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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

SQUAREPUSHER / Go Plastic

2006年04月11日 23時34分08秒 | ROCK-POP
 こちらは2001年の作品で、おそらくフル・アルバムです。先日レビュウした2枚のミニ・アルバムでは、その前のフル・アルバムで披瀝した手弾き+生音+アンビエント指向のようなものがけっこう濃厚でしたが、本作品は随所で90年代のゴリゴリしたサウンドと壮絶な打ち込みリズムを駆使した路線に回帰していて、どうも彼の生音路線に今一歩納得出来ないところがある僕みたいな人間にとっては、ある意味非常に聴き易い作品になっています。やっぱスクエアプッシャーはこうじゃなきゃ....みたいな。

 目立った曲を拾ってみると、1曲目はレゲエ風なリズムをフィーチャーしたポップな作品で、かなりコラージュ風に寸断された処理を施しているとはいえ、ヴォーカルをフィーチャーしている点がおもしろいところ。2曲目、3曲目は例の超高速で明滅するようないかにもスクエアプッシャーという感じの音で、なんか聴いていて異常にハイになってくるのは、スクエアプッシャーとしてはけっこう久々のような気もします。5曲目は生音風なサウンドをコラージュした音響風な作品。6曲目はアンビエント風な白玉とアップテンポの打ち込みリズムを対比がおもしろい作品。7曲目はこれも初期を彷彿とさせる超高速でアブストラクトな音響をつるべ打ちしていく例の音といったところでしょうか。

 という訳で、このところ聴いた数枚のアルバムの中では一番楽しめました。ただ、まぁ、「ハード・ノーマル・ダディ」の頃のような目がくらむようなスピード感は今一歩かな。全体的にミディアム・テンポやアンビエント風な音響も多く、割となだらかなスタートさせたみせかけて、ここぞという時に例の壮絶な打ち込みサウンドが登場させて、曲としてのメリハリをつけるみたいなアレンジが多くなっているような気もしました。彼もある程度歳をとったってことなのかもしれませんが。
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FLEETWOOD MAC/The Complete Blue Horizon Sessions

2006年04月05日 22時50分20秒 | ROCK-POP
 9月に取り上げた「The Best of Peter Green`s FLEETWOOD MAC」の直後に購入して、そのまま放置してあるボックス・セット。実はロックの方もけっこう未聴な箱がたまっていて、これの他にもポリスやアバ、あとクリームなんかもいつか聴こうかと思って以前から買ってあるのだけれど、例によって本でいえば積ん読状態になっているのは哀しい。フリートウッド・マックといえば、僕が大好きなバンドなのだだけど、好きといっても、時期的にはバンドの主導権をダニー・カーワンやボブ・ウェルチが握っていた頃が特別好きで、それ以前の作品は、実はあまりなじみがないというが正直なところだったのである。

 この時期のマックは一般的にはブルース・ロックといわれていわれていて、オリジナル・アルバムの他、シカゴに行って現地のブルース・ミャージシャンとセッションしたこてこてのブルース・アルバムを出したもしているんだけど、その割に代表曲が「ブラック・マジック・ウーマン」や「アルバトロス」だったりするし、メンバー的にもダニー・カーワンやクリスティン・マクビーがいつから入ったかもよく知らないし、とにかくところがどうもわかりにくい。ついでに僕が10台終盤の頃に購入した「英吉利の薔薇」とか「聖なる鳥」というのはどうも編集盤らしく、バックカタログ自体もはっきりしないというのも、それに拍車をかけていた。

 このボックスセットは、そんなもやもやした部分を解決すべく購入したのだけど、どうもボックスセットを聴くというのは、一念発起というかこちらもアクティビティ全開にしないと開けるる気にならず、前述の「The Best of Peter Green`s FLEETWOOD MAC」で、はずみがついたところで聴いていればよかったのだけれど、はずみがついてアマゾンにその場で注文したはいいが、到着するのに数週間もかかってしまうと、届いた時はすっかりと他のジャンルを目移りしてしまっていて、後回しにしているうちに、忘れ気味になってしまったというところだ。うーん、これまたいつなったら聴くことになるだろうか....?。

●DISC:1(ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マック)
01.My Heart Beat Like a Hammer
02.Merry-Go-Round
03.Long Grey Mare
04.Hellhound on My Trail
05.Shake Your Moneymaker
06.Looking for Somebody
07.No Place to Go
08.My Baby's Good to Me
09.I Loved Another Woman
10.Cold Black Night
11.World Keep on Turning
12.Got to Move
13.My Heart Beat Like a Hammer [Take 1][#]
14.Merry-Go-Round [Take 1][#]
15.I Loved Another Woman [Take 1-4][#]
16.I Loved Another Woman [Take 5-6][#]
17.Cold Black Night [Take 1-6][#]
18.You're So Evil [#]
19.I'm Coming Home to Stay [#]

●DISC:2(ミスター・ワンダフル)
01.Stop Messin' Round
02.I've Lost My Baby
03.Rollin' Man
04.Dust My Broom
05.Love That Burns
06.Doctor Brown
07.Need Your Love Tonight
08.If You Be My Baby
09.Evenin' Boogie
10.Lazy Poker Blues
11.Coming Home
12.Trying So Hard to Forget
13.Stop Messin' Round [Take 1-3][#]
14.Stop Messin' Round [Remix][Take]
15.I Held My Baby Last Night [#]
16.Mystery Boogie [#]


