風塵社的業務日誌

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ワールドカップが終わって

2018年07月17日 | 出版
この暑さにバテきっている。仕事などする気がわかない。会社に出てきても、ネットでポケーっと某アニメを観てしまう。しかもこのアニメ、シリーズが結構長いのだ。日中だけでは見終えられるわけもないから、日が暮れたら酒を飲みつつ数日かけてがんばって観てしまった。ところが一方、帰宅すればワールドカップが待っているわけである。帰宅途中に缶ビールを買っておき、風呂に入ってからキックオフとともにプッシュウ。ところが、前半の中盤を過ぎると段々と眠くなってしまう。ゴールが決まって歓声がテレビから湧き起こってくると、ハッと目が覚めるようなありさまだ。おかげで、ハーフタイムに入ったところで観戦をあきらめた試合がどれだけあったことか。
日本代表について、少しだけ述べておこう。今回の西野監督の指揮はいろいろ取りざたされたものの、ポーランド戦での時間稼ぎは一世一代のギャンブルに出たものと評価はしている。結果が出てしまっている現在ならばなんとでも語れるけれど、ライバルのセネガルがどうなるのかわからない状況のなかで、戦略的になにもしないという選択をしたのは憎たらしいけれど天晴れであった。そしてさらに、国際的なブーイングの嵐も覚悟のうえでの決断なのだから、this is the soccerということである。winning uglyこそがサッカーの本質なのだということを知らないやつは、サッカーを語ってはいけない。
ところでおかしかったのは、この暑いなかなので、窓を開けっ放しでワールドカップを観戦しているお宅が多い。特に日本戦を熱心に見ていたのだろう。わが家も窓を開けて観戦していた。すると、日本戦で日本側が得点したら、小生のため息交じりのうめきがとどろき、下の家庭からは歓喜の叫びが聞こえてシンクロしてしまうのだ。逆に日本側が失点すると、小生の歓喜が響き、下の家庭や向かいの家庭からは「ア~(このアには濁点が付くのだろう)」という失望のため息がもれてくる。
日本のベルギー戦のときなんてひどかった。試合時間があまりに遅いから小生は見るのをあきらめてとっと寝ていた。ところが窓を開けていたのがいけなかった。お隣の家庭から日本を応援する声が聞こえてきて、早朝に目が覚めてしまったではないか。「なんだよ、日本戦で騒いでいるのか」と目が覚めてしまい、しょうがないからテレビを点けると、とっくに後半の40分を過ぎている。得点を見ると、2対2である。「なんだよベルギー、とっとと日本なんか片付けちゃえよ」という気分で眺めていたら、日本のセットプレーになった。そのボールをベルギーのキーパーが捕球してからの速いこと、速いこと。文字どおりアッという間に、ベルギーのシュートが日本のゴールに突き刺さっている。これには寝ぼけまなこが一瞬にして醒めた。
興奮のあまり、オオッと歓喜の叫びが湧いてくる。同時に、各家庭からは「アア~ッァ」という悲鳴がひびきわたる。なんだか、小生が勝者になったような気分で気持ちがいい。「くたばれ、日帝本国人!」などと言うつもりはないけれど(小生も日帝本国人の一人である)、日本代表におのれの姿を重ね合わせているような感じの応援の仕方はきらいだ。そのため、ひねた人間であるところの小生は日本を応援する気にはまったくなれない。それだけの話である。要するに、興奮するゲームを観たいだけなのだ。
したがって、一方で、日本代表が国際レベルになれるわけがないとクサす自称サッカー通にも与したくはない。西野の采配はともかく、現実として日本も16位内には入れたわけであり、そのくらいの実力があるということは認めるべきだろう。
1979年だったか、小生がいまだ中学生だったとき、家に帰ってたまたまテレビを点けたら、ジュニアワールドカップの決勝戦が行われていた。アルゼンチン対西ドイツ(当時)である。そのなかでひときわ輝く選手がいた。当時、小生はサッカー少年であったけれど、いまとちがって圧倒的に情報のない時代である(しかも田舎もの)。国際レベルとはいえ、ジュニアの選手なんておろかスーパースターでもなければ(当時ならばケンペスとかベッケンバウアー)名前も知っているわけがない。ところがその彼は、ドリブルすれば圧倒的なスピードで相手のディフェンスを斬り裂くし、的確に相手の裏スペースにパスを繰り出して相手のディフェンスを混乱させている。結果的に3対0でアルゼンチンが勝ったんだっけな。細かいことはすべて忘れてしまったけれど、その選手がマラドーナだった。
あまりの華麗なプレイにこちとら圧倒されてしまい、世界のレベルってすごいんだなあと素朴に噛みしめたわけである。以来、実は小生アルゼンチンのファンなのである、とはすでに述べたのだっけな。しかし、そのくらいマラドーナはすごかった。そのゆえに、その後の彼の活躍に対して、彼ならばあのくらいはそんなものなのかなぁという、なんとなく醒めた見方をしてしまったのも事実である。その裏に彼のどれだけの努力があるのかも知らず、いかにも素人めいた目線でいたことは打ち消しようもない。

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