昨11月10日 渋谷シアターコクーンで 長塚圭史演出 森山未来主演の 『タンゴ』 を観てきました。
ポーランドの ムロジェック(1930~)という人が 1964年に書いた戯曲です。
主人公は 学生のアルトゥル、 両親と祖母、祖母の弟、使用人と暮しています。
家の中は "自由"という名の 無秩序、 両親から上の世代がやっと手にしたものなのですが アルトゥルには だらしなく思え我慢がならない。
たまたま 居候の美しい18才の従姉妹にプロポーズをして 『結婚』という秩序から 不自由に向かって 革命を起こそうとするのです。
ポーランドは 陸続きのどの国もそうであるように 分割されたり統合されたりを繰り返していました。
第二次大戦後、992年に ボレスワフ1世が確定したものにほぼ近い形で 国境が定められました。
ソ連邦の影響下におかれ 社会主義国となります。
しかしソ連邦の抑圧に抵抗する市民により 民主化運動が拡大していき 1989年、 民主化。
この物語は 丁度 民主化運動の真っ最中 のものです。
一人だけ桁外れに長く難解な科白の森山未来は そのしなやかな動きもあって 異星人にも見えます。
秋山奈津子が 奔放な母親役、 最近問題作に主演の多い彼女は ポスターで見るのとは大違い 実物は品があって美しい。
TV出演もあるそうですが 見事に私の趣向外で 昨日 初めて拝見しました。
是非違う舞台も見てみたいと思います。
祖母役が片桐はいり、 特異な顔立ちで有名ですが 舞台ではちっとも異色ではない。
足の不自由な祖母を ちょっとオーバーに オーバーになりすぎずに ユーモラスに演じられ 彼女の身体能力の高さが見え、これもいい意味での期待はずれです。
自由という名の不自由
あさっての
コーヒーはあっても
あしたの
コーヒーはない
と
母は言う
生まれたばかりの
僕を抱いて
裸で森の中を
歩き回った とも
けれど 僕は
明日もコーヒーが飲みたいんだ
母さん
祖母と叔父と両親は 野卑な使用人と卓を囲んで ポーカー(時にブリッジ)をして
いかさまの使用人に カモられます。
アルトゥルには 我慢がなりません。
第二幕では 独裁者たらんとするアルトゥルを倒して 使用人がその座につきます。
劇の題名の『タンゴ』とは すべてが破壊された後にくる 不気味な「自由」の危うさをあらわしているそうで 曲は「ラ・クンパルシータ」でなければならないそうです。
劇のラストで 使用人と叔父、宙ぶらりんの立場だった二人が タンゴを踊ります。
男同士で踊るのは 珍しくなかったそう。
舞台は暗くなりますが 再び 誰もいないのに照明が点きます。
音楽だけが暫く流れ 終わりを告げる アナウンス。
森山未来が おまけにタンゴを踊ってくれるのかと思った。 これは喜劇だそうだし。
音楽だけだったら もっといい音にして欲しい。
wowowのカメラが入っていました。 彼らもきっとそう思ったはずです。
風呼r でした
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