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エンリコ・ピエラヌンツィ /メレディーズ

2005年01月25日 00時21分55秒 | JAZZ-Piano Trio
 今日はエンリコ・ピエラヌンツィについて書いてみたいと思います。

 彼はイタリアのジャズ・ピアニストで、現在50台後半くらいだと思われます。彼のカタログは非常に豊富なようですが、目下のところ聴くことができたのは以下の6作品で、未だ全貌を掴めるような段階ではないと思うのですが、とりあえず聴いた作品はハズレがありませんでした....というか、どれもとても良いです。

・Meridies (`88)
・The Night Gone By (`96)
・Chant Of Time (`97)
・Infant Eyes -plays W.Shoter- (`00)
・Play Morricone 2 (`02)
・Fellini Jazz (`04)


 今、聴いているのはスペース・ジャズ・トリオ名義で出された「メレディーズ」ですが、後年のビル・エヴァンスやドン・フリードマンあたりと共通する透徹した感触というか、一種抜けきったような美しさという点では、いささか遜色があると思いますが、その分、ピアノ・トリオという、いわば最小のフォーマットの機動性を生かした躍動感や小気味よさ、そしてある種の覇気のようなものについては、私が聴いた6作品の中では一番のような気がします。

 したがって、アルパムでは比較的アップ・テンポなものが良いような気がします。1曲目では、メランコリックな冒頭のテーマから、ベースのソロ、そこから再びピアノ・ソロにバトンタッチしてしばらくテーマを展開した後、一気にテーマの回帰まで駆け抜けるよう進んでいくあたりの展開はスポーティーな躍動感に富んでいて本当に魅力です。さらにアップ・テンポで進む2曲目ではフリー的な手法を応用し、フリーっぽいパラけた感じを、崩壊寸前できわどくまとめたセンスが抜群です。また、スタンダード・ナンバーである4,5曲目は彼自身のスキャットを絡めているあたりが、ちょっと60年代のイタリア映画音楽の影響?を感じさせて、おもしろいところかもしれませんね。また、表向きブルージーなスタイルをとりつつ、ブルース的なアーシーさはきれいさっぱり脱色して、ある種のアブストラクトな音のぶつかりあいからくるダイナミズムのようなもので楽しませる7曲目。あの有名なスタンダード作品をビル・エヴァンス風ヴァースから始め、本編が進むにつれ、躍動感とともにテーマをバラバラに解体してしまうプロセスはピエラヌンツィらしいとしかいいようがないものです。

 そんな訳で、「メレディーズ」はどちらかといえば、ピエラヌンツィの動的な部分をクローズアップした作品といえそうです。


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