それを思い出してひたすらガマン。まだかなあ、まだかなあ、遠くに見えるあれが山頂だと、ひたすら歩く。この状態になると、山歩きのコツなんてクソくらえだ。
ようようにして12:50、陣馬山頂(855m)着。ベンチにへたり込み。リュックの中から缶ビールを取り出してひとり乾杯。グビリグビリ。ところが下から吹き上げてくる風が寒くて、汗が急に冷えてくる。あわてて、脱いでいたセーターやシャツを着込み直して、昼飯の準備に取り掛かる。といっても、野菜を刻んだものとみそをパックに詰めてきたので、それをコッヘルにあけ水を入れて沸かしてからうどんを入れるだけ。ところがこんなものでも、山で食べると妙においしいから不思議なものだ。ついでに、持ってきたお弁当も広げる。しかし、お弁当は余計であった。せめておにぎりにすべきであった。もったいないので全部胃袋にぶち込むが、腹がもたれてしょうがない。
すぐには動く気にもなれず、あまり風の当たらない枯れた芝生の上に避難してからしばし横になる。近くでは子供が芝生の上をコロコロ転がって歓声を上げている。そういえば小生も、ガキのころ裏山に行っては枯葉の上を転がっていたよなあなどと思い出しながらウツラウツラ。日差しは気持ちいいが、やはり風が寒い。ようやく下山する気になってきたので、荷物をまとめ下山準備。すでに足が疲れきっている。最近では珍しいが、これは前日のプチ断食の影響なのだろうか。
陣馬山からは、富士山はもちろんのこと、遠くには南アルプスの雪山があり、奥多摩の山々がすぐ近くに見える。奥多摩にはまた登りたいなあと思いつつ、天気がいいことに感謝。ついでに陣馬名物、馬のオブジェを撮影(画像)。前回来たときにもいたのだけれど、今回も山頂でラジオ無線をしている人がいた。「CQ、CQ、こちら陣馬山頂どうぞ」なんて、アンテナを張ってやっている。小生にはそういう趣味がないのでよくわからないけれど、なにが楽しいのだろうか。不思議だ。
前回は和田峠方面に下りてひどい目にあったので、今回は栃谷方面に下りることにするが、このルートでいいのかどうか、少々不安である。こういうときガイドを置き忘れてきたことが悔やまれる。悩んでいてもしょうがないので、14:00、栃谷方面と矢印に書かれているルートを下っていくことにした。わりと険しい下り道だ。ひとりとすれ違っただけで、登ってくる人もいない。疲れた足には少々ひびくけれど、文句を言う相手もいない。
14:40、ようやく里に出る。ここで温泉に入って行きたいのだけれど、なんだかすっかり夕方になったような気分で、まっすぐ帰ろうかどうしようかと優柔不断状態となる。舗装された道路に出たので、とりあえずは道なりにだらだらと下っていく。すると、「陣馬の湯はこちら」という看板が出ていたので、ついついふらふらとそっちの方向に進んでしまったが、これは余計なことであった。
人家の庭先を通ったりして、歩くこと30分ほど。ようやく「陣馬の湯」のひとつである温泉旅館にたどり着くけれど、すでに15:00前。今から風呂に入って云々と時間を計算してみて、やはり入浴は次の機会とする。それならば、最初から余計な回り道をしなければよかった。そのまま舗装道路をたどり、15:15、JR藤野駅行きのバス停のあるところまでたどり着く。大幅に迂回して下ってしまった。そこでバスの時間を見ると、1時間に1本しかないバス停で、次のバスまで30分以上ある。ボケッと待っているのもいやなので、藤野まで歩くことにする。
こちらは足が張っていて思うように歩けず、チンタラチンタラ駅に向かっていると、後ろから元気なハイヤーに抜かれていく。二人に抜かれたが、彼らはどこから来て藤野に向かっているのだろうか。15:45に藤野駅着。ちょうど15:59東京行きという快速があったので、それに乗って新宿に出ることにした。当然のことながら、車中はまた爆睡。いやあ、疲れたけれど、天気がよくて楽しい山行であった。今度は美女谷温泉でも目指そうかな。

奥多摩・高尾をあるく (大人の遠足BOOK―東日本)

JTBパブリッシング

このアイテムの詳細を見る


最新の画像もっと見る

コメントを投稿