●DISC:3(聖なる鳥)
01.Need Your Love So Bad
02.Coming Home
03.Rambling Pony
04.Big Boat
05.I Believe My Time Ain't Long
06.Sun Is Shining
07.Albatross
08.Black Magic Woman
09.Just the Blues
10.Jigsaw Puzzle Blues
11.Looking for Somebody
12.Stop Messin' Round


●DISC:4(Blues Jam in Chicago, Vol. 1)
01.Watch Out
02.Ooh Baby
03.South Indiana [Take 1]
04.South Indiana [Take 2]
05.Last Night
06.Red Hot Jam
07.Red Hot Jam [Take 2]
08.I'm Worried
09.I Held My Baby Last Night
10.Madison Blues
11.I Can't Hold Out
12.Bobby's Rock [#]
13.I Need Your Love
14.Horton's Boogie Woogie [#]
15.I Got the Blues


●DISC:5(Blues Jam in Chicago, Vol. 2)
01.World's in a Tangle
02.Talk With You
03.Like It This Way
04.Someday Soon Baby
05.Hungry Country Girl
06.Black Jack Blues
07.Every Day I Have the Blues
08.Rockin' Boogie
09.My Baby's Gone
10.Sugar Mama [Take 1][#]
11.Sugar Mama
12.Homework
13.Honey Boy Blues [#]
14.I Need Your Love [#]
15.Horton's Boogie Woogie [Take 2][#]
16.Have a Good Time [#]
17.That's Wrong [#]
18.Rock Me Baby [#]


●DISC:6(Original Fleetwood Mac)
01.Drifting
02.Leaving Town Blues
03.Watch Out
04.Fool No More [Take 1-8][#]
05.Mean Old Fireman [#]
06.Can't Afford to Do It
07.Fleetwood Mac
08.Worried Dream [Take 1]
09.Love That Woman
10.Allow Me One More Show
11.First Train Home
12.Rambling Pony No. 2
13.Watch Out [#]
14.Something Inside of Me
15.Something Inside of Me [#]
16.Something Inside of Me [#]
17.One Sunny Day
18.Without You
19.Coming Your Way [#]

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SANTANA / Inner Secrets

2006年04月01日 21時23分09秒 | ROCK-POP
78年の第10作です。本作品ではそれまで音楽面を仕切ってきたキーボード奏者のトム・コスターが脱退し、変わってソウル畑の大物プロデューサーであるデニス・ランバート&ブライアン・ポッターが仕切ったことで、音楽的に更にポップに変貌しています。まぁ、ポップということであれば、これまでも充分にポップだったといえますが、本作品では従来のラテン・フュージョン色が大幅に後退し、ヴォーカル&コーラスを全面的にフィーチャーし、当時の音楽でいえばフリートウッド・マックとかジャーニーとかああいう風なAORロックに近づいた仕上がりといえるかしれません。

 特にA面の4曲は従来のサンタナ・ファンが真っ青になるような、もうそれはそれは絵に描いたようなAOR路線で、1曲目はウェスト・コースト・サウンド+ソウルフルなヴォーカルの組み合わせ、2曲目はクラビネットとエレピが演出するファンキーなリズムがフィーチャーされたソウル調、3曲目はバスドラ4つ打ちのディスコ・サウンド、4曲目はオシャレなソフト&メロウ路線と、いかにもいかにもな曲が続きます。なんか、初めて聴くのに自分が大人になりかけていた70年代後半の時代にタイム・スリップしたような気になって、妙に懐かしいものがありますが、はてこれがサンタナかといわれると、少々疑問符がつくかも....。
 もっとも、旧B面の5曲ではかなりサンタナらしさがかえってきて、5,6曲目ではニュー・ロック風なサウンドに回帰しているし、7曲目は「哀愁のヨーロッパ」路線、9曲目ではラテン・パーカッションの乱舞といった従来のサンタナ路線になっているので、とりあえずは一安心といったところでしょうかね。

 思い返すと、70年代後半というのは、パンク&ニューウェイブの衝撃派とそれに伴うロック・ミュージシャンの世代交替が、アメリカまで波及したした時期で、60年代からやっているミュージシャンはベテランに分類されるようになり、パンク&ニューウェイブに乗るというよりは、かつての自分らしさをいかにもいかに、一方の流行であるAORサウンドに違和感なく溶け込ませるかに腐心していた時期でもありますから、このアルバムなどある意味で「時代の音」だったのかもしれません。A面はちとやり過ぎてサンタナらしさが希薄になってしまいましたが....。
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SQUAREPUSHER / Maximum Priest

2006年03月30日 23時18分36秒 | ROCK-POP
 先日取り上げた「ブタカーン・マインドフォン」に前後して発表されたミニ・アルバムです。やはり「ミュージック・イズ・ローテッド・ワン・ノート」で取り入れたな手弾き路線を踏襲したアンビエント・テクノ風な音楽ですが、ここでも独特なアブストラクトな音響が、気持ち良いんだか悪いんだかわからない独特の感触を醸し出しています。全体としては「ブタカーン....」同様、「ミュージック・イズ....」より、若干リズム寄りのところを見せていますが、「ブタカーン....」に見られたようなガムラン風なところは、ほとんどありません。では各曲を簡単にメモっておきます。

