
わが庵から湖岸の大通りをしばらく西へ向かいますと、屋上に巨大なアンテナなようなものが据え付けられている関電さんの湖国支店ビルが威容を誇っております。このビル、大通りに面した壁面にガラス張りのショーケースのようなリッパな掲示板が二つ設けらえており、いつも何かしらポスターのようなものが貼ってあります
でも、この掲示板、歩道から少し奥まった一段高くなったところに設けられていますので、わざわざ歩道からそれて掲示板を見に行くような危篤な通行人はおりませぬ。GGIの知る限り、歩道から外れてこの掲示板をわざわざ見に行くのは湖都一番の関電フアン、GGIをおいて他にはいないと断言して差し支えありませぬ。要するに誰も見ないのです。
つまりこの掲示板に貼られたポスト―はときおりGGIを刺激する以外には何の役にもたっておりませぬ。はっきり申して、まったくほとんど意味なき存在です。
そのうえ、たいていは、貼られているポスター、その内容はまったく空疎なものであります。見るだけ時間のムダというべきものですが、それを承知のうえでGGIはあえて時間を浪費するのです
今日の写真は昨日目にした、この掲示板に張られていたポスターを撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ
写真ではポスターに記されている文字が読みにくいので、以下にその内容を記します
power with heart
エネルギー新時代を迎えるにあたり
ブランドステートメンㇳpower with heartを定めました
まごころと熱意をこめたサービスで、お客さまや社会の「力」になりたい
という願いを込めています
お客さまや社会から信頼され、選ばれる企業になるため、
全従業員が一丸となって、この約束を果たしていきます
関西電力
よく分かりませんねえ、いったい何を言いたいのでありませうか。power with heartって何のこと?それにブランドステートメント、こんなカタカナ言葉、GGIは初めて目にしました。でも意味不明であるものの何やらカッコよさそうな言葉であります
おそらく最近流行しているビジネス界の業界用語であろうと思ってネットさんに教えてもらいましたら、以下のように記されておりました
《ブランド・ステートメントとは、ブランドのミッション、価値観、ポジショニングなどを明文化したもの。ブランドに関するすべての活動の拠り所となる。・・・・ブランド・ステートメントの根幹となるミッションや価値観は、時代や地域に左右されない普遍性を保つべきだが、その表現方法やポジショニングは、ブランドの規模やステージ、時代に応じて改定・推敲することが望ましい。(http://gms.globis.co.jp/dic/00907.phpより引用)
なんだかえらくもったいぶった説明のような気がいたしますが、要するに企業活動を宣伝するための新しい(ように見える)イメージ戦略の一手法なのでありませう。ビジネススクールや電通さんあたりが、大企業のみなさん、これからはブランド・ステートメントの時代ですよ、とあおっているのかもしれませぬ
関電さんはブランドステートメントをpower with heartときめたそうですが、この英語、意味不明であります。いきなり「わが社のブランドステートメントはpower with heartです」なとと張り切って言われたも、言われた方は、「それ何のこと?オッサン、何気取ってるのや」、と迷惑に思うだけでありませう
そこで、このポスターの文章を何度か読んでみて、心優しきGGI、関電さんのお気持ちを察してみました
「電力の自由化という新しい時代が始まりました。関電としましては好ましからざる状況でありますが、なんとかしなければなりません。そこで最近ビジネス界で流行のブランドステートメントなるものをわが社でも定めて事態の打開を図りたいと考えました。ブランドステートメントなどと気取って申しましたが、要するにわが社の企業活動を象徴する新しきキャッチコピーを考えたのでございます」
「すなわち、この新しい状況下でお客さまが新電力に逃げたするという裏切り行為に走らないようにするために、まごころと熱意をこめてサービスしてお客さまのお力になりたいなあと思うことにしたのです、この私たちの気持ちを一言で表しますとpower with heartということになるわけなのでございます。power with heartの訳語は何か聞かれましたも困るのでございますが、なんかカッコいいキャッチコピーだなあと感じてもらえれば十分でございます」
でも、この英語、ポスターの内容を仔細に研究したGGI以外には、まったく通じないでありませう。このpowerという言葉、文面からは、おきゃくさまの「お力」になることを意味しているのかもしれませんが、電力会社のPRですから、powerは電力のことかと思ってしまうのではないでせうか、そうしますと「まごころ電力」などという意味かと思ってしまいます、それいったい何のこっちゃ?
ですからこれはただただちょっと気取ってみせただけの、まったく意味なきポスターであると言ってよいでありませう。明確なメッセージを有するひらパーさんのポスターのほうがずっと気が利いております
関電さんはこんな意味不明のわけのわからない「ブランド・ステートメント」を決めて気取ってみせる前に一言、頭脳明晰なるGGIに相談してくれればよかったのです。そうすれば、時代に合った、いや時代を先取りしたすばらしいステートメンㇳを教えてあげたことでありませう。GGIによる関電のブランド・ステートメンㇳは以下のとおりです
power without nuke:原発にたよらない電力!
でも現実は
power without heart! 心ない電力!ですね
グッドナイト・グッドラック!