風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

風塵社的土曜日

2017年11月18日 | 出版
某土曜日、チンタラ起き出してから遅めの朝食をバカスカ食べ、ようやく会社にたどり着く。10:30くらいか。まずは、ここのところの忙しさで散乱しまくっている社内を片付けないことには、仕事などする意欲もわかない。とりあえず、T製本から前日届いた新刊『マフノ叛乱軍史』を積み直して、スペースを確保。掃き掃除が終わったところで、社内にたまっている洗濯物を近くのコインランドリーへと持っていく。ジョギングで通勤することが多いので、替えのTシャツを社内に置いているわけであるけれど、そのため定期的にランドリーに行く必要が生じるのだ。
コインランドリーで洗濯をセットしたら、なんと、J社社長のTさんも来ているではないか。こんなところでなにをしているんだ?と声をかければ、「仕事の合間に洗濯をしに来たんだよ」「Me, too。そういえば、このあと会社にもどりますか?」「昼飯食べてからもどるので、30分後くらいかな」「例の新刊ができたので、あとで持っていきますよ」「ああ、ありがとう」なんて会話をして別れる。
こちらも一度社にもどり、今度は便所掃除と床のモップがけである。そこに先ほどのTさんが顔を出す。「あれ、酒でもこぼしたの?」「ちがうって。いつも昼飯をそこの流しで作っているでしょ。そうすると、床に水滴が落ちて汚れになるから、たまにはモップで拭かないと目立っちゃうわけ。これその新刊」「おおぅ、なかなかいいじゃない。でも、背のところギリギリだったね」「おかげさまで目立つ装丁になって、ありがとうございます」「腹巻さん、久しぶりに囲碁でもやらない?」「おっ、それはいいですねえ。Hさんにもらった碁盤もあるし。だけど、ちょっと待って。さっきの洗濯がそろそろ終わるから、回収してきて干さないといけないんです」「あぁ、そっかそっか。じゃあ、この本を会社に置いてきて、15分後くらいにまた来るよ」
いいですねえ。ネットでしか囲碁の対局をしていないけれど、盤をはさんで対面で打つ方がやっぱり楽しい。またコインランドリーへウキウキと向かい洗濯物を回収してくる。それを干していると、早々にTさんももどってくる。彼も腕がムズムズして仕方がないのだろう。
とりあえず5子局でお願いする。5子とは、黒が最初に盤面に五つ石を置かしてもらうというハンディキャップのことを指す。もちろん、小生が黒番である。前にTさんの胸を借りたときは、初手のかかりにどう対応しようかとしばらく悩んだ記憶がある。大きくはハサむのとヒラくのの二つであるが、そのほかに手を抜くという選択肢もあった。そこで手を抜いた場合、じゃあどこに打つのかというのはこれまた大きな問題である。今回も白の初手に対してどう受けるかは、悩ましいところだ。とりあえずは穏便に打っておくことにした。
その後、上辺に白の壁ができあがり、黒としてはその石を攻めつつ利益を収めたいという展開となる。チョボチョボと相手の白石をちぎって、右辺にはそれなりの地(利益)が見込めそうなのであるけれど、肝心の上辺の白の進攻を止められない。その進攻を食い止めるべくカケてみたのだけれど、これがまたまずい手で簡単に突破されてしまう。そうこうすると、左下の黒石が一つだけポツンと浮き上がってしまいそうだ。ウーン、困ったなあ。まるで赤軍に包囲されたマフノ黒軍のようになってしまう。マフノならばその局面を打開できるとしても、小生にはまったくその見込みはない。
黒は右辺に一手かけて、自陣に踏み込まれないようにしたいのだ。しかしそうすると、左下の黒石は「孤立無援の思想」となってしまいそうだ。「これも拒絶し、あれも拒絶し、そのあげくのはてに徒手空拳、孤立無援の自分自身が残るだけにせよ、私はその孤立無援の立場を固執」したいのだけれど、勢いを増してきた白軍に一子がそのまま飲み込まれてしまったら勝負にならないだろうと決断し、援軍を差し向けることにした。
ところが、そこから数手進んで小生がチョンボをしでかしてしまった。要するに、勝手ヨミをして足元をすくわれてしまい、なんのために援軍を送ったのか、意味がまったくなくなってしまう。左下で大損をしたうえ、さらに右辺の黒にしてみれば1丁目1番地の深々としたところに打ち込まれてしまった。こんな結果になるのならば、最初から「孤立無援の思想」路線にすればよかった、と嘆くだけ無駄である。この状況をどうまとめればいいのかなあと悩んでいるうちに、こちらは壁だと思っていた黒石がボッコリとジェノサイドとなってしまいゲームオーバーだ。
あれぇ、途中までわが黒色マフノ軍が優勢だと思っていたのに、なんで死んじゃうかなあ?そのへんにアナキズムの思想的弱さがあるのか?などという問題ではないのは当然のことである。悔しいから2局目は6子局で打たせてもらい、そこは勝ちをゆずってもらうことになるのだけれど、やはり5子局でTさんにギャフンといわせたかったというのが正直な気持ちである。それだけに悔しさがつのる一局であった。

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