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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

SANTANA / Lotus (Disc.1)

2006年01月28日 12時53分36秒 | ROCK-POP
 ほぼ四半世紀ぶりに聴きました。懐かしい....と書きたいところですが、実のところ聴こえる演奏はほとんど初めて聴くのと同じ、つまりこのアルバムに関する限り大昔のこのアルバムを購入して、あれこれと聴いた頃の記憶は残滓ほどもなかったです。つまり初めて聴くのと同じ。

 演奏に先立って日本語MCが入り(これ今野雄二さん?)、「ウェルカム」の冒頭を飾った「家路」からスタートします。スタジオ版に忠実なところから、この演奏が「ウェルカム」の制作に前後したパフォーマンスだったことを伺わせますが、続くのは「A-1ファンク」というフリーインプロ。そこから「キャラバンサライ」の「果てしなき道」に繋がっていく訳ですが、その道のりはほとんどインプロ主体、しかもロックのそれではなくて、明らかにフリー・ジャズ~フュージョン的なものを手本とした混沌さという感じでしょうか。思えば中学2,3年の頃、これを聴いて「さっぱりわかねぇ」とか思ったのも納得いきます。この時期のサンタナは「ウェルカム」や「不死蝶」といったアルバムと照らし合わせてみても、とにもかくジャズをやりたがっていたことが一聴瞭然といったところでしょう。

 こうして20分近くインプロ主体の演奏が続いたところで、ようやく出てくるのが「ブラック・マジック・ウーマン~ジプシー・クイーン」と「僕のリズムを聞いとくれ」というヒット曲や「輝ける光」といったポップな作品(ただしインスト)。アルバムは大体インプロ主体に進行して、だれ場にポップでコンパクトな作品を登場させつつ進行させていくという感じです。なにしろ「キャラバンサライ」はおろか「ウェルカム」ですら登場していた時期ですから、「ニューロックの旗手サンタナ」というイメージはほとんどの過去のものになっていることだけは確か、当時これを勇躍して購入してきた私が実際に聴いてみると釈然としない思いにかられたのも、このあたりのイメージ落差というのもあったかもしれません。なにしろ「ブラック・マジック・ウーマン」でのキーボードはオルガンじゃなくてエレピだし、「輝ける光」はCTIまがいのボサ・ノヴァ・サウンドですからねぇ。

 続くインプロ大会は「バトゥーカ」「シババ」「ストーン・フラワー」とつるべ打ちしてデビュウ・アルバムの「ウェイティング」(さすがにこの曲くらいになるとオルガン弾かせてますが-笑)へと雪崩込んでい前半。「A-1ファンク」と同様にフリーっぽい「砂上の楼閣part:1」をフックに、ファンキーなリズムの後、次の曲へのイントロも兼ねたようなスペイシーなムードが続く、これまたいかにもライブらしい「フリー・アンジェラ」が続き、「ウェルカム」に収録されていたフュージョン作品「ソウサリートのサンバ」でしめくくる混沌の18分でディスク1は終了。
 それにしても、ディスク1を通して聴いてみると、サンタナのギターの出番は意外と少ないですね。ここぞという時はもちろん出てきますけど、全体的にはむしろトム・コスターの出番の方が多いくらいで、サンタナはバンドの総帥という立場を重視していたんでしようか。 
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アディエマス/聖なる海の歌声(SACD)

2006年01月22日 20時59分58秒 | ROCK-POP
こちらは車で良く聴いているもの。アディエマスはカール・ジェンキンズ作曲・指揮するオーケストラ+ミリアム・ストックリーのヴォーカルという編成で作られた英国産の、まぁ、いってしまえばヒーリング・ミュージックです。しばらく前にNHKが大々的にバックアップしていたので知っている方も多いでしょう。彼らの音楽には様々なエスニック風味が鏤められていますし、歌詞は土俗的なイメージを想起させるような造語によっていますから、どこかのワールド・ミュージックと勘違いしている方も多いですが、基本的にはエンヤなどより遙かにヨーロッパ伝統の音楽理論にもとづいた紛れもない西洋音楽です。

