風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

『トラブル依頼人』

2011年02月02日 | 出版
昨年末に本郷3丁目に引っ越したのだから、もう一月以上が経ったわけだけど、いまだ新事務所の生活に慣れていない。そのせいか、こんなはずじゃと思ってしまう失敗が多々ある。
まず、陽の当らないところでひとりポツネンと作業をしているので、時間の感覚がマヒしてしまう。まだまだ明るいのだろうと思っていたら、すでに18:00、19:00を回っていて、「アレ?きょう一日、なにをしていたんだっけ?」となってしまうのだ。特に、集中が切れてボケッとし始めると、そうなる破目に陥る。これ以上、作業をするのがいやだなあとネットで囲碁の観戦なんか始め、ふと気がつくと1、2時間が経過していたりする。でも、そんなに時間が経ったという実感がわいてこないのだ。まさに光陰矢のごとしである。まだ明るいのだろうと外に出たら、すでに日がとっぷりと落ちていて、あたりが真っ暗になっていたこともあった。
それに、これまで住んでいた1丁目あたりとちがい、湯島との県境は道路が狭い。このへんは、昔からの町並みの痕跡が残っているということなのだろうか。そのため車道も狭いので、車が来なければ、信号に関係なく道路を横切ることになる。そこまではなんの問題もないが、資金繰りを考えながら道を歩いていたら、2回も車に轢かれそうになった。恐い、恐い。一度は、道路を横断している途中、アッ、忘れ物をしたと振り返ろうとしたら、小生の後ろを通過していた車にぶつかりそうになった。考えごとに没頭していると、危険がいっぱいのようだ。もう一回は、信号が変わったので前に出たら、こっちが赤になったところだった。
まだ、このへんの交通機関に慣れていないのも、たまにつまらないミスを犯す原因となる。JR御茶ノ水駅に行こうとして、丸の内線の御茶ノ水駅に降りていき、切符を買おうとして間違いに気がついたということもあった。SUICAにチャージしていなくてよかった。SUICAが使える状態ならば、多分、改札を抜けてから気がつくだろうから、160円を損していたところだ。
資金繰りと締め切りに追われまくられているので、環境に慣れるどころでない。まあ、どうせそのうち慣れるものでもあるし、慌てることもないだろう。そんなことよりも、資金繰りのメドが立っていないことの方が、よっぽど頭が痛い。ウ~ム、なんとかならないものだろうか。さてさて困った、困った。ああそうだ。1月分の取次の請求書をまた作成しないといけない。1月も大した売上じゃないのはわかりきっているから、鬱になりそうである。
そんなある日、隣りのセブンイレブンで買ってきたインスタントラーメンを昼飯に食べる。セブンイレブンだと60円のインスタントラーメンが、ローソンだと100円だから笑ってしまう。そりゃ、セブンイレブンで買い物をするわな。それに、このへんは安売りのスーパーがないので、いささか物価が高いように思う。加賀屋というスーパーが近くにあるけれど、ものはいいのだろうけれど、割高感は否めない。その向かいにある魚屋さんなんて、一切れ250円なんていうシャケの切り身を売っている。おいおい、だれがそんなもん買うんだ。買う奴のツラを見てみたいものだ。食品をまとめて買うのならば、御徒町の吉池まで行けばいいのかもしれないけれど、こちらは毎日毎日宴会をしているわけではない。
それはともかく、ラーメンを食べたあと、そのままパソコンを前にウツラウツラしていると電話がかかってきて叩き起こされた。自然の摂理として、小生はいささか不機嫌である。「はい、風塵社です」と電話に出ると(多分、寝惚けた声だったのだろう)、「私、○○と申しまして、84歳のものなのですが」と、上品でしかも明瞭な物言いをされるおばあさんからである。そこまでは理解したのであるが、いまだ小生は覚醒してなく、あとはしばし機械的に相槌を打つのみ。
記憶の断片を整理すると、どうやらある訴訟トラブルに巻き込まれてしまったそうで、しかも旗色が悪い。そこでたまたま手にした弊社刊『トラブル依頼人』(麻田恭子著、1500円)を拝読され、日本の裁判制度におかしな面があるということに強い共感を抱かれたそうだ。なるほど。ありがたい読者からのお話に、いつまでも寝ているわけにはいかない、覚醒しなければ。
「それでね。裁判で強い不満を抱いている人って多くいらっしゃると思うのですね。そういうかたのお話を集めて本にまとめていただけないかしら」。その前提は確かにその通りかもしれないけれど、お客さんの顔がまったく浮かんでこないぞ。「いやあ、本を作るのも結構大変で、早々簡単に作れるわけじゃないんですよ」などと、腰の引けた返答をしておく。
もう少しいいタイミングでお電話をいただければ、小生ももっと気の利いたことを話せたのかもしれないが、ただでさえ軽いオツムの1/3がまだ寝ているままだ。「もう一度『トラブル依頼人』を読み直して元気を出させていただきます」と言って、そのかたは電話を切られたが、弊社の刊行物が誰かの役に立ってくれるのなら、それは出版社冥利に尽きるものだろう。どうかお元気でお過ごしください。


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