 1曲目は「Song: Our Underwater Torch」はアルバム中もっともアンビエント色の強い作品で、超スロー・テンポのダブ+教会音楽という取り合わせが実に奇妙な感触を生んでます。2曲目の「Decathlon Oxide」はひきつったような音響にたたみ込むような波状攻撃をかけてくるリズムのとり併せで進んでいく、比較的初期のスクエアプッシャーらしい音楽。3曲目の「You're Going Down」は、クラブっっぽいモチーフを中心に据えたジャジーなテーマと、一転してギトギトのベースをフィーチャーしたテクノ風な中間部がおもしろい対比をみせた作品。

 5曲目の「Two Bass Hit」は「ブタカーン・マインドフォン」にも収録されていた作品の別ヴァージョンで、こちらはベースがあまりきこえずアンビエント的な雰囲気が濃厚。6曲目の「Circular Flexing」も初期的な「壮絶なドラム+アヴァンギャルドな音響美」をミックスさせた作品で、やはり個人的にはスクエアプッシャーというとこういう作品が好き(まぁ、昔に比べると大分落ち着いてますが)。7曲目「Shin Triad」は「ミュージック....」の一曲目みたいな生ドラムのグルーブ感が妙に気持ちいい作品で、途中でレゾナンス&シンセ・ベースのぐにゅぐにょなサウンドがいかにもスクエアプッシャー。
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スクエアプッシャー/ブタカーン・マインドフォン

2006年03月26日 19時30分30秒 | ROCK-POP
 スクエアプッシャーが生音、手弾き路線に方向チェンジした「ミュージック・イズ・ローテッド・ワン・ノート」に続く99年の作品です。この手のアーティストはアルバムとミニアルバム、あるいはシングルの区別がとても曖昧な上、作品は乱発気味なので、古典的な作品歴みたいな感じで把握しようとすると、迷路に迷い込んだようなカタログにぶつかって、よくわからなくなってしまうのですが、これについては、おそらく30分程度という収録時間からミニ・アルバムなんでしょう。ひょっとするとシングルの寄せ集めかもしれません。

 内容的にはほぼ「ミュージック・イズ....」の延長線上といってもいいものです、ここでもほとんどの楽器は手弾きのようですが、「ミュージック・イズ....」が1曲目を別とすれば、収録曲のほとんどがフリー・ジャズもどきのアンビエントな空間サウンドに覆われていたのに比べると、このアルバムではそれなりにリズムという要素が強くなっていて(例の壮絶なドラムの打ち込みはもちろんない)、ある意味聴きやすい音になっていると思いました。また、一部ガムラン的なリズムがあったりするのも特徴かもしれません。

 収録曲をメモっておくと、「Iambic 5 poetry」はスカ風なダブ・ビートをゆったりとしたテンポで演奏。叙情的でアンビエント風な白玉も印象的。「Fly street」は初期のドラムンベース路線をマニュアルでやったような曲。「The tide」と「Splask」は前作とほぼ同様のちょいと弛緩したアンビエント・サウンドで、後者はちょいとガムラン風なリズムが、結果的に80年代の細野晴臣と共通する音作りになっています。
 「Two bass hit」は左右に振られた2本のベースを組み合わせてでもって進むダブ風な作品でアルバム中一番マトモな作品。レゾナンス効きまくりのシンセベースのラインが初期への回帰を思わせる....というか本作中一番初期っぽい「Varkatope」。前述のガムラン風なリズムをメインに使った「Gong acid」といったところでしょうか
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スクエアプッシャー/ハード・ノーマル・ダディ

2006年03月20日 23時58分31秒 | ROCK-POP
 1997年に発表されたスクエアプッシャー(トム・ジェンキンソン)のセカンド・アルバム。確か日本ではこれがデビュウ作だったと思う。初めて聴いた時は、いろいろな意味で仰天した。70年代初頭のファンキーなジャズ・ロックをベースにしたテクノというのは、「ほう、そうきますか」的にアイデア賞なものだったし、それをほとんど人間業とは思えない執拗な打ち込み・サウンドでもって表現した点も凄かった。が、それにも増してここで聴けた強烈なスピード感には圧倒された。70年代後半に現れたテクノという音楽もここに至って、ほとんど極北に到達したんじゃないかと思ったほどだ。

 それは1曲目の「クーパーズ・ワールド」という曲に非常に分かり易い形で凝縮されている。この曲は60年代後半のブルーノートで乱発したジャズ・ロック系の音に「ビッチズ・ブリュウ」を足してような70年代初頭のCTIサウンドがベースである。もっと明け透けにいえば、すばりこの曲の元ネタはラロ・シフリンの「燃えよドラゴンのテーマ」だろう。ここではそれを超高速なテクノ・サウンドとして表現しているのである。しかも、その超高速の原動力が何かといえば、16分や32分音符のシーケンス・パターンでも、立ったデジタル・サウンドでもなく、ビリー・コブハムあたりをシミュレーションしたと思われる打ち込みドラムなのがなんとも凄いところだ。
 ビリー・コブハムといえば、その手数の多いドラミングで歴史的にも名を残す人だと思うが、この曲では彼のドラミングを打ち込みでもってかなり緻密に再現している。まぁ、それ自体、かなり凄いことには違いないことだろうが、肝心なのは「再現したのは手数だけで、グループ感はキカイのまま」という点だ。このくらい打ち込みを出来る人なら、ある程度グルーブ感は、ヴェロシティだのなんだのをいじくれば、もう少し生っぽい音にも出来たハズなのだが、あえてそれには一切頓着せず(しているのかもしれないが)、無味乾燥なキカイのグルーブ感でビリー・コブハムの怒濤の手数を再現し、それをアブストラクトなテクノ的音響とぶつかたところが、あの独特なスピード感を生んだのだと思う。