 さて、このアディエマスの魅力ですが、ヨーロッパの教会音楽の敬虔なムード、クラシカルなオーケストラ・サウンドをベースに、その上に鏤められた雑多なエスニックな風味をのっけてテクノっぽいリズムでモダンな感じを演出したあたりだと思いますが、メインで歌うミリアム・ストックリーのヴォーカルも彼らの音楽の大きなセールスポイントです。彼女はとにかく声域が広く、テクニックも抜群、スタジオ・ミュージシャン的な匿名性が高いヴォーカルともいえますが、ある種感覚的に気持ち良い声の持ち主なのがカール・ジェンキンズの考えたこのハイブリッドな西洋音楽と抜群にマッチしていたと思います。このアルバムだと、2曲目のまるでワーグナーのような半音階で天上に上りつめていくような展開する部分など何度も聞いても素晴らしいです。

 ちなみに彼らはもう既に数枚のアルバムを出していますが、結局、このデビュウ作と2作目が一番良かったですかね。どうも、それ以降は、エスニックな素材を西洋音楽を巧く料理する技巧だけで音楽作っているみたいに感じないでもなかったですから....。あと、これを書きながら聴いたのはSACD盤で、複雑に絡みあった声とオーケストラの立体感や、エスニックなポリリズムをテクノ的再現した各種パーカスの遠近感などさすがにCDとはグレードの違う質感を味わえました。
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忌中につきお休みします

2006年01月19日 09時01分46秒 | ROCK-POP
本日のBGM:アディエマス/聖なる海の歌声 他
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サンタナ/不死蝶

2006年01月05日 22時43分56秒 | ROCK-POP
 74年発表の第9作です。音楽面でほぼ前作「ウェルカム」の延長線上といってもよく、バンドはますますプロジェクト化が進み(というかほぼ崩壊寸前だったようですが.....)、前作同様フローラ・ブリムをゲストに迎えた他、他にスタンリー・クラークやアイアート・モレイラも参加していることからも分かるとおり、RTF的エレピ・サウンドを中心としたフュージョン路線を推し進めた仕上がりになっています。

 また、ヴォーカルをフィーチャーされた作品も多くなり、ポップさが濃くなった分、前作までのスケール感はやや後退しているあたりも、良きにつけ悪しきにつけこのアルバムの特徴となっていると思います。後、アルバム全編に渡ってシンコペしまくったフュージョン風なリズムが支配しています。当時AORなどという言葉がない時代に、こうしたリズム・パターンでロックをやっていた訳ですから、当時のファンにはかなり違和感あったことは想像に難くありません。その分、現在聴いても古くさくないのはさすがですが。

 収録曲では、例によってアルバム冒頭「春の訪れ」~「花の歌」のメドレーが、アフリカ系の空間サウンドですが、エレピを中心としたこじまんりとしたサウンドと茫洋とした響きはなにげRTFを思い起こさせるものです。「新たなる旅立ち」「果てしなき世界」「太陽のもとへ」はいずれも前作「ウェルカム」に収録されていたヴォーカル作品と同様な、フュージョン色が強い軽快なポップ作品、つまりAORに先んじたような仕上がりで、個人的にはとても好みな音楽なのですが、あまりサンタナのギターが聴こえてこないのが玉に瑕かもしれません。A面ラストの「熱望」は「キャラバンサライ」以降のサンタナの典型的インスト作品。

 旧B面に移るとゴスペル風なヴォーカル作品「君の教え」からスタートし、続く「はかない夢」もヴォーカルをフィーチャーしたアメリカン・ロック風な作品。残る4曲は前記RTF関連メンバー+サックスをゲストに従えたインスト作品で、当然ジャズ・フュージョン色が強い演奏となってます。「ウェルカム」でもB面後半はマクラフリンをゲストに迎えた割と求道的なジャズ・ロック作品でしたけれど、これもそのパターンと思われます。ハイライトはこのインスト・メドレー2曲目「シナモンの花」から次の「漁民の契」あたりにかけての展開ですかね。これはラテン的熱狂と奇妙なゆったり感が不思議に調和したこの時期サンタナ特有の世界と申せましょう。
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サンタナ/ウェルカム

