昨日の夕方、テレビが1961年に起きた名張毒ブドウ酒事件の犯人とされた奥西勝死刑囚が八王子医療刑務所で死去したと報じていました。死因は肺炎とされています。享年89歳。35歳で逮捕されていらい実に54年にわたり獄中にあったことになります
一審(津地裁)で無罪判決、名古屋高裁で死刑判決、最高裁で死刑が確定していました、これまで一度、再審請求で再審開始の決定が下されたことがありますが検察側の抗告で取り消されてしまいました、九次にわたる再審請求はことごとく退けられました、しかし、遺族が引き続き再審請求を行うと報じられています
一審で無罪判決が下された後に死刑判決が確定された戦後唯一の事件です。また、死刑に関する再審開始の決定が取り消された唯一の例ともされています。欧米の刑事訴訟法では一審で無罪判決が下された場合、検察側が上訴できないのが通例ですが、日本では再審開始の決定に対してまでも検察側の抗告が許されています
この事件、冤罪である可能性が極めて高い事件です、そのため法務省は死刑執行に踏み切るわけにはいきませんでした。しかし、だからといって奥西さんを釈放するわけにはいきません。無罪を認めて釈放したのでは検察の面子が丸つぶれになるからです。では、どうするか、あくまでも刑務所に収監しておいて、ひたすら獄死するのを待つ、そうすれば冤罪の受刑者を死刑にすることを回避しつつ、検察の面目が保たれるからです、まことに冷徹極まる法務省の、国家の論理というしかありません・・・・
戦後すぐ、1948年に起きた平沢帝銀事件の犯人とされ死刑判決が確定していた画家の平沢貞通氏の場合も同じでした。殺人に用いられた薬剤は一般人が手に入れることができない極めて特殊なシアン化合物であったために、731部隊の関係者が真犯人ではないかと疑われたのですが彼が犯人とされてしまいました。しかし、死刑が執行されないまま実に95歳になるまで収監されたすえ、彼も最後は八王子医療刑務所に収容され肺炎のため死去しています。
先日の日記で紹介しました映画「死刑弁護人」で描かれている安田好弘弁護士は、「刑事訴訟法には、高齢(65歳以上)の受刑者の場合、検察の裁量で刑の執行を停止することができる、とする規定がある。この規定を援用して奥西克さんのような高齢の受刑者を釈放すべきだ」と指摘していましたが、検察はこの規定の適用も拒んだのです
GGIは昨年、名張毒ブドウ酒事件を題材にした映画「約束」の上映会を市内で行いました。主演を務めた仲代達矢氏も無罪を確信してこの映画に出演したと伝えられています
GGIは上映会がすんでからは、この映画のポスターをわが書斎なるものの壁に貼っています。そして、時には忘れることもあるのですが、毎晩、寝る前に奥西さんの無事を祈ることにしておりました。また北向き地蔵様に寄ったときにも必ずお祈りをしておりました。奥西さんが生きて刑務所から出ることはまず無理だろう、彼の死が近いことはよくよく分かっていたのですけれども、ほんとうに残念です、まことに平凡ですが、言葉がないとしか言いようがありません
今日の写真はGGIの部屋に飾ってある映画「約束」のポスターを撮ったものです、よろしければクリックしてご覧くださいませ
毒ブドウ酒事件のことは、このブログで何度か書いておりあす、関心をお持ちのかたは以下のサイトをご覧ください
http://blog.goo.ne.jp/ugugggi/s/%C6%C7%A4%D6%A4%C9%A4%A6%BC%F2
かようなしだいで、今日ははグッドナイトではありませんがグッドラック!