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ブラームス交響曲第2番/セル&クリーブランド管弦楽団

2006年11月19日 23時25分06秒 | ブラームス
このセルによるブラームスの第2番は実に久々に聴きました。ひょっとすると20年ぶりかもしれません。私のレビュウって「何年振りに聴きました....」ってのが、実に多いですが、あまりに大量の音楽ソースを抱え込んでいるに加え、そろそろ歳もとってきたことだし、音楽も「若い頃は....」的な回顧モードに入ってのかもしれませんね(笑)。ともあれこの演奏は、久しぶりに聴いてちょっと驚きました。「アレ、セルの2番って、こんなに柔和な表情を湛えた演奏だったっけ」という感じだったのです。

 この演奏はそれこそ四半世紀前、バルビローリ&VPO、サヴァリッシュ&VSOなどの演奏と並んで頻繁に聴いていた訳ですが、柔のバルビローリに対して、硬のセルという感じで、引き締まった表情であまり感傷に流れない直線的な推進力を持った印象があったのです。ところが、今回聴いところ、意外や意外、こんなにも穏やかでふっくらとした演奏だったのかと驚いているところなんですね。
 ブラームスという人は、本当はセンチメンタルで女性的な心情を心にもった人であったと思うんですが、表向き「ベートーベンの志を継いだ音楽の大家」としても生涯を過ごした訳で、音楽にはそのあたりの葛藤がもろに出ているところがあります。この2番などふと気が許してしまい、そのあたり本音が出たというところがなきにしもあらずで(笑)、遠くを眺めてぼんやり感傷に浸っている自分に気がついて、あぁ、いかん、いかん、と身を正しているブラームスが感じられる曲といってもいいでしょう。

 アナログ時代にセルの演奏を聴くと、この「いかん、いかん」の部分ばかりが表に出ていたような気がするのですが、CDで聴くとついつい夢想しがちなブラームスもほどよく感じられるという感じで、そのあたりのバランスは実は絶妙だったのだなぁと感じいった次第です。
 もっとも、これはCDに際して施されたリマスタリングの成果というのも大きいんでしょうね。アナログ盤の頃はいかにもCBSサウンドという感じで、キンキン鳴り気味だった弦楽器群や輪郭がくっきりし過ぎな感もあった木管楽器群も、とてもなめらかな音に変わっているのは、かなりドラスティックな変化といえます。まぁ、正直申して、どっちの音がマスターに近いのかははなはだ疑問ではあるのですが....。
コメント
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