風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

床屋さん

2010年04月01日 | 出版
最近、ジョギングを怠るようになってしまった。昨年末からの資金繰り大作戦で疲労困憊してしまい、酒でも飲まなきゃやってられるかという状態が続いていたら、ジョギングどころではなくなってしまっていた。しばらく間が空いてしまったので、確か、3月の20日の夜だったかに少し走ってみたら、翌日から左太もものつけ根が痛くなってしまった。その痛みもひいたので、昨夜は早々に帰宅し、久しぶりに走ってみるかと思い立った。
ところが、晩飯を食べたらもう眠くなってくる。ジョギングどころではない。少し寝てから走ることにしようと、21:00前頃布団に入ったら、やっぱり、朝まで寝ることになってしまった。小生は、体育会系でもなく、文科系でもなく、ただの山ザル系なので、腹が満ちると眠くなってしまうのだ。
翌日の朝は、本来早くに目が覚めるはずのものであるが、まさに春眠暁を覚えず。途中、何回か目が覚めるものの、うつらうつらしたまま、目が覚めれば6:30。バカみたいに寝たなあという、どうしようもない感慨と共に起き出すことになる。ボケーと新聞を読んでいたら、社内留保に税をかけろという共産党の主張はまちがっていて、法人減税をすべきであるという経済気象台の記事に目が留まる。
決して代々木を支持するつもりはないけれど(こちらは彼らのいう「ニセ左翼暴力集団」なので。また代々木とは、日共の本部が代々木にあることから、蔑称として日共を指す歴史的用語。ついでに日共という略称も蔑称。中共はOKで日共がNGという歴史的経緯については、誰かの論考を読まれよ)、あまりに大量の社内留保には課税してもいいのではないだろうか。そのくらい日本の状況が厳しいのはわかりきっている話であるし、法人税を減税したところで、弊社のような赤字会社にはどうせ関係のない話だ。弊社がもしもうかったら、そのコラムを書かれた「樹」氏の説になびくことにしよう。
そこでようやく、チンタラと会社に向かうことにし、9:20出社。久しぶりに書店さんを回ろうと思い立ち、背広を着ていくことにした。出荷作業をしていると、E堂製本N氏が、倉庫会社からの荷物を持ってくる。そこで二人で不景気だねえと愚痴をこぼしあうことになる。困ったなあ、本当に不景気だ。早く代々木が政権を握って、ルンペンブルジョワジーが楽をできる政策をとってほしいものだ。
ついでR社から、『子ねこチビンケと地しばりの花』の抜き刷りが届く。どうしてR社から届いたのかは内緒。ちょっとした手違いがあっただけなのだ。さっそく、裁断してみて、実物に近い形を再現してみる(画像)。いつもは、面倒なのでそんなことをやらないんだけれど、営業にもっていくのにちょうどいいなあと思ったわけである。ようやく落ち着いたところで、ネットで一局。あっさり負けてしまう。ムキになりそうになったが、それはやめておいて、書店さんを回るため、おとなしく会社を出ることにする。
某所に出て、まずはQBハウスへ。髪が伸びて目に入るようになって鬱陶しくなっていた。しかし、1000円で散髪できるというのは小生にとってはありがたい話であるが、街角の床屋さんにしてみればたまったものじゃないだろう。出版業(または書店業)と同じような構図に街角の床屋さんも陥っていると思うと、いささか悲しいものがある。そうはいっても、消費者の足は安い方にどうしても向いてしまうのだ。
ようやく散髪を終えて某超大型書店へ。『チビンケ』の案内なので、とりあえず、社会問題の棚に行ってみる。運よく担当のFさんをすぐつかまえることができる。そこで、抜き刷りを見せると、
「このタイトルじゃ、なんの本かわからないですよ」
この反応は想定していた。ところが、リアクションの仕方までは考えていなかった。慌てて、そもそもはK書房から出たものの復刊で、最初のタイトルが『子ねこチビンケ~』というもので、その後、社会思想社の教養文庫から出たときは『未決囚11年の青春』という書名になったんだけど云々かんぬんと説明することになる。
「ああ、『未決囚11年の青春』は覚えていますよ。私、前、文庫を担当していたから。確かにうちのお店はこういうジャンルは強いですけど。でも、普通の女性の普通の出来事という感じにできなかったですかねえ」
困ったなあ。確かにおっしゃるとおりでございますけれど、こちらは復刻版なので、どうしても前のものを踏襲せざるを得ないのだ。
「第二次大戦の戦記ものが、だんだん売れなくなってきているように、こういう新左翼ものもノスタルジーでしか買わなくなってきていますよ」
「そうなんですよ。絶滅危惧種といわれていますからねえ。でも、うちとしては若い人に買っていただきたくて、装幀も新しくしているわけで」
「うーん。オウム事件以降、過激な方向のゆがんだマルクス主義みたいなものは、全体に引いちゃう傾向があって、それで一足飛びに『蟹工船』でしょう?」
ヤバッ。5月に○○○もからむかなり危険な集会を準備中で、大きな枠組みとしてはその一環として『チビンケ』の復刊を考えているなんて、口が裂けても言えなくなってしまった。そういうこちらの腹づもりはさておき、「とりあえず、面出し分をお願いします」という言葉がFさんの口から出てきて、なんとなく一安心。こうして『チビンケ』は、世の若者に生きるエネルギーを分け与えるために、並ぶことになったのだ。
ようやくご注文をいただき後ろを見ると、3人ほど、Fさんを待っている人がいる。各社、売り込みに必死なんだなあと思った瞬間であった。


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