2006年01月05日 00時43分49秒 | ROCK-POP
 「キャラバンサライ」に続く73年発表の第5作です。前作では70年代初期型ニューロックっぽい面が後退し、割とシリアスな精神面というか文学性のようなものが強調され、高い緊張感と音楽主義的なアプローチが印象的な作品でしたが、このアルバムではその流れを踏襲しつつも、いくぶんリラックスし、フュージョン色を強めた趣きになっているのが特徴でしょう。 

 メンバー的にもかなり異動があり、初期型サンタナのポイント・ゲッターであったグレッグ・ローリーがいなくなり、第3作である意味サンタナを喰ってしまっていたセカンド・ギタリスト。ニール・ショーンもいなくなって、バンドそのものがその時々の音楽的方向性にあったセッション・ミュージシャンを適宜補充していくような、ある種のサンタナ・プロジェクトのような形になってきていることを伺わせます(まぁ、サンタナの場合、最初からそういうところはありましたが)。

 収録曲では、旧A面冒頭がドボルザークの新世界をモチーフにしたらしい「家路」が「キャラバンサライ」路線の空間サウンドですが、以降は比較的ポップな曲が並びます。「ラヴ・デヴォーション&サレンダー」、「君の瞳」、「輝ける光」はレオン・トーマスやフローラ・プリムをフィーチャーしたとてもキャッチーな作品ですし、「ソウサリートのサンバ」はフュージョン風味が濃厚なインストで(トム・コスターのエレピがいかにもいかにも)、いずれも大海原を行くような初期のRTF的な心地よさがあります。

 旧B面は.「母なるアフリカ」がアフリカをモチーフにしたやはり空間系サウンドに始まり、「聖なる光」はオケとヴォーカル、そしてエレピをフィーチャーしたスケールの大きな曲。「フレーム・スカイ」はアルバム後半に至ってやっと全開するサンタナのギターが堪能できる11分近い大作インストで、ついでにゲストのマクラフリンがサンタナ以上に炸裂してしまうというオマケのついた凄い曲(ただし、ロックというよりフュージョンっぽい仕上がりですが)。

 という訳で、この作品とても気に入りました。現在聴いてもほとんど古びて聴こえないというのはある意味驚異ですね。そういう意味ではこれまでのアルバムでは一番モダンな作品だったとえるかもしれません。ただし、その分、当時のロック・ファンからは、イマイチ評価が高く無かったというのも分かる気がします。要するに目指しているのが、もうロックではなくてジャズだったんですね、この作品。 

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SANTANA / Caravanserai

2005年12月22日 00時13分30秒 | ROCK-POP
 同じ72年に発表された作品とはいえ、先日レビュウした「Carlos Santana & Buddy Miles Live!」は初期の総決算だったすれば、こちらはサンタナが新しい地平に乗りだした作品ということになると思う。このあたりの変化は、その後のマクラフリンとのコラポレーションになどにも発展するサンタナ自身の真摯な宗教への傾倒みたいなところに由来しているというのは、当時から有名な話だった。音楽的には従来のイケイケなノリがぐっと後退し、叙事詩的スケールが高まり、思索的なムードも併せて濃厚となったということなのだろう。

 虫の音に始まるこの旧A面は、マイルスの「ビッチズ・ブリュウ」を思わせる、やけゆったりとした仮想アフリカ的な空間で、各種インストの切れ切れのフレーズを組み合わせて、なにやら広大な空間を感じさせるサウンドを形成していくあたりは、ほとんどそっくりといってもいい。それ以降「躍動」「宇宙への仰視」といった曲では、徐々に従来のサンタナ・サウンドに近づいていき、旧A面ラストの「宇宙への歓喜」至ってようやくサンタナ的な熱狂が再現されるという構成は、さながらスケールの大きな交響詩でも聴いているようであり、その格調の高さ、構成の見事さは確かに従来とは異質な次元の高さである。
 旧B面は現音風な空間サウンドとラテンパーカッションのコラージュみたいな「融合」、ジョビンの名曲「ストーン・フラワー」、従来型のラテン風味を多少抽象化したような「リズムの架け橋」、ドラマチックに炸裂する名曲「果てしなき道」とヴァリエーションに富んだ楽曲が並ぶ。