 そんな訳で、このアルバムも発売されてもう10年近く経つのだが、全く古びないどころか、今なおトンがった音であり続けていると思う。それはおそらくこれを更新するような音楽がその後現れていないからだ。一過性のキワモノかと思っていたが存外芸術品だったのかもしれない。ちなみにこのアルバム以降の彼らは、次だか、その次だかのアルバム「Music Is Rotted One Note」で、妙に生音指向になってしまい、こうしたスピード感が薄れてしまったので、僕はそれ以来スクウェアプッシャーはすっかりごぶさたなんだけど、なんでも近年はこういう路線に回帰しているようなので、また聴いてみようかなと思っているところだ。
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JON LORD / Beyond The Note

2006年03月12日 13時02分00秒 | ROCK-POP
 ディープ・パープルを脱退したジョン・ロードが一昨年発表したソロ・アルバムです。なんだかんだといいつつジョン・ロードも60歳を超えた訳で、きっともうそろそろハード・ロック・バンドでツアーをするのもつらくなってディープ・パープルを抜けたんでしょうが(ひょっとしていつもバンド内抗争でクビ?)、もともとクラシック指向の強い、ノーブルな性格みたいですから、本当はもっと早く辞めたかったんでしょう、いやはやご苦労様でしたといいたい気分です。

 さて、このアルバムですが、ディープ・パープル流のハード・ロックとはほとんど無縁な音楽になっています。全編に渡って小規模なオケというか、室内楽風な弦がフィーチャーされていて、たまに思い出したようにロック・ビートがそれ風なフレーズが出てきたりもしますが、ほとんどクラシカルな趣に塗りつぶされていて、ヴォーカルが登場する曲では、半音階風に上り詰めていくように展開を多用して、サム・ブラウン(ヴィッキー・ブラウンの娘)のフィーチャーした「One From The Meadow」など、前作「Pictured Within」のタイトル曲同様、まるで後期ロマン派の歌曲を聴いているような気分になったりもします(その他フリーダやミラー・アンダーソンが参加した曲もあってどれも秀作です)。
 また、もう40年近くも前の出来事になってしまった最初期のクラシカル路線を思わせるオーケストレーションや旋律が随所に登場するのも懐かしく、アルバム冒頭やジョージ・ハリスンを追悼した作品らしい「A Smile When I Shook His Hand」などは「バンドとオーケストラのための協奏曲」の第2楽章で展開された黄昏っぽいムードそのものだし、「The Telemann Experiment」では「4月協奏曲」の木管オーケストレーションやダイナミズムを思い出させる部分が出てきたりして、「ロードさん、やっぱりあんたは忘れてなかったのね」とかいいたくなっちゃいました。

 という訳で、私みたいなロートルにはなんか初めて聴くのに妙に懐かしいアルバムなんですが、客観的に見ると音楽の核になる部分が今一歩伝わってこないというか、全般的にちょいと音楽が薄味過ぎて、「だから何かいいたい訳ぇ?」みたいなところは確かにありますよね。前述のようなヴォーカル曲をもっと増やしてもエレガントな歌曲アルバムみたいにすればいいと思うんだけど、だめか。
 ともあれ、パープルを辞めてしまった以上、これ以上この手を音楽でもって活動を続けていくとなると、この人、スコアも書けることだし、映画音楽みたいな分野に行かざるを得ないんじゃないんですね。 
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サンタナ/ムーンフラワー

2006年03月11日 18時57分54秒 | ROCK-POP
 「フェスティバル」に続く77年の作品。ライブとスタジオ録音による2枚組の大作ですが、構成的にはディスク毎に分けられているのではなく、新曲のスタジオ録音と新旧の代表作のライブ・パフォーマンスをちゃんぽんに構成しているのが、この作品にある種の華やかさとヴォリューム感を与えています。この時期のロック・バンドには、「ベストヒット的ライブを出すと次のスタジオで大胆に音が変わる」みたいな不文律があったような気がしますが、ひょっとするとこのアルバムにもそうした意図があったのかもしれません。

 ディスク1はもろにAOR風なリズムちょっとトロピカルな雰囲気をまぶしたインスト「曙光」からスタート。ほぼ完全にイージー・リスニングというか軟派なフュージョン風の曲調で、おやおやと思っているとクロスフェイドして現れるのが、前作の冒頭に収録された「カーニバル~子供達の戯れ~喝采」のライブ・ヴァージョン、スタジオよりかなり早いテンポで一気呵成に演奏していますが、意外にもスタジオに忠実な演奏で、「ロータス」での垂れ流しとも天衣無縫ともいえるノリに比べると、かなりコントロールされているようでもあり、サンタナの変貌を感じさせたりもします.....というか、77年ともなればロック・コンサートそのものが、「パッケージングされたショー」へと変貌していった時期にあたりますから、別にサンタナだけが変わった訳ではないのですし、ディスク2に入っている2曲は、かなり70年代前半のノリを再現してますから、まるっきり変わってしまった訳でもないですが....。

