
先日、1月半ばの日記に今年度最優秀広告賞について書きました。GGIが勝手に選びましたのは出版社「宝島」が朝日新聞に見開き2ページを使って掲載していた広告です。そんなもの知らないよとおっしゃる方はお手数ですが1月12日の日記をご覧くださいませ。
「ウソは戦争のはじまり、嘘と戦え」というまことにまともな内容のメッセージが明快かつ明解に記された広告でありましたので最優秀賞に選んだのです。
広告はメッセージの内容が明快でなければ無意味なことは言うまでもないことなのですが、ちかごろの広告、妙に気取っているだけで「オイ、いったい君は何が言いたいんだよお!」と感じられる広告がすくなくありません。・・・
そこで、今日は無意味のお手本のような広告を紹介いたします。関西電力様の広告、2月3日の朝日新聞に掲載されていた広告です。
関電様の広告については、以前に一度、2016年10月4日の日記で詳しい解説をさせていただきました。《power with heart》 というキャッチコピーを用いた広告です。GGIがこの広告を目にしたのは、関電湖国支店のビルの壁に設けられているGGI以外には通行人が誰も見ることのない掲示板においてでありました。
関電さんの弁によれば《power with heart》 という意味不明の英語は関電さんの「ブランド・ステートメント」だとのことでありました。「ブランド・ステーツメント」っていったい何や?そんなもの聞いたことがない、知らん!とおっしゃる方この上記の日記をご覧ください。
GGIは上記の日記でこの意味不明の英語について酷評いたしました。あまりも的を得た酷評でしたので関電さんはこのアホな英語を用いたPRを止めにしたと思っていたのでありますが、そうではありませんでした。一昨日2月3日の朝日新聞に、大きく《power with heartは強い決意。》 と大きく記した一面広告が掲載されていたのです。
今日の写真はこの広告を撮ったものです。どうかクリックして大きく拡大してご覧になってくださいませ。日本語の部分は読みにくいので以下に再録いたしておきます
『新しい時代へ。関西電力が動き出す。』
今日も明日も、かえがけのない電気を守り続けるために。
次の時代にふさわしい
エネルギー会社になるために。
関西電力は挑戦しています。
“まごころと熱意を込めたサービスで
お客さまや社会の『力』になりたい。“
という想いを胸に。
エネルギー新時代へ挑む
強い決意で。
男マエのつもりであろうと推測されるニイチャンが「挑戦」しているつもりの表情で突っ立ております。GGIは知りませんが最近売れっ子の俳優さんか何かでありませう
この広告文を読みまして、ちょっぴり以前の広告で使われていたインチキ英語、power with heartの意味がコジツケで理解できました
つまり、おそらくは、このインチキ英語の中身は“まごころと熱意を込めたサービスでお客さまや社会の『力』になりたい、という意味のつもりなのでありませう・・・
それはともかく、この広告、新しい時代に関電さんは挑戦するぞという心意気を示したかったのだと思われるのですが、肝心の「新しい時代」がどのような時代なであるのか、あるいはどのような時代であると考えているのかという点についての説明がまったくありませぬ。
「新しい時代」、「次の時代」、「エネルギー新時代」などの表現がありますが、いったいどんな時代なのか、サッパリ不明です。
ひょっとしたら、昨今メディアの世界やビジネスや政治・行政の場で急激にもてはやされるようになりつつある《SDGs》の時代のことを指しているのでせうか?