 という訳で音楽性や高さやスケール感、威風堂々とした音楽の偉容など、まさに名盤に相応しいたたづまいである。純文学性やシリアスなものを尊ぶ日本人が、この音楽をどこの国よりも高く評価したのは、さりありなんという気しないでもないが、21世紀にもなって、今更サンタナの音楽をクロノジカルに追体験している当方としては、この変化というのは、正直いって「若気の至り」というか、「本当の自分をみつけるための通過儀礼」だったような気がしないでもない。「オレはロック・ミュージシャンじやない、アーティストなんだ」ってところか、まぁ、気負いは分かるけどねぇ、という感じもするのも正直なところ....なんていったら怒られるかな(笑)。
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Carlos Santana & Buddy Miles Live!

2005年12月15日 22時27分40秒 | ROCK-POP
 サンタナとバディ・マイルスの共演ライブで72年の作品。私はバディ・マイルスという人のことはジミ・ヘンと共演した歌えるドラマーくらいのことしか知らず、どういう経緯で共演に至ったとかそういうことはほとんど分からない。このアルバム、ハワイか何かでやったフェスティバルのライブ盤ということにはなっているのだが、実はスタジオ録音でオーディエンス・ノイズは後からダビングした....というのは当時から有名な話だったし、サンタナの盤歴でも特異な一枚ではあると思う。

 内容的にはまさに72年という時期を象徴するようなライブ・パフォーマンスである。4月のレッド・ツェッペリンのところで書いたが、60年代後半~70年代初頭あたりのロックというのは野放図なパワーとその垂れ流しみたいなところに醍醐味があったのだが、72年頃になるとそのあたりが確実に洗練されスタイルとしてキレイに整ってきたみたいな時期にあたるのだ。このアルバムの演奏できけるのも、ある種の疾走感と雑然としたパワー感のようなものがとてもよく調和したまさに、72年のロックなのである。ことにA面5曲の流れるが如き淀みない演奏は極上である。B面のややジャズっぽいジャム風な音楽はちと散漫な気がしないでもないが....。

 ともあれ、ツイン・ドラム、パーカッション群、ツイン・ギター、ブラス・セクション、マイルスのヴォーカルまで交えて展開されるサウンドは、さながらロック音の絵巻である。同時に当時のサンタナ・サウンドの拡大版でもあったろう。周知のとおり次作の「キャラバンサライ」でサンタナは変わるから、盤歴的には少々孤立しているものの、音楽的には初期型サンタナの掉尾に位置する作品とみた方がよさそうだ。
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サンタナ III

2005年12月06日 23時11分23秒 | ROCK-POP
 第3作は前作のほぼ延長線上です。「怒濤のラテン・パーカションと陶酔のギターに彩られたニューロック」というのが初期型サンタナだとすれば、これでもってほぼ完成したってところでしょう。また、前作は音楽のメリハリや洗練が印象的でしたが、こちらは音楽の厚みやパワー感のようなものが増していて、ある意味重厚な印象があります。では、収録曲を軽くさらってみます。

 冒頭の「バトゥーカ」はサンタナ節炸裂の典型的アフロ&ラテン・ロックですが、序盤から中盤にかけてサンタナと新加入のニール・ショーンの鋭角的ギターとの絡みで進み終盤あたりでグレッグ・ローリーのオルガンが登場するあたりの構成も見事なものです。メドレーで続く「孤独のリズム」は「僕のリズムをきいてくれ」の続編みたいな呪術的コーラスが印象的な作品で、ここでもサンタナとショーンか刻むギターのリフが実に強力で終盤は熱狂の嵐。3曲目の「タブー」はちょっと演歌的泣きの入るバラード風なミディアム作品。4曲目の「祭典」はこれまた典型的サンタナ・サウンドですが、みちらはローリーのオルガンが序盤で活躍して、中盤からサンタナのギター炸裂、割と複雑なキメを多用するあたりはバンドの成熟を感じさせます。

