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アマンダ・ブレッカー/プラジリアン・パッション

2010年08月06日 23時15分33秒 | Jobim+Bossa
 一昨年出た第2作。デビュー作ではシンガー・ソングライター的な色合いが強かったけれど、今回は母親のイリアーヌの威光にあやかったのか、ブラジル的なところも押し出し、「フェリシダージ」「おいしい水」「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」といった曲に挑戦しているし、オリジナル曲にもブラジル音楽的なテイストを随所に感じさせる仕上がりになっている。もっともプロデュースにデビッド・マシューズを筆頭に、演奏陣は前作と共通する人も多いので(ちなみに今回はゲストにイヴァン・リンスは入っているが、両親は参加していない)、ボサノバ関連の作品なども取り上げてはいても、前作からの「いくらかジャズ寄りなアメリカン・ポップ・アルバム」という感触は相変わらずだ。

 だいたい母親がブラジル人といったところで、彼女自身はほとんどアメリカで育っているのハズだから、まぁ、こうなるのも当然といえば当然だが、ホザノバ・スタンダーズを歌っても、あのブラジル特有なふわっとして物憂い雰囲気みたいなものは、まだまだ母親にはかなわないという感じがするし、これらの選曲、そしてどう考えてもアレンジは日本のプロダクション・サイドからリクエストでなされたような気配も濃厚だし、ブラジル物ならいざしらず、「枯葉」まで入っているとなると、これはいかにも日和りすぎという気がしてしまうのだ。
 そんな訳で、やはり本作でも魅力的なのは、前作と共通するちょっと土の香りがするオリジナル曲だと思う。こうした曲を例の品の良い開放感とお嬢様風な雰囲気を漂わせた風情で歌っている「Meant To Be」とか「On And On」、あとゴスペル風味を使った「Thirsty」みたいな曲はとても魅力を感じるし、客観的に見ても彼女の良さというのもやはりこちらに色濃く出ているのではないと思う。

 なお、プロデュースのデビッド・マシューズは、マンハッタン・ジャズ・クインテット時代から、日本製洋楽ジャズではお馴染みの人で、ここでも彼らしく良くも悪しくも穏健、ある意味で全方位な編曲をしているが、どうも没個性というか、何をやってもそれなりで、毒にも薬にもならない…みたいなところがあり、次の彼女のアルバムでは、もう少し方向性のはっきりさせたアレンジャー、プロデューサーに手がけさせてみたい気がする。おそらく彼女自身、内心ではもっとロック系なミュージシャンとの共演を望んでいるのではないだろうか。

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