ふと行く先を変えた
反対側のホームに到着した
特急電車に乗りたくなって
小一時間の乗車中
川を二つ越えて 終点に着いた
その間 そんな事しか考えていなかった
気が付くと 海の見えるその駅の
13番ホームに立っていた
待てども待てども
電車は来ない
13番ホームは とっくに廃線になっていたのだ
ペンキの剥げた 古いベンチに腰かけて
遠く沖から寄せてくる波を見ていると
何故だか 涙が滲んできた
ただの気紛れと
そんな自分に呆れていたが
暫くたって
むかし昔 恋い焦がれたひとが
片思いだと知っていたから
距離を置いていたひとが
あの日 その街で死んだと
風のうわさで聞いた
廃線の13番ホームから
きっと彼は旅立って行ったのだ
あの日 見えない列車を 私は
見送っていたのだ
by 風呼
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