 旧B面に入って、タワー・オブ・パワーのブラス・セクションをフィーチャーした「新しい世界」は西海岸的な明るさがある曲調ではサンタナにしてちと異色かも。6曲目の「グアヒーラ」はラテン色が濃厚なエキゾチックな作品。7曲目「ジャングル・ストラット」は「バトゥーカ」トム同様、前半にサンタナ&ショーンをフィーチャーし、終盤間近でローリーが登場するアフロ&ラテン・ロック。「愛がすべてを」はもろウェスト・コーストしたポップな作品で、アコスティック・ギターのカッティングがいかにも西海岸。「情熱のルンバ」はアップテンポなルンバ・リズムで進む短いクロージング・ナンバーで、ここでもタワー・オブ・パワーをフィーチャーして不思議な明るさに満ちている。

 という訳でこれだというヒット曲がないせいか、いく分地味ではありますが、内容的には前作よりヴォリーム感がありりますし、それぞれの曲のテンションも高く、やはり傑作という名に恥じない仕上がりですね。サンタナのこれまでの三作はどれも旧A面が組曲風、B面はバラエティに富んだ作品を集めるという感じでしたが、本作では旧B面の収録曲にハード・ロック風なところがほぼ姿を消し、ウェスト・コースト的な明るさがちらほら見えてきて、いるのが、その後のサンタナを考えるとおもしろい点かもしれません。
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サンタナ/天の守護神

2005年12月05日 23時10分49秒 | ROCK-POP
 1970年のサンタナ第2作。サンタナの2,3,4作目はどれもロック史上の名盤というか問答無用のロック・クラシックですが、とりわけこのアルバムはシングル・カットされて大ヒットした「ブラック・マジック・ウーマン」、「僕のリズムを聞いとくれ」という2大名曲が入っていることもあってか、一番俗受けするというか、大向こうに受けがいいサンタナ作品ではないでしょうか。私などこのジャケットを見ると、当時日本メーカーでは唯一CBSソニーだけが採用していた、ビニール・シールド(ラップみたいなヤツ)帽子帯を思い出したりしまするんですが、古すぎるか(笑)。

 さてこのアルバムですが、きちんと聴くのはもちろんはじめて、数日前にデビュー・アルバムを聴いたばかりですが、それ思い出しつつ聴いてみると、音楽が飛躍的に成長していることが歴然。全般的に泥臭く、野放図なエネルギーの垂れ流しみたいになるところを辛くもバランスしていたいかにもデビュウ作らしかった前作に比べ、初期のサンタナらしい野性味はそのままに、楽曲のバラエティやメリハリが多彩になり、全体に洗練された仕上がりになっているのが印象に残りました。70年代前半のロックというのはこういう天井知らずな成長ぶりを示すバンドがよくいたもんですが、これもその典型といえるかもしれません。また、「哀愁のヨーロッパ」路線の「君に捧げるサンバ」だとか、意外なほどジャジーな「ネシャブールの出来事」など、けっこうその後のサンタナの音楽性を予見しているような曲も多く、そのあたりも楽しめました。あと「ホープ・ユー・アー・フィーリング・ベター」って曲、前作に2,3入っていたディープ・パープルみたいなハード・ロック作品で、これはこれで時代を感じさせて懐かしい。
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サンタナ/サンタナ

2005年11月26日 14時08分53秒 | ROCK-POP
 昨日ようやくサンタナの1枚目と2枚目が届きました。2枚ともボーナストラック付きのリマスター盤でした。さっそく1枚目を今聴いてところですが、うーん、いいですねぇ。昨日ベスト盤のところでも書いたとおり、69年というニューロック勃興期の作品ということで、もう少しとんがってゴリゴリした野放図なものかと思っていたんですが、ギターやオルガンの音色はメロディックでまろやかだし、ラテンパーカッションはグルーブ感や歌物には、意外なポップさまであって、けっこうまったりとした趣が感じられたりしたのは意外でした。まぁ、このあたりは、録音から35年もたって、聴いているこちら側があまりにも歳をとりすぎたという事情も無視できないでしょうけど(笑)。

