Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

梁静茹(フィッシュ・リョン)/崇拝

2007年12月12日 23時35分18秒 | 台湾のあれこれ
 梁静茹(フィッシュ・リョン)は以前から名前だけは聞いたことがあった人なのだが、アルバムを購入したのは多分これが初めてである。彼女は数々のアーティストをスターにした李宗盛の秘蔵っ子として、1999年にデビューしたらしく、いつのまにか滾石唱片の中堅スターとなってしまった感があるが、このアルバムは新作らしく台北のショップではけっこう派手目にディプレイされているところが多かったので(赤を基調としたジャケ写真は日本のカメラマン、蜷川実花撮影だとのことだ)、試しに購入してみた。ジャケットはDVDサイズで、歌詞カードが紙のケースにプラスされた特殊ケースに、けっこう厚手のフォトノート(写真集+パステルカラーのノート)が同梱されている。「こんなノートもったいなくて使えないぜ」とかいってはいけない(笑)、この無駄なゴージャスさが台湾なのである。これに更にDVDが付いた豪華版もあるらしい。うーむ、そっちにすればよかったかな。

 さて、内容だがこれは一聴して魅了された。なにしろタイトル曲の「崇拝」が素晴らしい。アカペラで歌い始める厳かな開幕からピアノが絡み始め、心の琴線に触れまくりの旋律が歌われるあたり、「今時めずらしいくらいに正統派台湾ポップス」という感じだし、ストリングスやコーラスが重なってドラマチックに盛り上がるあたりの展開も素晴らしく、なんか久々に台湾ポップスの神髄を聴いたという気にさせてくれたのだ。彼女のヴォーカルは、女性としてはちょい低めのアルトくらいの音域で、声質もちょいとかすれ気味で、私の好みからすると、それほどど真ん中にヒットしているタイプでもはないのだが、抜群の歌唱力、人柄が伝わってきそうな誠実な歌い振りなど、とにかく説得力抜群だ。2曲目「セラヴィ」も理知的な面とほどよくコントロールされた情感とか絶妙にバランスしていて歌の職人を感じさせやけに心地よい。

 さて、この正統派王道台湾ポップスからはじまるアルバムだが、5曲目あたりから昨今のモダンな台湾ポップスの音にも目配せしているようで、ガレージ風なギター・サウンドやサイケなサウンドなども顔を出すが、彼女のヴォーカルはウェットなところと乾いたところが妙に交錯するところがあって、こういうサウンドだとそのドライさがうまくのって違和感を感じさせないところがいい。坂本風なく・ストリングスとエレトリックなサウンドをバックに配した6曲目などもおもしろく聴けるし、7曲目の楊乃文みたいなロック・サウンドもなかなかだ。ところでこの梁静茹だが、実はマレーシア人で台湾の人ではない。台湾のポップスのど真ん中にいながら、どこか自分はそれに客観視いているような微妙な距離感のようなものはひょっとすると、こうした出自によるものかもしれないな。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 臺灣之歌 | トップ | 梁静茹(フィッシュ・リョン)... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

台湾のあれこれ」カテゴリの最新記事