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ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ/バラード・イン・ブルー

2009年08月10日 00時11分29秒 | JAZZ-Piano Trio
 先日気まぐれで購入したアルバム。ルイス・ヴァン・ダイクというオランダ人のピアニストを中心としたトリオが2004年に製作したアルバムだ。レーベルは日本のM&Iだから、ヴィーナスとかアルファ・ジャズなんかと同様、「日本発の洋楽ジャズ」的作品なんだろうと思う(女性の曲線をあしらったジャケットなどヴィーナス・レーベル的でもある)。さて、ルイス・ヴァン・ダイクというピアニストだが、60年代にアン・バートンの伴奏者として有名になった人というから、キャリア的には大ベテランのはずだが、ヴィーナスでのエディ・ヒギンズなど同様、日本でこうして再発見されるまではほとんど無名な人だったのだろうと思う。

 さて、ルイス・ヴァン・ダイクだが、さすがにオランダ人のピアニストだけあって....といっていいのだろうか、軽量級ではあるが泥臭いところが全くなく、時のクラシカルな風情すら漂うエレガントで、実に美しいシングル・トーンを持ったピアニストである。オランダという国のことはよく知らないが、こと音楽に関する限り、ロックでも、ジャズでも、クラシックでさえもそうなのだが、軽快で女性的、スケールはこじんまりしているが、洗練されていてまとまりが良い....みたいな特徴があると思う。そして、このルイス・ヴァン・ダイクという人も典型的にそうした特徴を兼ね備えている人のように思える。まぁ、ミもフタもな言い方をしてしまえば、ユーロピアン・ジャズ・トリオの先輩格といったら、当たらずともなんとやらといったところだと思う。。

 収録曲は「日本発の洋楽ジャズ」だからして、日本人好みのものばかりであるが、「いそしぎ」、「捧ぐるは愛のみ」、「エスターテ」、 「ラウンド・ミッドナイト」、「おもいでの夏」「ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド」「春の如く」と選曲からして多少は渋いといえるかもしれない。前述のように典型的なヨーロッパ的な透明感と上品な感触のピアノを弾く人なので、アップテンポで豪快にスウィングしたりとか、元のテーマがなんだったのか分からなくなるようなアドリブとかはなく、かといって、実体のないお洒落なムードだけが取り柄みたいな、この手の音楽にありがちな陥穽にハマるぎりぎりところで、格調高く全体をまとめているのは、さすがベテランの妙味といったところだうか。

 個人的には時季も時季なだけに、大好きな「いそしぎ」や「エスターテ」が含まれていたのはうれしかった。ただし、どちらもありがちボサ・ノヴァ風なアレンジではなく、ゆったりとしたバラードで演奏されているのが逆に「いい感じ」である。また、これまた私の好きな「春の如く」は、ややピアノ・ソロでつづったやや散文的な演奏だが、詩的情感というか、うっすらとしたロマンティシズムのようなものも悪くない。数曲収録されたオリジナル曲は、いずれもクラシカルな趣が強いが、これなどもオランダらしい感性を感じさせる曲であり演奏である。

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