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アントニオ・カルロス・ジョビン/イパネマの娘(SACD)

2006年08月01日 23時22分25秒 | Jobim+Bossa
昨年は7月1日に取り上げた私の夏の超定盤。クラウス・オガーマン編曲によるストリングスと、ジョビンがシングルトーンで弾いたピアノがフィーチャーされ、本場ブラジルのボサノバとは違うものの、ボサノバをイージー・リスニング・オーケストラ風に翻案するというアイデアがあまりにもうまくいってしまったので、私のような「ボサノバとはこのCDのような音楽」と勘違いする輩が続出したというアルバムでもあります。

 それにしても、このアルバムで施したオガーマンのオーケスレーションの巧緻は素晴らしさ一言に尽きますね。実態としては、クリードテイラーが受けた「お仕事」のひとつとして、淡々と作業しただけだったのかもしれませんが、ジョビンの作るロマンティックな憂いを含んだちょいと温度の低い音楽と、絶妙に共振したんでしょう。左チャンネルで聴こえるストリングスと右チャンネルの木管楽器群の絶妙な絡み合う中、センターに定位されたジョビンの弾くピアノがこれに組み合わさると、なんともいえず洗練され、極上の響きが部屋に充満してくるから不思議です(ついでにいえば、これもジョビンが弾いているらしいアコギのカッティッングも、このアルバムがボサノバであることを終始、忘れさせないための良い隠し味なってます)。

 ちなみに今回聴いたのは、しばらく前に出たSACD盤です。日本のオノセイゲンがリマスターを担当したらしく、各楽器の輪郭がまるで楷書体のように力強くきっちりと隈取られた音になっているのは、彼らしいセンスというべきなんでしょう。こういう処理はコンボ・スタイルのジャズにはぴったりでしょうが、オーケストラがフィーチャーされたこのアルバムのような音楽の場合、賛否両論かもしれません。ともあれ、これまで聴いてきた「イパネマの娘」の音とは、かなり異質な音がすることだけはたしかです。さながら「ハードボイルドなイパネマの娘」といったところでしょう。

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