 ともあれ、続くスタジオ録音による「アイル・ピー・ウェイティング」は、もろに70年代後半のソフト&メロウの影響を感じさせるポップな作品、「ズールー」はディスコ風なリズムを取り入れたインスト、インターリュード風な「バーヒア」をブリッジに再びライブに戻って「ブラック・マジック・ウーマン」「ダンス・シスター・ダンス」「哀愁のヨーロッパ」では従来のサンタナ路線を披露、続くディスク2ではゾンビーズのアレンジである「シーズ・ノット・ゼア」に前作の「ボレロ」に続く哀愁路線第3弾の「ムーン・フラワー」でスタジオ録音が続くと、名曲「ソウル・サクリファイス」がライブで登場....という感じで、ほぼアルバム全体が、新旧サンタナが交互に現れていくという構成になっているようです。もう何度も書いているとおり、この時期のサンタナはトム・コスターが仕切っていたハズですが、スタジオであれ、ライブであれ従来のサンタナ路線をトム・コスター流に翻訳しつつ、アップトゥデートな要素を盛り込んでいくセンスは、まさに冴えまくっているという感じですかね。

 ところで、このアルバム、高校の頃、FMでエアチェックして約半数にあたる部分を随分繰り返した記憶がありますけど、例の「シーズ・ノット・ゼア」が入っていたこと以外、今回聞き直してみたところ、タイトル曲の「ムーン・フラワー」は良く覚えていたけれど、後はさっぱりでした。当時何を聴いていたんだろうか、けっこう聴きこんでいたようにも記憶してるんだけどな。うーむ、歳はとりたくないもんです(笑)。
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DEEP PURPLE / Who Do We Think We Are

2006年03月05日 14時54分06秒 | ROCK-POP
 いわゆる第2期ディープ・パープルの掉尾を飾る1973年の作品。当時のパープルは「イン・ロック」「ファイアーボール」「マシン・ヘッド」というハード・ロック史上に残る作品を連打し、そのピークで「ライブ・イン・ジャパン」という決定打を放つという人気絶頂だった時期でもあり、まさにファン注目の内に発表された新作という感じでした。しかも冒頭に収録された「ウーマン・フロム・トーキョー」は日本絡みのタイトルで、かつショート・バージョンがシングル・カットされたりもして、話題にも事欠かないという作品でした。

 ただ、当時のファンとしては、全体の出来は「いまひとつ」といったところが共通認識だったように思います。当時の私は「ライブ・イン・ジャパン」を発売日に買ったりしていたくらいですから、ある意味パープルには相当入れ込んでいたハズですが、このアルバムに関しては、リアルタイムではついに買わずじまい(「ウーマン・フロム・トーキョー」のシングルは購入しましたが)、2,3年後に友人の購入したの借りてきてようやく聴いたという感じですから、当時このアルバムがいかに地味な評価を受けていたか分かろうかというものです。実際に聴いてみても、なんていうか、「ウーマン・フロム・トーキョー」だけが光り輝いていて、後に続く曲はどれも地味で冴えないといった感じなんですよね。これじゃぁ、盛り下がるのも無理ないと当時納得したもんでした。

 さて、久しぶりに聴く「紫の肖像」ですが、今聴くと案の定いいです。何がいいかって、それはこのグループ感に尽きるでしょう。曲やアレンジの多少クウォリティが低く、バンド内のテンションは降下気味であったとしても、全盛期のパープルがノリが充満していますから、これはもはやパープル云々というより、70年代ロックの最良なノリを捉えた貴重なドキュメントと見るべきでしょう。「ウーマン・フロム・トーキョー」のドラムス、ギター、オルガン、ベースと徐々に楽器が重なっていくイントロのリフなど、「ヴィヴァ!70年代!!」って感じです。
 ちなみに残りな地味な曲でも、「ラット・バット・ブルー」あたりは、これでもうちょっとアレンジがタイトだったら名曲のひとつになったかもしれないと思いますし、オーラスの「アワ・レディ」は、ハードロックというよりは、典型的な70年代ニュー・ロック風な仕上がりで、今聴くと味わい深いです。

 あと、余計なことですし、よく覚えていないのですが、当時のパープルって傑作だすと、次には地味目の作品になるみたいな不文律みたいなものをファンも信じていた節もありませんでしたっけ?。「イン・ロック」の次は地味な「ファイアーボール」だったし、「マシンヘッド」の次はこれでいいんだ、次にはまた凄いのが出る....みたいな(笑)、実際、このアルバムの後が第3期にリニューアルして「バーン」をかっ飛ばす訳ですから、あながちハズじゃなかった訳ですが、これってファンのある種の経験則だったのか、なんか根拠のある噂だったのか、どうだったんでしょうね。
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STEELY DAN / Everything Must Go

2006年02月26日 23時54分30秒 | ROCK-POP
 そういえばコレ未だ聴いてなかったな....と取り出してきた作品。スティーリン・ダンといえば、ご多分にもれず僕も「幻想の摩天楼 」からフェイゲン名義の「ナイトフライ」までの作品に魅了されたクチですが、以来、あまりといえばあまりに待たせた「カマキリアド(`93)」や、スティーリン・ダンとして復活した「トゥ・アゲインスト・ネイチャー(`00)」の出来がどうもいまふたつくらいだったもんで、このアルバムも多分がっかりしたくなかったんでしょう(笑)。もう3年近く放置されていたという訳。