《SDGs》って何や?そんなもの知らん、と思われる方にはっきり申し上げておきます。これを知らないようでは、あなたは時代遅れの世間知らずです。海外ではどうなのか定かでないのですが、最近日本でおおいにはやりかけているモノです。GGIも最近までまったく知らなかったのですが、昨年の某日、何も知らないまま、湖都の市当局関連組織が主催する某イベントでこのSDGsなるものの片棒を担いでしまいました・・・
もうご存知の方が多いのではないかかと思いますが、SDGsというのは国連の開発計画が編み出した「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)なるものの略語です。いろいろなところで話題になっているようですので詳しくはネットさんなどをご覧になって、ご自分でベンキョーさなってくださいませ。SDGsに関連した記載がたくさん見受けられます
関電さんの挑戦の決意の対象がこのSDGsの時代であるのならば、エネルギー分野の持続発展可能な目標は、当然ながら持続可能エネルギーすなわち風力や太陽光発電などの自然エネルギー社会への移行ということになるでありませう。
そうであるならば、この広告、SDGs時代への関電の挑戦と堂々と書けばよかったのです。自然エネルギーへの挑戦と書けば、日本一原発への依存度が高い電力会社である関電までもが本格的に自然エネルギーに挑戦するのだと、この広告は大きな反響を呼び起こすことになるのは間違いないでありませう。日本だけではなく世界に向けて、日本は福島原発で大事故を起こしてしまったけれど、ようやく原発の放棄を目指すことになったという衝撃的な歴史的メッセージになったことでありませう・・・
ところがこの広告、新時代と何度も記しているものの、新時代がどんな時代を指しているのかは何もまったく言及していません。ですから、この広告、何を言いたいのかさっぱり分かりません。何かに挑戦したいようであることだけは理解できるのですが、具体的中身のまったく欠落したい腑抜けた無意味そのもの広告としか言いようがありませぬ・・・
この広告は要するに、ただ「ボクたち、これからもガンバルぞ!」と言っているだけなのです。この広告の文章は「ボクたちガンバル!」の同義反復に過ぎません。できの悪い小学生みたいな寝言を言って、いったい何の意味があるというのでありませうか・・・
《power with heart》 なんていうヘンな英語で気取ったつもりでいるのでせうが、こんな気取り方をして一体何の意味があるのでせうか。英語で煙に巻くつもりなのかもしれませんが、市民はそんなアホではありませぬ
無意味に近い広告は決して珍しくないのですが、ただ何となく英語なんかを使って気取ってみただけの、これだけ無意味・無内容がテンコ盛りの広告は他の無意味広告を圧倒しております。したがいまして、GGIはここに関電様に今年の無意味広告大賞を授与いたしたいと思います。
ここまで書きましたら場外から大声が・・・
「GGIよ、あんたはアホやなあ、なに勘違いしてるんや、新時代というのはそんな難しい話やない、もうすぐ平成が終わって新元号になることを言ってるのや!だから関電さんはこの広告は、みさなん、もうすぐ天皇さんが代替わりしはって新時代になりまっせ、新時代になってもボクたちガンバル!まっせ、とにかく売り上げ増に挑戦しまっせ!、と言いたいだけなのや!」
大変明快かつアホなご教示、ありがとうございます・・・
ここで最後に、脱線ついでに最近大流行の兆しがあるSDGsについての若干の余談です。
昨年末でしたか、小さな集まりで京大人文科学研究所の若手の研究者の話を聞きました。《農業と戦争》と題されたなかなかユニークなテーマについての実証的な研究に基づいた話でありました。第一次大戦から第二次大戦にかけて、つまり近代戦において、農業技術の発展と戦争技術の近代化とは密接な関係にあったということを過去のデータや記録に基づいて具体的な話をされました。GGIはたいへん勉強になったのですが、この集まりを終えての懇親会に席上で、この研究者に聞いてみました。
「あのですねえ・・・最近SDGsという言葉、よく耳にしますね。国連の機関が計画したとされる《持続的発展目標》とか何とかいう・・・あれって、どう思われますか、どうもよく分からないというか理解できないと言うか何となくもう一つ正体不明というか・・・政府も関心をしめしており、大企業や行政の中にも関心を示すところが多いようであり、市民も参画しようという掛け声があったりして、いろいろなことが言われたりしていてるようですが・・・」
「SDGsですかあ・・・しかに最近よくあちこちで・・・政府も歓迎していますね・・・でも、なんだか何となく怪しいというか・・・・」
「そうですかあ・・・まあ、いわば先進国クラブといったような・・・」
「そうですねぇ・・・そういうことかもしれませんねえ・・・」
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!
