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キース・ジャレット病

2008年01月31日 23時32分38秒 | JAZZ-Piano Trio
 キース・ジャレットの音楽って、けっこうな音楽好きなら誰もが一度はハマるものだと思う。ジャズ的な黒っぽさとは無縁なヨーロッパ的な透明感、ロマンティックな情緒、そのくせインプロヴィゼーションの奔放な流れはジャズ以外の何者でもない....という、王道ジャズというにはやや特殊なタイプであるにもかかわらず、実は本質そのものなのみたいなところが、妙に人をハマらさせてしまうのだと思う。こういうのを「キース・ジャレット病」というらしいのを昔どこかで読んだことがあるのだが、実は身近なキース・ジャレット病患者が我が愚兄である。
 しばらく前に突然、夜に電話がかかってきて、いきなり「キース・ジャレットっていいなぁ、おい」みたいなことを言ってきたのだ。我が愚兄は大昔多少ジャズとかを聴いたせいで、チック・コリアあたりは今でも聴いていたりもしたのだが、キース・ジャレットというと「ケルン・コンサート」あたりの自己陶酔型長尺ピアノ・ソロというイメージがあって、敬遠していたらしいのだが、ここ四半世紀のオーソドックスなピアノ・トリオ・スタイルの演奏はいたくお気に召したらしい。

 私はとりあえず、キース・ジャレットのピアノ・トリオは、延々と続いたピアノ・ソロ時代の後くらいに始まったもので、キース・ジャレットがオーソドックスなピアノ・トリオでしかも大スタンダードを取り上げ、しかもその演奏がビル・エヴァンス・トリオに匹敵する高い評価を得たこと。そして、当初は一時的と思われたこのスタイルがその後四半世紀に渡って永続していることから、このピアノ・トリオはけっこうなアルバム数があることなどあれこれ説明してあげた(ついでにピアノ・ソロも断続的に続いていることも付け加えた)。
 話を聴くと愚兄の聴いた作品は「アット・ザ・ブルーノート」だったらしいのだが、私は電話しながら、「あの長大な作品がそんなに楽しめるもんなのか」と、すこしばかり首を傾げてしまった。「アット・ザ・ブルーノート」はCDで6枚組の超大作である。一応、レコーディング前提としてライブ・バフォーマンスだったのだろうから、曲のダブリこそないけれど、私にはこのアルバム、全体をせめて2枚組くらいに圧縮していたら、素晴らしい仕上がりになったはずなのに、こんなコンプリート盤にしたせいで、いささかだらだらとして、これといった焦点のない、やや緩慢な超大作になってしまった....ように感じたからだ。また、この時期特有な妙にバップににじり寄ったところも個人的にはキース・ジャレットに似つかわしくないと思ったりもしていたが、愚兄は軽くBGM的に流すもよし、ふと聴き耳を立てるもよし、という聴き方だったらしく、逆にこのあたりゆるいところ新鮮だったのかもしれない。我が愚兄が出会ったのが、私が大好きな「星影のステラ」だったら、同じようにハマっただろうか、ふと考えてしまった。

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