 さて、ほとんど期待していなかったこの作品ですが、意外にもとても良かったです。いや、「ガウチョ」と同等などいうちもりは毛頭ありませんが、少なくとも前作、前々作より数段良いですね。私の考える「スティーリー・ダンらしさ」がかなり復活しているんですね。一体、前2作の何が悪かったかといえば、サウンド面であまり打ち込み臭が強すぎたことに尽きるんじゃないでしょうか。この手のマニアックなミュージシャンが陥りやすい道筋とはいえ、自分の思うがままに音楽をてっとり早くやりたくて、打ち込みでなにもかも作ってしまい。それをデモはおろかベーシック・トラックにほとんど流用するおかげて、出来上がったサウンドはグルーブ感が希薄でコクがないものになるという陥穽に、スティーリー・ダンは見事に落ち込んでいたと思うんですね。曲がどうの、ヴォーカルがどうのこうのという前に、私にはサウンドが死んでいた....としか思えなかったです。

 今回の作品はライブ・パフォーマンスを新旧の楽曲を精力的にこなした成果なのか、比較的固定したメンツを起用して、一発録りによるという方式で収録されたようです(ただし、メンツ的には地味です。僕の大好きなビル・チャーラップが2曲ほど参加しているのはうれしかったですが)。おそらくそのあたりが効を呈しているんでしょう。グルーブ感やサウンド面でも確実に従来のスティーリー・ダンの「ちよっとアーシーで屈折した都会的AOR」が復活していると感じました....というか、調度「ガウチョ」や「ナイトフライ」のデモ・テープって感じです。これを元に超豪華になメンツの音を偏執狂的なこだわりで差し替えていくと、あのサウンドになるといったところでしょうか。
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サンタナ/フェスティバル

2006年02月21日 00時08分48秒 | ROCK-POP
 サンタナの久々のメジャー・ヒットとなった「アミーゴ」の勢いを借りて作られた1977年発表の第8作。音楽的には全く前作と同一路線といってもよく、メジャーなポップ・シーンに目配せをしつつ、フュージョン的な心地路良さを従来のラテン風なリズムにミックスした70年代後半のサンタナ・モードといえます。とにかく前作同様何か吹っ切れたように、ひたすらポップで快適なサウンドを繰り出していく訳ですが、そのあたりに「サンタナってもっと不器用なロック野郎じゃなかったけ?」などと、若干の疑問をどこかで感じつつも、この心地よさには思わず脱帽してしまうというアルバムでもあります。

 収録曲では、冒頭のメドレー「カーニバル~子供達の戯れ~喝采」が圧巻。ホイッスルからいきなりラテンパーカッションの乱れ打ち、サルサ風のリズムを伴ってコーラスでひとしきり軽快に歌った後シンセ・ソロを挟んで、曲がミドルテンポになるとサンタナがギターが登場、ウェスト・コースト風なコーラスと絡みつつ、グレッグ・ローリーを思わせる懐かしいオルガン・ソロなども交えて、徐々にテンションを上げていくあたりはスリリングだし、そのピークでサンタナ的なリフが炸裂するラストの曲に雪崩れ込んでいく構成も見事です。前回も書いたとおりこの時期のサンタナはおそらくキーボードのトム・コスターが音楽を全面的に仕切っていたと思うのですが、この曲は「トム・コスターが翻訳したサンタナ・サウンド」の最良のものといえると思います。いや、こんな回りくどいことを書かずとも、既にサンタナの名曲なんだろうとは思いますが。

 他の曲では「ギブ・ミー・ラブ」「リーチ・アップ」はもろにAORサウンド、「レット・ザ・ミュージック・セット・ユー・フリー」「大河のように」はディスコ風とこの4曲あたりが一番ポップな曲となりそう。「真夏の夢」はジプシー風なアコスティック・インストでひょっとすると当時流行のサンタエスメラルダあたりを意識したのかも、「哀愁のボレロ」は「哀愁のヨーロッパ」の続編にあたる当時のサンタナのもう一方のメルクマールである哀愁の欧州ムードただようあの路線で、今回はボレロのリズムから始まるのがミソですかね。ラストとの「情熱のマリア」は冒頭のメドレーと呼応するサルサ風のリズムをフィーチャーしたホットなナンバーです。

 という訳で、これも「アミーゴ」に負けず劣らず充実した作品ということになりましょう。あっ、そうそう、全く個人的な好みなんですが、前作の「アミーゴ」と本作は随所でトム・コスターの弾くストリング・シンセが聴こえるんですが、この冷たい音色がなんともサンタナのサウンドにやたらと心地よいです。ストリング・シンセってイギリスのバンドの専売特許じゃなかったのねぇ。
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DEVO / Q:Are we not men? A:We are Devo

2006年02月18日 21時39分33秒 | ROCK-POP
 懐かしいアルバム。多分20年振り以上に聴いたことになると思います。これが発表されたのは70年代終盤頃だったと思いますが、当時のロック・シーンにはパンク/ニュー・ウェイブというムーブメントが吹き荒れていて、とにかく60年代後半以降のニュー・ロックを全て否定することで、新しいロックの創造するってな、集団的なダダイズムのようなことになっていました。今からすれば想像しにくいことですが、70年代ロックと共に生きてきたような人間は、こうやって生まれてきた新しいロックを拒否するか、そこから何かを見いだして新しい同時代ロックとして聴いていくか、ひとつの大きな岐路みたいな状況になっていたんですね。