「ウソは戦争のはじまり、嘘と戦え」というまことにまともな内容のメッセージが明快かつ明解に記された広告でありましたので最優秀賞に選んだのです。
広告はメッセージの内容が明快でなければ無意味なことは言うまでもないことなのですが、ちかごろの広告、妙に気取っているだけで「オイ、いったい君は何が言いたいんだよお!」と感じられる広告がすくなくありません。・・・
そこで、今日は無意味のお手本のような広告を紹介いたします。関西電力様の広告、2月3日の朝日新聞に掲載されていた広告です。
関電様の広告については、以前に一度、2016年10月4日の日記で詳しい解説をさせていただきました。《power with heart》 というキャッチコピーを用いた広告です。GGIがこの広告を目にしたのは、関電湖国支店のビルの壁に設けられているGGI以外には通行人が誰も見ることのない掲示板においてでありました。
関電さんの弁によれば《power with heart》 という意味不明の英語は関電さんの「ブランド・ステートメント」だとのことでありました。「ブランド・ステーツメント」っていったい何や?そんなもの聞いたことがない、知らん!とおっしゃる方この上記の日記をご覧ください。
GGIは上記の日記でこの意味不明の英語について酷評いたしました。あまりも的を得た酷評でしたので関電さんはこのアホな英語を用いたPRを止めにしたと思っていたのでありますが、そうではありませんでした。一昨日2月3日の朝日新聞に、大きく《power with heartは強い決意。》 と大きく記した一面広告が掲載されていたのです。
今日の写真はこの広告を撮ったものです。どうかクリックして大きく拡大してご覧になってくださいませ。日本語の部分は読みにくいので以下に再録いたしておきます
『新しい時代へ。関西電力が動き出す。』
今日も明日も、かえがけのない電気を守り続けるために。
次の時代にふさわしい
エネルギー会社になるために。
関西電力は挑戦しています。
“まごころと熱意を込めたサービスで
お客さまや社会の『力』になりたい。“
という想いを胸に。
エネルギー新時代へ挑む
強い決意で。
男マエのつもりであろうと推測されるニイチャンが「挑戦」しているつもりの表情で突っ立ております。GGIは知りませんが最近売れっ子の俳優さんか何かでありませう
この広告文を読みまして、ちょっぴり以前の広告で使われていたインチキ英語、power with heartの意味がコジツケで理解できました
つまり、おそらくは、このインチキ英語の中身は“まごころと熱意を込めたサービスでお客さまや社会の『力』になりたい、という意味のつもりなのでありませう・・・
それはともかく、この広告、新しい時代に関電さんは挑戦するぞという心意気を示したかったのだと思われるのですが、肝心の「新しい時代」がどのような時代なであるのか、あるいはどのような時代であると考えているのかという点についての説明がまったくありませぬ。
「新しい時代」、「次の時代」、「エネルギー新時代」などの表現がありますが、いったいどんな時代なのか、サッパリ不明です。
ひょっとしたら、昨今メディアの世界やビジネスや政治・行政の場で急激にもてはやされるようになりつつある《SDGs》の時代のことを指しているのでせうか?
