木曜日の6時限の美術の時間は
よく 休講になった
教師は高齢で 有名な彫刻家という事で
制作に没頭すると 予定は否定になるらしかった
彼にとっては都立の高校で教えるのは
ボランティアにすぎなかったのだ
出席は全くとらなかったので
授業をエスケイプする者も多かったが
課題が出来上がるまで閉門まで居残ってもよかったので
そのうち皆んな創作を楽しむようになった
そう 木曜日の6時限目が休講だとわかると
ナヲコと私は図書室へ走り 朝刊をチェック
急いで名画座へと向かうのだった
そこでは 必ずと云っていいほど
クラスの誰かに出会っていた
現在と違って 映画館は上映ごとの入れ替えもなく
立ち見は当たり前の時代
たとえ込み合っていても ナヲコは
「すみません、すみません・・・」 と
上手に人を押しのけて 真ん中の通路に座り
次の回の上映には 席をゲットするのだ
結末が先にわかるのが難点だったが
私はナヲコの後を付いていけばよかった
ある時 若い男性が
「可愛いから 通しちゃうよな」
と言うのを聞いた
そうか ナヲコだから許されるのか
by 風呼
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます