ピカソ・マニマニア

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ナヲコ  (3) 名画座

2014-06-30 16:06:13 | 物語詩

 

木曜日の6時限の美術の時間は

よく 休講になった

 

教師は高齢で 有名な彫刻家という事で

制作に没頭すると 予定は否定になるらしかった

 

彼にとっては都立の高校で教えるのは

ボランティアにすぎなかったのだ

 

出席は全くとらなかったので

授業をエスケイプする者も多かったが

課題が出来上がるまで閉門まで居残ってもよかったので

そのうち皆んな創作を楽しむようになった

 

そう 木曜日の6時限目が休講だとわかると

ナヲコと私は図書室へ走り 朝刊をチェック

急いで名画座へと向かうのだった

 

そこでは 必ずと云っていいほど

クラスの誰かに出会っていた

 

現在と違って 映画館は上映ごとの入れ替えもなく

立ち見は当たり前の時代

 

たとえ込み合っていても ナヲコは

「すみません、すみません・・・」 と

上手に人を押しのけて 真ん中の通路に座り

次の回の上映には 席をゲットするのだ

 

結末が先にわかるのが難点だったが

私はナヲコの後を付いていけばよかった

 

ある時 若い男性が

「可愛いから 通しちゃうよな」

と言うのを聞いた

 

そうか ナヲコだから許されるのか

 

           

 

       by  風呼                 

 

 

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