 ディーヴォのこのデビュウ作は、当時のニュー・ウェイブ・シーンを象徴する作品として、かなりもてはやされたものでした。パンク・ブームがあっという間に終わり、その次にニュー・ウェイブが「パンクにテクノ風味をまぶしたようなロック」だとすると、このアルバムの音楽はまさにそういう特徴を兼ね備えているだけでなく、「おまえたちは人間?、いやディーボ」あと「退化」などという、今ではお寒くなりなりそうなキャッチが、当時がやたらとカッコ良かったし、当時のアングラに席巻していたニュー・ウェイブ的音楽の最大公約数的なところをすくいとって、ある種のポピュラリティをもった音楽をつくっていたというのもきっと良かったんだと思います。
 かくいう私もニュー・ウェイブに開眼したのは、イギリスだとXTCとウルトラヴォックス、アメリカだとこのディーボとトーキング・ヘッズあたりということになるんだと思いますが、ディーボの場合、実はこのデビュウ作の前に「ノー・ニューヨーク」というコンピレーションにアングラ時代の曲が収録されていたダダイズム的ムードたっぷりのサウンドが強烈だったもので、このアルバムにもその方向を期待した訳ですが、前述の通りかなりポップな音だったのが意外だったりもしました。当時はレコード会社に強要されたかなとか思いましたけど、2枚目以降は更にこの傾向が加速したような記憶がありますから、本当はそういうバンドだったんでしょう。

 ともあれ四半世紀ぶりに聴くこのアルバムですが、実に「まっとうなロック」に聴こえるのが不思議です。当時はキワモノすれすれのトリッキーな音というイメージでしたけど、ブライアン・イーノがやったと思われるアブストラクトなSEとかテクノ風な感覚や「ひきつったような」と称されたヴォーカルなども、実は確かなテクニックに裏打ちされたよく練られたアンサンブルとアレンジをベースにした「良質なギターポップ」の上物としてのっかっているだけだったのが、今聴くとよく分かます。
 という訳でこのアルバム、長い風雪に耐えたおかげて、アナーキックなところやエキセントリックなところはキレイっぱり時代の洗い流されてしまい、核心の音楽部分だけが残ったというところでしょうか。
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サンタナ/アミーゴ

2006年02月06日 23時59分55秒 | ROCK-POP
 「不死蝶」に続く76年発表のスタジオ録音第7作。セールス的には低迷気味だった70年代中盤頃のサンタナが放った起死回生の一作。そして日本では「哀愁ヨーロッパ」が入っていることでも、サンタナの盤歴では記憶に残る作品といえます。発表当時、つまり私が高校生の頃、日頃、ニュー・ロックもラテン・ロックもほとんど関係ない友人が何故だかこのアルバムを購入して、私に貸してくれた記憶がありますが(「フェスティバル」の方だったけかな?)、要するにあまりロックに縁のない人間まで買いに走らせたような、ポピュラリティーを獲得した作品だったんでしょうね。まぁ、私自身は、その時の音楽的な印象は現在ではほとんど残っていなくて、この作品もほとんど昨夜初めて聴くような感じだったのですが....。

 さて、このアルバムですが、音楽的にはほとんど全面刷新してしまったくらいに印象が異なります。AOR路線、フュージョン的サウンドの追求、曲のコンパクト化と音楽的な傾向を並べれば、「不死蝶」の延長線という感じになる訳ですが、音楽的感触としては明らかに違っています。前作までのアルバム群が、とにもかくにもカルロス・サンタナという人が追求してきた音楽主義的な産物だったとすると、この作品にあるのは、明らかな商業主義という感じがするんですね。
 邪推ですが、このアルバムでサンタナはほとんどギターを弾いただけだったんじゃないでしょうか。音楽を全面的に仕切ったのはどうもトム・コスターのような気がします。彼は低迷するサンタナの売り上げに復活させれるべく、あの頃の売れ筋の音楽をサンタナ風に模様替えしたお膳立てを用意して、サンタナはそこにギターかぶせただけみたいな感じもするんです。まぁ、逆にいえばセールス低下から自信をなくしていたサンタナが、トム・コスターにあえて下駄をあずけてしまった作品というべきなのかもしれません(ビル・グラハムがマネージメントして喝を入れたということも考えられますがー笑)。

 ところが、それでサンタナの音楽がダメになったかというとそうでもないのがおもしろいところ。この作品、前作までの「サンタナの宗教感に基づいたフュージョンの手法を使った桃源郷サウンド」はきれいさっぱりなくなっているものの、トム・コスターがもたらしたコンテンポラリーなAORフュージョン的センスとサンタナのメルクマールが実にうまくドッキングして、全編に渡ってとても洗練されたスムースさにみちた、とても聴きやすい作品になっていているんですね。冒頭3曲などは現在聴いてもラテン・フュージョンの傑作として通用しそうな出来ですし、「哀愁のヨーロッパ」も洗練振りも特筆ものというべきでしょう。
 つまり、このアルパム、これが本当のサンタナか、という問題はあるとしても、トム・コスターが解釈したサンタナ・サウンドの傑作とはいえるでしょう。
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COLDPLAY / Parachutes

2006年02月05日 14時51分42秒 | ROCK-POP
 6月にふとしたきっかけで購入したコールドプレイの「X&Y」は、一聴してすぐに気に入り、その後聴けば聴くほどに「こりゃ、10年に一度みたいな、どえらいアルバムだ」と感服しまくっていた訳ですが、その勢いで購入した前作にあたる「静寂の世界」の方は、「X&Y」のような張りつめたようなところがなくて、全体に今一歩決め手に欠くという印象だったもんで、「やっぱコールドプレイってサード・アルバムで化けたのね」という感じで、少々気分が萎えてしまい、デビュウ作であるこの「パラシューツ」の方は、「静寂の世界」と同時に購入してはいたのですが、半年も放置と相成ってました。