 ライナーを読むとこのアルバムを作るにあたってサンタナはほとんどジャム・セッションみたいな感じでインスト主体の物を作りあげようとしたところ、ソロを短くして歌を入れろみたいなアドバイスがあってそういう方向に直前で路線変更したようです。レコードで成功するためにはいたしかたなしと妥協した訳ですけど、そのあたりのアドバイスはやはり的確だったんでしょうね。なるほど、このアルバム、歌が終わってしまうと、ラテン・パーカションのリズムにのったロック・ビートに、オルガンとギターの泥臭い絡みでインストが進行という感じで、早い話、ほぼどれも似たり寄ったりになってます。もちろんそのあたりが初期のサンタナらしくい、心地良いアシッド感があったりする訳ですけど、通して聴くと歌が終わってインスト・パートになると、正直「また、これかい」みたいにやや一本調子に感じるのもまた事実。「イビル・ウェイブ」とか「ジンゴ」とかのヴォーカル作品が入らなかったら、本当にジャム・セッション的な垂れ流しになっていたと思います。アドバイスした人の読みは確かだったですね。

 そうした意味では、旧B面、つまり6曲目の「パースエイション」はいかに69年という時代を感じさせるニューロック的な作品で、続く7曲目の「トリート」がまるで、AORのような夜のムードを湛えた作品となり、8曲目「ユー・ジャスト・ドント・ケア」では、再びニュー・ロック的なリフを満載した作品となって、オーラスの「ソウル・サクリファイス」では旧A面にジャム的なムードに戻ってハイライトを形成するという構成は起伏に富んでいて良くプロデュースされていると思います。まぁ、よせ集めに過ぎなかったのかもしれませんが....(笑)。
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SANTANA / Greatest Hits

2005年11月22日 21時00分43秒 | ROCK-POP
 サンタナの初期の数作をネットで注文してあったのですが、なかなか届かず、その渇望をいやすべく先日「Oneness」というアルバムを購入して、ここで取り上げた訳ですけど、あれから数日、何枚かは届いたものの、肝心の1,2作目がまだ届かないんですね。こういうことは万事クロノジカルに順を追って聴かないと、なんかきちん聴いた気がしないという、私の性格がよくあらわれているともいえますが、ともあれ足踏みしている最中、さっきこんなアルバムを持ってることに気がつきました。ななんと、サンタナ・グレイテスト・ヒットであります。

 このアルバムをいつごろどうして購入したのか、既によく覚えていないのですが、おそらく10数年前に中古か何かで入手したんでしょう。やっぱあの頃から、このバンドには興味があったんですね、ついでに書けば、-今思い出したんですけど-、私中学の頃、「サンタナ&マクラフリン」の他にも、確か3枚組のライブ盤「ロータスの伝説」も購入していたような気もします。まぁ、当時はどっちも後が続かなかった訳ですけど、ともあれガキの頃からこのバンドには興味があったという訳です。

 さて、このアルバムは70年代の中盤頃に出たベスト盤です。初期の3作あたりから数多く選曲されているようで、アフロっぽい土着リズム+8ビートとサンタナの熱いギターがいかにもサンタナって雰囲気を醸し出してます。ただし、もう少しとんがったニュー・ロック色のようなものが感じれるかとも思っていたんですが、初期の頃から意外にもポップで、イージー・リスニング的な心地良さみたいなものがあったバンドだったことを再認識しました。「僕のリズムを聴いてくれ」なんてなつかし過ぎる....そういえば、これのシングルを私を中学一年の頃に買っていたことを、今、あと思い出しました。わぁ、私のレコード歴の最初期の頃からサンタナを買ってのか~。
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CARLOS SANTANA / Oneness

2005年11月14日 19時41分25秒 | ROCK-POP
 バンド名義ではなく、カルロス・サンタナ名義のいわばソロ作品。先週の金曜にショップに並んでいたのを気まぐれで購入してきたもので、もちろん初めて聴く作品になります。私はサンタナの作品を昔からとても興味があったんですが、あんまりまともに聴いたことがなくて、いつかしっかり聴いてやろうなどと思っていたんですけど、つい先日マクラフリンとの共演盤を聴いたのをきっかけに、初期の数枚をネットで注文したばかりだったので、まぁ、予告編的に聴いておくのも悪くないだろうと思って購入してきました。