《SDGs》って何や?そんなもの知らん、と思われる方にはっきり申し上げておきます。これを知らないようでは、あなたは時代遅れの世間知らずです。海外ではどうなのか定かでないのですが、最近日本でおおいにはやりかけているモノです。GGIも最近までまったく知らなかったのですが、昨年の某日、何も知らないまま、湖都の市当局関連組織が主催する某イベントでこのSDGsなるものの片棒を担いでしまいました・・・
もうご存知の方が多いのではないかかと思いますが、SDGsというのは国連の開発計画が編み出した「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)なるものの略語です。いろいろなところで話題になっているようですので詳しくはネットさんなどをご覧になって、ご自分でベンキョーさなってくださいませ。SDGsに関連した記載がたくさん見受けられます
関電さんの挑戦の決意の対象がこのSDGsの時代であるのならば、エネルギー分野の持続発展可能な目標は、当然ながら持続可能エネルギーすなわち風力や太陽光発電などの自然エネルギー社会への移行ということになるでありませう。
そうであるならば、この広告、SDGs時代への関電の挑戦と堂々と書けばよかったのです。自然エネルギーへの挑戦と書けば、日本一原発への依存度が高い電力会社である関電までもが本格的に自然エネルギーに挑戦するのだと、この広告は大きな反響を呼び起こすことになるのは間違いないでありませう。日本だけではなく世界に向けて、日本は福島原発で大事故を起こしてしまったけれど、ようやく原発の放棄を目指すことになったという衝撃的な歴史的メッセージになったことでありませう・・・
ところがこの広告、新時代と何度も記しているものの、新時代がどんな時代を指しているのかは何もまったく言及していません。ですから、この広告、何を言いたいのかさっぱり分かりません。何かに挑戦したいようであることだけは理解できるのですが、具体的中身のまったく欠落したい腑抜けた無意味そのもの広告としか言いようがありませぬ・・・
この広告は要するに、ただ「ボクたち、これからもガンバルぞ!」と言っているだけなのです。この広告の文章は「ボクたちガンバル!」の同義反復に過ぎません。できの悪い小学生みたいな寝言を言って、いったい何の意味があるというのでありませうか・・・
《power with heart》 なんていうヘンな英語で気取ったつもりでいるのでせうが、こんな気取り方をして一体何の意味があるのでせうか。英語で煙に巻くつもりなのかもしれませんが、市民はそんなアホではありませぬ
無意味に近い広告は決して珍しくないのですが、ただ何となく英語なんかを使って気取ってみただけの、これだけ無意味・無内容がテンコ盛りの広告は他の無意味広告を圧倒しております。したがいまして、GGIはここに関電様に今年の無意味広告大賞を授与いたしたいと思います。
ここまで書きましたら場外から大声が・・・
「GGIよ、あんたはアホやなあ、なに勘違いしてるんや、新時代というのはそんな難しい話やない、もうすぐ平成が終わって新元号になることを言ってるのや!だから関電さんはこの広告は、みさなん、もうすぐ天皇さんが代替わりしはって新時代になりまっせ、新時代になってもボクたちガンバル!まっせ、とにかく売り上げ増に挑戦しまっせ!、と言いたいだけなのや!」
大変明快かつアホなご教示、ありがとうございます・・・
ここで最後に、脱線ついでに最近大流行の兆しがあるSDGsについての若干の余談です。
昨年末でしたか、小さな集まりで京大人文科学研究所の若手の研究者の話を聞きました。《農業と戦争》と題されたなかなかユニークなテーマについての実証的な研究に基づいた話でありました。第一次大戦から第二次大戦にかけて、つまり近代戦において、農業技術の発展と戦争技術の近代化とは密接な関係にあったということを過去のデータや記録に基づいて具体的な話をされました。GGIはたいへん勉強になったのですが、この集まりを終えての懇親会に席上で、この研究者に聞いてみました。
「あのですねえ・・・最近SDGsという言葉、よく耳にしますね。国連の機関が計画したとされる《持続的発展目標》とか何とかいう・・・あれって、どう思われますか、どうもよく分からないというか理解できないと言うか何となくもう一つ正体不明というか・・・政府も関心をしめしており、大企業や行政の中にも関心を示すところが多いようであり、市民も参画しようという掛け声があったりして、いろいろなことが言われたりしていてるようですが・・・」
「SDGsですかあ・・・しかに最近よくあちこちで・・・政府も歓迎していますね・・・でも、なんだか何となく怪しいというか・・・・」
「そうですかあ・・・まあ、いわば先進国クラブといったような・・・」
「そうですねぇ・・・そういうことかもしれませんねえ・・・」
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!