風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

1月期最後の返品日

2008年01月22日 | 出版
7:00起床、9:00出社。
本日は1月期最後の返品日である。取次各社どこからも返品が来ないことを冬空に祈るが、嗚呼、無情。取次全社が、情け容赦なく返品を持ってきやがる。冗談じゃない!腹が立ったが落ち着いて考えてみると、一時よりだいぶ減ってはきた。この調子ならば、3月には光明が射してくるのかな。ようやく底は打ったと勝手に信じることにしよう。

出版の場合、新刊が売れるかどうかやってみるまでわからないという大前提がある。トラックレコードやテスト販売のようなものが、中長期的には当てにならないし、短期的にもはずれることがよくある。また、思いもかけない大ヒットもある。そのため、「出版は水物」から転じて「水商売」と自称するわけであるが、何をどうしたら売れる本を作れるのか、またどうしたら自社商品を売ることができるのか、まったくわからない。
しっかりした販路を築き上げて、何をどうしたらいいのかがわかっている出版社や、どうしたら売れるものが作れるのか皮膚感覚レベルでもわかっている天才的な編集者というのはいるのだろうけれど、小生は天才的でもないし、会社は零細企業のままである。一方で草思社の倒産騒ぎを見てもわかるように、多くの出版社も何をどうしたらいいのかわからず、試行錯誤を繰り返しながら何とか維持しているというのがこの業界の現実でもある。
本当は、どういう本を作りどういうやり方で売っていくのか、版元・取次・書店などが知恵を寄せ集めて長期的展望を築き上げることが業界努力として最も求められることなのであろうけれど、お互いの利害も絡むし、全版元・全書店が参加できるわけでもなく、弊社なんかこの場合真っ先に締め出されてしまう。というわけで、業界としての努力には期待できない。まったくもって「孤立無援の思想」だな。

ということでお仕事お仕事。の前に昼食&囲碁。
13:00からようやく仕事開始。とりあえずはよからぬ作業に入る。1時間程度で終えるつもりが気づくと15:00。意外に手間取った。次に、またテープ起こしに入る。作業が佳境を迎えたところに、某氏が集金に来る。今月もお金がなく、支払う余裕などないと厳しく伝えるが鼻の先で笑われ、強引に取り立てられる。まるで手篭めにされたような気分である。鴻門の会で項羽に肛門を捧げる劉邦であるか。ア~レ~。
まったく気分を害し、労働意欲が著しく低下。仕方なく囲碁ゲームに逃げ場を求めるも、コンピュータごときにボロ負けし、さらにウツウツたる気持ちになる。仕方なく午睡。
ようやく気を取り直し、テープ起こし再開。すると電話があり、別件で会社を出なくてはならなくなった。忙しいのやら、愚図なのやら、長征は苦労が多い。

孤立無援の思想 (同時代ライブラリー)
高橋 和巳
岩波書店

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