UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

広島原爆資料館・・・ある展示物についての記憶・・・

2023-05-31 23:47:11 | 日記
Gセブン広島サミットが終わり、日本は少しばかり静かになりましたね。この国際会議、開催地が原爆投下の地であったため、核廃絶が重要なテーマの一つとされていたのですが、ロシアの核を非難する一方でG7の核抑止力を強調するなど、ご都合主義の点があったりしましたので、核なき世界に向けて果たしていったいどのような具体的成果があったのか、まったく定かではないように思われます。

けれども、G7のトップの面々が原爆投下の地でそろって原爆資料館を見学したことは多少なりとも意味があったのではないでしょうか。原爆を投下した米国に配慮したのか、トップの面々が見学している場面は非公開とされていました。かつてオバマ氏が米国の大統領として初めて訪問したときは資料館の見学はわずか10分足らず、入り口に用意した数点の展示物を見せただけであったとされています。つまり、「見学」には程遠い名ばかりのものに過ぎなかったのですが、今回は、見学時間は約40分、十分ではないにしてもかなりの展示物を観ることができたものと思われます。

見学後、各国の面々は、言葉少なではあったものの、みなさん強い印象を受けたようであり、率直に感想を述べていたように思われます。ここで「もちろん」と書くのはまことに残念の極みですが、もちろんバイデン米国大統領の口からは謝罪の意を感じさせる言葉は一言も聞かれませんでした・・・

実は、まことに遠いむかしのことですけれども、わたしも広島の原爆資料館を一度だけですが見学したことがあります。若き日のことです。

広島駅からブラブラ徒歩で平和公園へと向かったのですが、まず驚いたのは広島球場が平和記念公園のすぐ近くにあったことです(今は別の場所を移転しており、そんな近くにはないと思います)。ええっ、こんな近くにあるの!そうかあ、そうすると広島市民は夜な夜な平和公園のすぐ近くで広島カープ応援の歓声をあげているんだあ・・・歓声をあげるのは勝手だけれど、ちょっと近すぎるのじゃない?そんなことでいいの?・・・と、正直申しあげて、少なからぬ違和感を持たざるを得ませんでした

(ついでに申し上げますと、堀田善衛の原爆投下を題材にした小説「審判」に、主人公である爆撃機の搭乗員であった米国の青年が戦後しばらくして広島にやってきて、広島の街をぶらつき、広島球場で新人募集のトライアルに挑んでいる若者たちの様子を眺めているシーンがあります。この青年、後に爆心地近くの川に飛び込んで自殺します。この小説、著者自身が「自分がひとりの読者になったつもりで他人の作品として読んだところ、なかなか良く書けているなあと感心してしまった」と、かつてNHKの番組で述べているだけあって、なかなかの注目すべき力作、優れた作品であり、一読に値します。余談の余談:この小説、京都外大の先生が英語に訳しており京都外大から出版されているのですが海外ではほとんど知られていないようです。そこで知人の欧州の某言語に精通している人物に、翻訳すれば高い評価を受けることは確実だから、翻訳する気はないかと打診したことがあるのですが、実現しませんでした・・・)

私が見学したのは半世紀ほど以前のことですから、今は展示の規模がもっと広がり、展示の仕方や内容はかなり変わっているのではないかと思いますが、展示の中心となっているのは被爆者の様々な遺物、原爆投下による破壊の跡を示す残骸、破壊の凄まじさを示す写真などであることには変わりがないものと思われます。ただ、私が見学したときには、これらの展示物の他に、数は定かでないのですが、標本の類があったように記憶しています。

どのような標本が展示されていたのかも記憶は定かではありません。けれども、展示されていた標本のひとつが今でも私の脳裏にはっきりと焼き付いています。今でも忘れることができません。