 サンタナというと「熱狂のラテンリズム+官能のギター」みたいなイメージが私にはあるんですけど、このアルバムは79年という制作時期もあってか、一聴してとても洗練された印象です。随所に宗教的なSEやコラール風なメロディーが入っていますが、ほとんどスパイス程度で、基本的にはややジャズ・ロック的なテイストも含んだラテン・ロックという感じでしょうか。前半に収録されているライブ・パフォーマンス(日本公演らしい)は、程よいリラクゼーションとライブ的な伸びやかさが良い感じに解け合って、聴き物となっています。旧B面にあたる後半部分は、スタジオ・レコーディングは、ジャズっぽいヴォーカルをフィーチャーしたAOR的な"Silver Dreams Golden Smiles"、これぞサンタナといった感じのギターをフィーチャーした"Cry of the Wilderness"やバラード路線のタイトル曲あたりがいい感じ。

 ついでに書くと、この作品60~70年代生え抜きのロック・ミュージシャンが、パンク・ロックという世代交替を経、ポピュラリティーという流れに浸食されていたいかにも79年という時期を感じさせる作品でもありますね。
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JEFF BECK / Wired

2005年11月13日 23時38分21秒 | ROCK-POP
 これまた実に久しぶりに効いたアルバム、20年ぶりくらいになるだろうか?。ジェフ・ベックはかのヤードバーズを皮切りに、ジェフ・ベック・グループやベック・ボガード&アピスなどの骨太なロック路線が続けてきたのだけれど、ライバルのクラプトンやペイジが同じ頃出していた作品に比べると、どうも全般に渋すぎるというか通向きというべきなのか、ともかく今ひとつに決めてに欠くというのが、大方な評価だったと思う。ところが、そんなジェフ・ベックが、すこしばかりフュージョン風への音楽へとモデル・チェンジした「ブロウ・バイ・ブロウ」は大ヒットしたのだから、世の中わからない。フュージョン風にスムースで心地よいポップなサウンドに乗って、ベック本人は以前とほとんどかわらないスタンスで、ロック的フレーズをガシガシ弾く、このミスマッチングなところが、逆にベックのロック的なるものを浮き彫りすることなったということなんだろうけど、確かにこうした音は新鮮だった。

 この「ワイアード」は、前述の「ブロウ・バイ・ブロウ」に続く76年リリースのアルバムで、プロデュースは前作と同じジョージ・マーティンだが、ナラダ・マイケル・ウォルデンとヤン・ハマーが加入して、スピード感とテクニカルなフュージョン色が強くなっているのがミソ....というのが、実はこれまでの印象だったが、久しぶりに聴いてみたところ、思ったほどフュージョン色は強くないなという印象を改めてもった。4割方のソロをハマーが弾いているし、ナラダも例の手数でやっているから、そういうところはもちろんあるにしても、今回聴くとむしろ目立っているのはマックス・ミドルトンのファンキーなクラビネット、彼がアレンジしたに違いないブラスのアレンジだとか、そういうところだったりする。要するにマックス・ミドルトンがある面音楽を仕切っていたともいえる訳で、意外とジェフ・ベック・グループあたりの音は温存していたのだなという感じなのである。そんな訳で、発表当時、当時感じた「スムースなサウンドと炸裂するベックのギター」みたいな図式は、今回けっこう訂正されることになった。うーん、こうなると「ブロウ・バイ・ブロウ」も、久しぶりに聴いてみたい気分だ。マクラフリンに続いて、今度はジェフ・ベックでも集中的に聴いてみるか(笑)。 
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サンタナ&マクラフリン/魂の兄弟たち

2005年11月01日 23時10分08秒 | ROCK-POP
 先日も書いたとおり、このアルバムはほぼリアルタイムで聴いている。確か中学2年頃で、いささかジャンルは異なる人気ギタリストの共演ということで、ロック関係のレコードではかなり話題になった作品で、それにつられて私は購入したのであった。繰り返しになるが、当時、私にとってこのアルバムは全く理解不能な作品だった。ギラギラした熱狂があるでなし、ジャズ的な名人芸が聴かれるワケでもない、ただ、ふたりのギタリストが、あれこれ隠微に絡んで非常に瞑想的な音楽を作っているという感じで、聴いていて私はひたすら灰色な気分になったものだった。
 さて、そんなかつて玉砕したこのアルバムだが、最近マクラフリン関係をあれこれ聴いていることもあり、これもほぼ四半世紀ぶりに購入して聴いてみた。