 さて、本日よーやく聴いたこのデビュウ作ですが、第2作より数段いいです。なんで今まで聴かなかったんだろうという感じ(こういうの多いな>私)。第2作でいささかスポイル気味だった、コールドプレイらしい切なさとか哀愁といったもがビビッドに感じられますし、デビュウ作らしく随所に初々しさみたいなもの感じ横溢しているもいいです。もちろん「X&Y」のような緊張感とか、万人を唸らせるようなポピュラリティみたいなものは、この時には未だなくて、あくまでもUKインディーズ特有の自閉症的な音づくりの延長ではありますが、それにしたってインディーズとメジャーの狭間でもがいているみたいな第2作に比べれば、『大傑作「X&Y」の原型』という位置づけでスレトートに楽しめますね。

 あと、このアルバムは全体にゆったりしてます。若手のギター・バンドにありがちなアップ・テンポでソリッドに押しまくるというところがほとんどなくて、あえていえば牧歌的ともいえる素朴なバンド・サウンドに、奇妙な浮遊感のようなものが絡んで独特な世界を構築しています。具体的にいえば、白玉専門という感じのキーボードにうねるギターでもって、音楽のパースペクティブを広げ、そこにちょいと倦怠感と妙な叙情が入り交じったようなヴォーカルがのると、不思議なコールドプレイの世界が現れるといった感じでしょうか。まっ、そういう意味ではこのアルバムの音楽に関していうなら、確かにレディオヘッドに似ているともいえなくないです。という訳で、これも問答無用でiPod行き決定です。 
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SANTANA / Lotus (Disc.2)

2006年01月28日 14時04分35秒 | ROCK-POP
 ディスク2は「ウェルカム」のボーナス・トラックに収録されたややダークな空間系フュージョン「マントラ」からスタートし、そのままドラム・ソロの「京都」に移行していく訳ですが、シュリーブのドラム・ソロは約10分。このあたりの「垂れ流し感覚」はいかにも72~73年のライブ・パフォーマンスという感じ。ライブ・パフォーマンスにドラム・ソロ10分入れるというのは、今の感覚からするとかなり異様ですが、当時は別段珍しいことじゃなかったし、それをそのままライブ・アルパムに収録してしまうというのも、ディープ・パープルとかけっこうありましたから、やはりあの時期ならではフォーマットといういうべきでしょう。

 ともあれドラム・ソロが終わるとマイルスの「ディレクション」みたいな「砂上の楼閣 Part:2」がフリーに演奏され、このアルバムのハイライトともいえる「ネシャブールの出来事」が登場。この曲はセカンド・アルバム「天の守護神」収録曲の中でも意外なほどジャジーな趣をもった曲でしたから、70年頃よりこの時期に演奏する方がむしろ正解だったかもしれません。錯綜するリズムをバックに序盤からサンタナのギター弾きまくり状態で、5分を過ぎたあたりアシッドでギラギラしたフレーズはまさにヴィバ・サンタナであります。後半はサンタナの息の長い、演歌的な泣きフレーズを登場させてリラックスしたムードがしばらく続くと、エレピをフューチャーしたボサ・ノヴァ的な音楽に寄り道したりして、なんとなくマイルスの「アガルタ」みたいな混沌とした展開になったりしますが、いずれにもしてもギタリストとしてのサンタナを満喫できる16分ではあります。

 ついでに「天の守護神」と同様の曲順で「すべては終りぬ」で再びホットなサンタナのギターをフィーチャーし、更に「君に捧げるサンバ」では甘いトーンの泣きのフレーズを連打して、このあたりはコンサートも後半、オーディエンスに対する大サービスといった感じだったんでしょうね。「君に捧げるサンバ」が始まるとオーディエンスの歓声もひときわ大きいです。日本人はこういう曲大好きななんでしょうね。いや、僕のそうなんですけど。そういえばこの曲中盤あたりでボサ・ノヴァっぽい展開になって、メンバーのかけ声が聴こえるところがあるんだけど、何故かこの部分だけは記憶に残ってました。何故だろう???。やっぱ当時からこの曲が好きだったのかなぁ。

 続く「ミスター・ウドー」はラテン・パーカッションとレオン・トーマスのヨーデル・ボーカルをフィーチャーしたアップテンポのジャム風インスト(ウドーって当時外タレをよく招聘していたウドー音楽事務所のこと?)。「祭典」はサード・アルバムのハイライトを飾った曲で、オーラスに相応しいホットな仕上がり、オリジナルではオルガンもフィーチャーしていましたが、ここではサンタナのひとり舞台。さすがにこういう曲ともなると、ほぼオールド・サンタナ・バンドになりきって演奏しているという感じもあります。

 という訳でアナログ盤で3枚組だった超大作ライブを久しぶりに聴ききながら、ほぼリアルタイムでレビュウを書いてみましたが、非常に貴重なドキュメントではあるものの、一個の作品としての完成度を求めるとなると、もう少し刈り込んだ構成にしてもよかったと思わないでもなかったですね。
 ちなみに録音はいかにも日本のスタッフらしい「一音も逃してなるものか」的な精細でクリアなものなんですが、ちょっと迫力に欠けるがたまにキズってところかな。 
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