私はその標本を少し離れたところから目にしたとたん、何か異様な感じがして、思わず足が止まってしまいました。大きなガラスの容器のなかに、何かがホルマリン漬けにされています。はじめは分からなかったので近づいて見てみますと、ガラスの容器に入れられているのはどうやら胎児の全身のようです。さらにもう一歩近寄って見てみますと何か様子がヘンなのです・・・頭のあたりの形が大きく歪んでいて、異様なのです。

えっ、いったいこれは何なのだ?・・・この変な形をしたものは・・・

あわててこの展示物の表題を見てみました・・・「無脳胎児」と記されていました・・・無脳胎児?・・・いったい何なんだ、これは?・・・えっ、脳がない?生き物に欠かすことができない肝心の脳が存在していない胎児・・・こんなことがあるのか?・・・あってもいいのか、こんなことが・・・こんなことが起きていいのか・・・いったいどういうことなんだ・・・

おそらく妊娠中の母親が原爆投下で高線量の放射線を浴び、その影響で胎児の脳が形成されなかったか、あるいは脳の大半が欠けているのでありませう・・・

私はくぎ付けになってしまいました、しばらく身動きできませんでした、何ていうことだ・・・こんなことがあっていいのか・・・・

私だけではありません、ネットを見てみますと、「この標本を見て吐き気を催した」「この標本を見て、もうこれ以上見学を続ける気が失せてしまった」などと、この標本を目にしたときの衝撃を記している方がおられます。

(偶然ですが、一昨日、5月30日の夜にNHKが再放映していた「チェルノブイリ・衝撃の真実:口開く証言者」と題されドキュメンタリーを見ました。そのなかで、ある女性医師が苦し気に証言していました。「原発のすぐ近くの町で暮らす妊娠中の母親たちが原発事故により強い放射線を大量に被爆したために、胎児が極度の奇形を呈している事例が次々に認められました。このため被災者が押し寄せ廊下まであふれている大混乱の病院で、かなりの数の胎児を・・・必死の思いで次々に中絶手術を行わざるを得ませんでした」・・・ヒロシマと同じことが起きていたのです)

最近は展示物の数が増えて多様なやり方で展示が行われるようになっているけれども、ショッキングな展示物は以前より減っているのではないかと評されることがあります。このため、この胎児の標本が今も展示されているかどうかは定かではありません。でも、たとえこの標本が展示されていないとしても、原爆資料館を見学したことがない方は、一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。決して無駄ではありません。

また、原爆がもたらした被害に関しては、資料館の展示物以外に、被爆者が自分の体験を描いた一連の絵があることが知られています。NHKが被爆者に呼びかけて、自分の体験を、原爆投下後の自分や身のまわりの被爆者の様子などを思い出して描いてもらった、さまざまな場面が描かれている絵です。絵としては画家などの手になるものではありませんから、技巧的には稚拙かもしれません。しかし、絵が上手であるか稚拙であるかなどということなんかまったく気にならないほど、いや稚拙であるが故に、かえって被爆がどのように惨たらしい結果をもたらすものであるかが、極めて具体的に直截に描かれており、思わず絵から目が離せなくなります。

おそらく被爆した人々は原発が投下され被爆した日のことを思い出して、必死の思いで描いたのでしょう。

皮膚がずるりと剥けてしまって腕から垂れ下がったままのひと、大やけどを負い、水を求めて川岸に倒れこみ、川面に首をつっこんで必死で水を飲もうとしている人々の群れ、飛び出してしまった片方の目玉を手のひらで支えてさまよい歩いている人、市電に乗っているときに原爆が投下されために車外に投げ出されたり、車内で立ったり座ったままの姿勢でそのまま丸焦げになってしまった人々など、被爆者が描いた絵をご覧になるだけでも、原爆投下が実際に人々に何をもたらしたか、きわめて具体的に知り、あらためて実感することができます。Gセブンの面々にはこれらの絵も見てほしかったと思います。やがて原爆投下の日、8月6日と9日がやってきます。ご覧になったことがない方は一度ご覧になってください。

今日の写真はG7の面々が献花する場面を撮ったテレビの映像を借用したものです。よろしければクリックしてご覧になってください

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!
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