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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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ジョン・レノンを聴け!/中山康樹

2006年07月21日 20時05分21秒 | Books
 ジョン・レノンというと近年は偉人伝に名を連ねるほどに正しく「偉人」になってしまったが、私のような古いファンの立場からいうと、あれはどうも居心地悪い。特に「反戦運動を通じて平和を訴えた」みたいなところを異常に持ち上げるアホなマスコミが多いせいか、どうもそうした「イマジン的レノン」ばかりが肥大化して、まるで現代の聖人君子のようにイメージになりつつあるのは、もはや居心地悪いを通り越して怒りすら感じ時もある。だって、ジョンってのはヨーコとベッドインして、ドングリかなんか配って平和運動気分を満喫している時、自分の持ち会社であるアップルが倒産しそうだなんて連絡はいると、平和運動なんざケロっと忘れてイギリスへとんぼ帰りできてしまったり、ビートルズはくだらねぇといっておきならがら、同じ場所でストーンズと比較されると俄然ビートルが革命分子だったなどという人ですからね。平和運動なんざ、ちょいとした気分でやっていたにすぎないことは、古いファンならみんな知っているし、気分をコロコロかえる人だということも知っている。

 さて、この本はそういう意味で、レノンの魅力はすばり声だと言い切っている点で溜飲が下がる一冊だ。つまらん平和運動などは切り捨て、いわゆる定説とされている曲の由来等もばっさばっさ切っていく。キーワードは「レノンはあの声でシャウトしたかったからすごかったのだ」である。まさに正解、音楽の場合、その背景にある事実関係とか心情みたいなものは確実に忘れされる運命にあるし、アーティストとして音楽でもって伝えたかったことも実は問題でなかったりするのだ。肝心なのは「ジョンが天国も戦争もない世界を想像してごらん」と歌ったから偉いのではなく、あの声で歌ったからその歌詞がそれなりに説得力をもったということだ。世の中ジョンが平和運動をしたから偉いと勘違いしているやつが多すぎるのだ。
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