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Joe Locke Quartet / The Music Of Henry Mancini

2007年03月27日 23時45分25秒 | JAZZ
 先日マンシーニのサントラをネットで漁っている途中みつけたもので、ジョン・ロックというジャズのヴィブラフォン奏者が、95年に出したヘンリー・マンシーニのトリビュート・アルバムである。ロックは初めて聴く人だが、ティスコグラフィを見ると、83年あたりから盤歴があるから、ジャズの方では中堅といったところだうが、先日レビュウしたデビッド・ヘイゼルタインとの共演盤とかもあるらしいし、その他の共演者もフュージョンから新伝承派までいて、けっこうバーサタイルな人なんだろうと思う。このアルバムでは、ベースが御大エディ・ゴメス、ピアノがビリー・シャイルズ、ドラムがジーン・ジャクソンという、ピアノ・トリオ+ヴィブラフォンというMJQのフォーマットで演奏している。

 音楽はマンシーニの曲を9つほど取り上げているが、どれもグレーテスト・ヒッツ級に有名な作品ばかりだし、ジャケもオシャレな仕上がりなので、内容的にはスウィンギーな4ビートをブラシで流して、メロディックなソロを展開する....みたいなラウンジ風なジャズだろうと思っていたのだが(まぁ、そういう部分もないではないけれど)、意外に渋い仕上がりなのである。なにしろ、リズムは4ビート主体といっても、どちらかといえばモード・ジャズ以降の割と複雑で、ちょいギクシャクしたリズムが多いし、ヴィブラフォンのソロもジョン・ルイスみたいなストイックな訥々としたフレージングだし、ピアノももろにクールで理知的なタイプ、ベースはかのエディ・ゴメスという具合で、全体としてはマンシーニ的な甘いメロウなムードをジャジーに展開....というよりは、ちょいと苦めな仕上がりなのだ。

 特に1曲目の「スロウ・ホット・ウィンド」は、8ビートをベースに激しいリズムのキメ、複雑なソロの配置などなど、70年代後半から80年代初頭あたりに良くあったちょいシリアス目なフュージョンを思わせるハードさがあって、マンシーニ・トリビュートの冒頭でいきなりこれですかと思わせるほど骨太な音楽になっているし、5曲目の「その日その時」では、エディ・ゴメス得意のアルコがフィーチャーされて、温度感の低いクラシカルな仕上がりになっているのも意外だったりする。まぁ、この2曲はアルバム中ではいささか極端な例だけど、他の比較的オーソドックスな演奏も、正直いうと「私のヘンリー・マンシーニ観」からすると、少々温度が低く過ぎて違和感があるというか、早い話、聴いていてあまり寛げない感じがしたのは残念だった。

 ちなみに、本作は「ニューヨーク・カルテット/オードリーが愛した調べ~ヘンリー・マンシーニに捧ぐ」というタイトルで、かつて日本で発売されていたようで、ひょっとする「日本発の洋楽ジャズ」なのかもしれない。ちなみに、そちらでは冒頭が「酒とバラの日々」で、前述の「スロウ・ホット・ウィンド」は6曲目になっているが、確かにそちらの方が「らしい」と思う(笑)。

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