 では、目立つ曲をメモっておきたい。冒頭はコルトレーンの「至上の愛」だが、明らかに当時のサンタナ風を瞑想的な感じにした音楽で、ラリー・ヤングのオルガンとコーラスがいかにも70年代しているのが懐かしい。「神聖なる生命」は、けっこうエキサイティングな曲で、2本のギターとオルガンが白熱のインター・プレイを披露しているあたりなかなかカッコ良く、アルバム中のハイライトだ。先の2曲、前者がサンタナ、後者がマクラフリンが主導した曲だとすると、旧B面の大半を占めていた「神の園へ」は一番両者の個性がミックスされているような曲だと思う....というか、どちらかといえばジャム・セッションに近い曲だ。前半はラテン・パーカッションにのってサンタナっぽい官能ギターを存分にフィーチャーし、続いてラリー・ヤング、後半ではマクラフリンが登場し、サンタナとの絡みになってといき、大きな盛り上がりを見せている。

 というワケで、さすがに30年ぶりだと、当時の難解さはほとんど感じることなく、なんか70年代前半のB級ロックを聴いているような気になった。先日、マクラフリン周辺の音楽をロックとは関係ない....みたいなこと書いたが、このアルバムだけはサンタナのアルバムという意味で、普通のというほど当たり前な音楽でもないけれど、紛れもないロック・アルバムである。  
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アート・オブ・ノイズ/ドビュッシーの誘惑

2005年10月16日 23時10分56秒 | ROCK-POP
 アート・オブ・ノイズが復活した。しかも「アン・ダッドリーのAON」ではない、「トレバー・ホーンとホール・モーリーのAON」がである(アン・ダッドリーは参加しているが)。音楽的な内容を一口でいえば、トビッュッシーやドビュッシー風なフレーズ、和音をベースに、モダンなテクノ・ビート組み合わせたものといえる。ただし、ホーン&モーリー復活といっても、聞こえてくる音楽は大方のリスナーから期待されるような、初期のアブストラクトでヘビーなテクノ・ビートはそれほどでもなく、どちらかといえば、理知的な音楽センスと独特な音響美を全面に出した「アン・ダッドリーのAON」を再びトレバー・ホーンがブロデュースしたような仕上がりといえる。

 具体的に云えば、ダッドリーが引くクラシカルなピアノ、サリー・ブラッドショウという人のオペラ風なヴォーカル、無数ナレーション、ラップ、AOR風ないかにもいかにもなサックス、アンビエント風なシンセ、アナログっぽいギター・サウンドなどが、近年現れたあらゆるテクノ・ビートにのっかってコラージュされた音楽といった風情だが、ドビュッシーの様々な楽曲からの引用を含めた静的なリラクゼーション感覚と、時に脅迫的暴力的ともいえるリズムの躍動感の精緻に耕筰する様は新しいAONの眼目といえようか。この妙なる不思議な調和感のようなものは、大げさでもなんでもなく目がくらむほど素晴らしいものだ。その様は、まるで80年代にAoNが登場して以来の10年間のテクノ・ビートを総括しつつ、ついでにドビュッシーを出発点とし、AONを終末点とした今世紀の音楽そのものをも総括してしまおうと、なにやらニヤニヤしながらたくらんでいるようでもある。
 ともあれ、このアルバム、大向こう受けする要素はそれほど多くないと思うが、その筋の音楽関係者(?)にはかなりのインパクトがあるのではないだろうか。

 そんなワケで、私にとって本年度No.1は問答無用でこれで決まりですね。ちなみに、これに近い作品だと坂本龍一の「ライフ(シンセ版)」もなかなか良い仕上がりだったが、ある種の下世話さなポップさも含め、こちらの方が数段練達の作品という気がする。ともあれ、その精緻な音の綴れ織りは耳の悦楽である。ちなみに、この作品久しぶりに現れた「極上の夜の音楽」でもある。(1999/12/19)
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